テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
近くで見ると、傷や汚れがより鮮明に見えた。
長くのびたツルの奥に、幼稚な字で
“ひみつきさ”
と書かれている。
消えかけていて今ではもうなにかは分からないが、蛇やクマなどの絵も書かれていた。
ズキリズキリと、近づくたび胸が痛む。
前には、二人が楽しそうに笑っている。
「すげ!秘密基地って書いてる!ん?秘密きさ?」
「何これ…長いの…ん?蛇?紐?」
「あんまはしゃぐと怪我しますよ」
中に入ると、床にしかれているブルーシートがクシャクシャと鳴った。
壁際には、子供でも持ち運べるような小さめの棚が2つ、作られた物が2つある。
壊れた時計、汚れた人形、もう動かないであろうオルゴール。
色々な物が大切そうに置かれていた。
「すげ…なんか、ネスの部屋みてぇ」
「ねー、なんか既視感あるよね?」
ネスが奥へ進むと、足元からカツンと音がした。
「ん…?カツン…?」
「なんかあんじゃね?捲ってみようぜ」
「…せやね」
ブルーシートを捲ると、そこには一つのブリキ缶があった。
色は剥げていて、凹みもある。
「すっげぇ汚れてる…w開ける?」
「開けよー」
チラリと龍がこちらを見る。
なにも言わずに、二人の横に屈む。
中身はなんだろうか、とワクワクしている二人。
固い蓋を開けると、中は意外とキレイだった。
紙が3枚、人形が2つ。
「手紙だー、ネス読む?」
「俺?いいけど…ん”ん…
か……いへ、いつ…いっしょだよ!
ふたりな…、こわくないよね
ぼくがまも…からね
ふたりいっしょ、ぜったい!
……より」
「誰より?」
「分からん、消えてて見えない」
かわいらしい丸文字。
なのにどこか力強く書かれていて。
色々な感情が溢れてくるのを噛み殺して、中の人形を一つ手に取る。
「次のはー…あ、手紙だ」
「次もネス読んでよ」
「全部俺?wえっとー…
ね…へ
まいに…、あり…と
……がいると、げんきなれるね
これから…ふたりで……しょにいてね
ありがとう🐍
か………より」
「これはイラストつきなんだな」
「なんか、共依存感がすげぇ」
冗談めかした言葉。
でも無駄に深く刺さった。
依存、と言われれば、依存だったのかもしれない。
何をするにも二人で、何よりもお互いを優先して、ずっと、隣にいて。
「魁星さん、顔色悪いですよ」
「ん?気のせいちゃう?」
「…そうですか、」
「あ、これ絵だぞ」
「本当だー、結構うまいな」
「さんくまじゃね?」
「超似てるw」
二人は笑う。
なにも知らず、ただ、好奇心に溢れて。
その無邪気さが静かに胸に傷をつけていく。
「ここ、誰のだったんだろう」
「子供っぽいよなぁ」
「…ニ人のやったよ」
「は?」
「え?」
しまった、と口を塞いでももうすでに音になった言葉はニ人に届いてしまい、目を見開いてこちらを見ている。
「ニ人のやったよって…魁と誰の…?」
「ニ人?」
「あいや、多分やで!推測!ほら、手紙もニ人分やし、全部2つずつやん?」
両手をヒラヒラさせて笑ってみても、疑いの目は変わらない。
なにも言わずにこちらを見ているだけ。
どうしたものか、と頭を回転させても良い方法が思い付かない。
チラリと龍に助けを求めるように視線を送る。
小さくタメ息をついて、彼は一歩前に出た。