テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
彗月
277
⚠️BL要素あり、年齢操作
以上が許せる方のみご覧下さい。
※学パロです
設定
💚:高校三年生。クラスメイトの❤️のことが好き。
❤️:高校三年生。家庭科部に所属している。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
💚視点
日が落ちるのが早くなり朝晩の冷え込みが厳しくなる季節。下校時刻が近づいてきたこの時間ではとうに外は真っ暗だった。教室には俺以外の人間はおらず、俺がノートに文字を書き込むカリカリという音ばかりが小さく鳴っている。
解いていた問題の答えを書き入れてふう、と一息つくと廊下からこちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。おそらくそろそろ下校時刻であることを伝えに各教室を巡回している先生だろう。怒られるのは嫌なので立ち上がって机に広げていた教材や文房具を片付け始めたが、教室に入ってきたその足音の持ち主は予想外の人物だった。
「あれ、阿部まだ残ってたんだ」
「え、舘様?今日は部活じゃなかったっけ?」
「もう終わったよ。俺は忘れ物を取りに来ただけ。」
「そういうことね」
教室前方の扉を開けて入ってきたのは、俺と同じクラスで俺がひっそり想いを寄せている舘様だった。
帰る直前に会えるなんてラッキーだなと思っていると、自分の机をガサゴソと探って目的の物を手に入れた彼が俺の方に寄って来た。
「今日はなんの勉強してたの?」
「数学の課題と化学の復習」
「さすが理系。なんだっけ、あの、テクビジウムみたいな」
「テクネチウムね」
「そうそれ」
そんな雑談をしていると、ふと彼の手がうっすら赤くなって少し荒れていることに気がついた。
「もしかして舘様、ちょっと手荒れてる?」
「あぁ、大したことないよ。洗い物よくするからこの時期は荒れやすいんだ」
舘様はこの高校の家庭科部に所属していて、活動日にはクッキーのような軽食を作ったり授業が午前中のみの日は部員全員で昼食を作って一緒に食べたりしている。今日も料理をして後片付けをしてきたんだろう。また、彼は家でもよく家事を手伝っているようだから必然的に手が濡れるシーンが多いのだと思う。
家庭的な彼のことは尊敬するし楽しげに料理をしている様子もとても可愛らしくて好きではあるけれど、彼の綺麗な手が痛々しくなっていくのは心苦しい。何か出来ることないかな…
あ、そうだ。
「俺ので良ければ、ハンドクリーム使う?」
「え、いいの?」
「うん。あ、でも香り付きだから苦手だったら無理しないでね。」
「ありがとう」
カバンの中から俺のお気に入りのハンドクリームを出して舘様に手渡す。気に入ってくれるといいなと思いながら手にクリームを塗り込むのを眺めていると、おもむろに彼が手を顔に近づけた。スンスン、と匂いを嗅いでいる様子は小動物のようで愛らしい。
「どう…?」
「ベタベタしないし爽やかな匂いで良いね」
どうやら気に入ってくれたようだ。良かった。
「うん、阿部の匂いだ。良い香り」
「………え?」
今、なんて言った?俺の匂い…?
いや俺の匂いではある。普段使ってるし。でもなんかそんな『幸せです』みたいな顔で良い香りとか言われるとあなたに想いを寄せている立場としては嫌でも意識してしまう。どうしよう。心拍数が上がってる気がする。なんて返事すればいいんだ。
「舘さーーーん!帰るよーーーー!!」
廊下の向こうから知らない声で舘様を呼ぶ声が響いてきた。
「あ、友達待たせてたの忘れてた。じゃあ俺先に帰るから。ハンドクリームありがとう。阿部も気をつけて帰ってね」
「あ、うん、またね」
再び俺一人になる教室。
誰もいないのを良いことに熱が集まった顔を両手で抑えてうずくまる。
「はぁーーー…………ほんとずるいなぁ…」
あんなに可愛い顔であんな反応されてときめかないはずがないのに、彼は絶対無自覚で。好きになる以外に道があるのなら誰か俺に教えてほしい。
「……………帰ろ。」
今度こそ見回りの先生であろう足音が聞こえてきたため、顔の熱も冷めやらぬうちに俺は教室を後にした。
--数日後–
四時間目の授業が無事に終わり、昼休みに入ったタイミングで舘様が近づいてきた。
その手には、俺が貸したのと同じハンドクリーム。
「阿部、見て」
「あ、それ」
「近所のドラッグストアにあったから買っちゃった。」
「気に入ったんだね」
「うん。落ち着く香りだし、使用感も良かったから。」
穏やかな笑顔でそう言う舘様が可愛くてしばらく見つめていると、いたずらっぽく笑った彼が俺の目を見て
「おそろいだね」
と言うものだから今度こそ俺は机に突っ伏してしまった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!