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「厳しすぎて…耐えられなかった…」
「嫌な気にしたらすみませんが、厳しいって何の事ですか?」
「礼儀正しくしろ、一人称を直せ、お上品にやれ、弱い、口答えするな……うるさい……はしたない……兄が出来なくてどうする……晩ご飯は抜き……本気で取り組め……」と沢山の酷い言葉がアマエルさんの幼い心に刺さっていた事がちらっと見えたような気持ちになった
「民主政治とは……」
「え……」アマエルさんの目に涙が滲んでいた
「いや…とても厳しい環境だったのですね……」
「うん……ごめんなさい、みっともなくて……」
「みっともない? そんな事は無いです」
「え?」
「頑張ってここまで来たのですよね? 私も頑張ってここまで家出生活を続けてきました……それの背景は後で話をしますが……とりあえずアマエルさんはとても偉くて、頑張ってきたのは分かります!」
「偉くも無いよ……頑張ってきたけどまだまだ……」
「そんな環境に今まで居れたのですよ! うぬぼれていいの? とでも思っているかもですがアマエルさんはとても自分を褒めていいと思います!」
「ありがとう……ありがとう……」
ぐぅ〜とアマエルさんのお腹が鳴った。
「一緒にこのパン食べます?」
「うん!」
「じゃあ、はい、どうぞ」パンを2つにちぎって大きな方を渡した。
「ありがとう」と言ってから少し顔を強張らせてアマエルさんが「僕がこの国の跡継ぎになんだ」
「え! ……」
まさか、本当に王子だとは思わなかった。
「長男ですか?」
「うん……」
「今、国王は……」
そう、今国王は病気なのだ。それも原因不明の病。
「お父様が……もし、もしそうなったら……」
「大丈夫……大丈夫だよ」と言って私はアマエルさんの背中をゆすった。
「僕はどうすれば……」
アマエルさんは言ってから顔を上げた。それは泣きじゃくれた顔で絶望の顔でもあった。
「お父さんもいつ死ぬか分からない。それにもしそうなって心に傷ができた途端、大きな責任がこの小さな子供にのしかかる……」
「え……?」
「私は今、貴方を連れて行けば法律に従って牢に入れられるでしょう……」
「牢って?」
「牢屋です」
「あぁ……牢屋か……」
「話を戻しますが、なので今日だけで気が済まないのであれば私について来てください」
「ついて行く?」
「えぇ、連れて行くじゃなくて、ついてくる方が貴方の名誉に傷が付かないとおもうので、どうですか? これは、あくまでも私の提案でしかありませんが……」
「……また明日考える」
「そうですね……食べましょうか、冷めないうちに」
「うん」
それからアマエルさんはものすごい勢いで食べてものの5分くらいでアマエルさんのバゲットは無くなった
その後アマエルさんに遅れて10分後に私も食べ終わった。
「おでこの傷は……?」
「あぁ、これ?」
「うん」
「色々とあって頭をぶつけちゃったから…」
「痛そう……」
「まぁ、心の傷の方がよっぽど痛く成りやすいからね……こんなのへっちゃらです」
「強いね……もしよかったらだけど」
「どうしたの?」
「僕を、僕を弟子にして下さい」
「で、弟子! え……アマエルさんが私の弟子? 私みたいな責任感も可愛気の欠片も愛想も全く無いやつが……?」
「うん。あ、でもすごく可愛いし、マーシャだって、人間でしょ?」
「え……」私は少し考えてから「私で良ければいいですよ」と微笑んで言った。
「ありがとう。じゃあこれからタメ口で話して」
「え? ……といいますと?」
「だから、タメ口でって……師匠でしょ?」
「まぁ、そしたら……お願いね、アマエルくん」
「うん。お願い師匠」
「師匠じゃなくてマーシャで……」
「じゃあ……お願いマーシャ」
「うん……そう言えば何歳?」
「4歳だよ、マーシャは?」
「2歳……」と目をそらすと「え……?」と首を傾げている。
「そこは追求しないでほしい……」
「え、あ、うん……」
そんな話を何時間かしていたら日が暮れた。
「それで…って遅くなっちゃったよね……」私の視線の先には寝息をたてているアマエルさんがいた。
一息置いてから「……さっきからずっと盗み聞きをしている覗き魔さん。覗きは悪い趣味ですよ」と茂みに視線を移した。
騎士みたいな甲冑を着ている男の人たちが茂みから顔を出して見合わせた。
少し躊躇ってから「私たちはアマエル様の護衛騎士です。離れるわけにはいきませんから」
「女の話を盗み聞きするのはどうかと思うけど……」
「これは、大変失礼しました」
「私みたいな庶民にもそんな…凄いしつけ……」と呟いた後「その悪い趣味は辞めて下さい」
「そんな事言われても…私たちは業務を全うしている善良な護衛騎士です」
「……まぁいいや。とりあえず危なくなったらよろしくお願いします」
「はっ、アマエル様の為なら」
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