テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
13件
ラスボス🖤キタァァァァ‼️ えっ‼️めめなの????詰んだじゃん………😱
翔太 side
怯えてたんだよ?
あの日亮平の元彼が佐久間だって分かった時から。
俺は怯えてた。
いつかこんな日が来るかもしれないって・・・
捻挫なんかクソ喰らえ。
火事場の馬鹿力って本当にあるんだぞ…後で涼太に教えてあげるんだ。
止め処なく流れる涙なんか、俺の無意識で流れる涙なんか俺は涙なんて認めない。汗と同じただの体液だ。悲しい訳じゃ、悔しい訳じゃない。
必死で走ればどこへでも行けそうなくらい、どこにこんな体力が残っていたのか不思議なくらい遠くまで走れるそんな気がした・・・マンションを出て公園を突っ切る。足がもつれて芝生の上で転がると力尽きてそのまま意識が遠のいていく。このまま誰にも見つかりませんように・・・
バチが当たったんだ。キスなんて亮平以外の佐久間や康二と自分だってしたくせに。亮平は許せないだなんて・・・
亮平💚『翔太!』
翔太💙『死んじゃいたい・・・』
何も見てない…何も…忘れろ…忘れろ
どうして俺は1人じゃ生きられないんだ?
1人が絶対幸せなのに。争いも、嫉妬も、妬みや恨みも全て〝愛〟があるから争いが起きる。
最初から1人を選べば良かった。俺もりょ…誰だっけ?誰と誰だっけ?
亮平💚『翔太…翔太』
翔太💙『ンッ…阿部ちゃん?』
亮平💚『翔太…大丈夫?分かる?』
翔太💙『何で?阿部ちゃんどうしたの?』
阿部ちゃんは俺を見るなり涙を流して喜んでいる。ここ数日の記憶がない。
見渡すとここは病院みたいだ。照や佐久間もいる。
翔太💙『何してんの?皆んなで』
起き上がってベットから降りると足に力が入らなくてへなへなっと崩れ落ちた。慌てて阿部ちゃんが俺を支えた。
翔太💙『痛った…なに?足痛い』
照💛『何?頭でも打ったのか?重度の捻挫だぞ。よくもあれだけの距離走れたな?それに倒れてから4日間寝込んで起きなかったんだぞ。阿部も佐久間も心配して・・・』
何言ってっかさっぱり訳わかんない。とにかく家に帰らなきゃ大事なイベントが間近に控えてるんだ。
翔太💙『何かよく分かんねぇけど、明日早いから俺帰るわ』
阿部ちゃんも佐久間も何故か困惑顔だ。一番まともそうな照を見るけど、こちらもまた困った顔をしている。ベットに掴まり立ち上がると荷物を抱える。
照💛『ちょっと落ち着け、医者に聞いてくるからなっ座って待て』
大介🩷『焦る気持ちもわかるけど、仕事の事は大丈夫だからゆっくり安め』
翔太💙『はぁ?休んでる場合かよ!後3日もすれば俺たちデビューじゃないか。もう一度振りの確認もしたいし、足なんて痛み止めで何とかなるだろ?ようやく掴んだチャンスなんだから少しくらい無理…なに?』
驚きを通り越して2人とも顔が真っ青だ。俺よりこの2人の方が入院した方がいい。
医者が来て訳のわからない事を言っている。検査するからもう数日居ろとか言ってるがそんな訳にはいかない。
照 side
お騒がせな3人だ。仕事が立て込んでなくて良かった。なんとか調整つきそうなものばかりだ。
医者を呼びに行って病室に戻ると、何故か亮平と佐久間は顔色悪く立ち尽くしている。亮平に限っては椅子に座り込んで泣き出した。
大介🩷『記憶喪失?ってあると思う?』
照💛『はぁ?んな馬鹿な』
医者曰く、一時的なショック状態での記憶障害との事だ。すぐに回復するだろうとの事だが厄介だ。2人から事情は聞いたが、俺の手に負えそうにない。
取り敢えず、検査が済めば退院して良いとの事だ。どうも俺らのデビュー前の記憶の中に翔太はいるみたいだ。亮平とも、佐久間とも付き合っていない頃だ。
照💛『どうするよコイツ』
時折情緒不安定な翔太は安定剤で落ち着くとスヤスヤと眠った。〝亮平が連れて帰るか?〟酷い顔してる。今は亮平の方が倒れそうだし、首を左右に振って〝一緒に居る資格ない〟などとガキみたいな事言っている。
照💛『はぁ…参ったね…亮平、覚悟が決まったらちゃんと翔太を迎えに来いよ』
亮平は泣いたまま佐久間が肩を撫でている。ダメだなこりゃ・・・
翔太のこと頼めるのはアイツしか居ないな。退院の日、連絡を受けてやってきたアイツは上下デニム姿で病院に似つかわしくないサングラスをかけてやってきた。
涼太❤️『お騒がせな幼馴染はこちらかな?』
照💛『お前も随分とお騒がせだよ』
周りの看護師がキャァキャァ言ってる。ここはライブ会場じゃないんだ。片手を上げて声援に応えている涼太の腕を引っ張って病室に押し込んだ。
翔太💙『あれ涼太お前何しに来たんだ?』
ある程度の事情は涼太に話してある。亮平と佐久間は個人仕事でこの日は来れなかった。亮平が用意した翔太の荷物が詰まったスーツケースを俺が転がし、痛めた右足を引き摺る翔太を涼太が支えながら病院を後にした。
涼太の家へ連れて来られた翔太は、自分のマンションではない事を不思議がっている。
涼太❤️『足が治るまで、俺の家に居なさい』
翔太💙『過保護だな皆んな…なんか最近俺おかしい?デビューの日にち間違うなんて…あり得ないだろ?』
取り敢えず2ヶ月先だと嘘をついた。それまでには記憶は戻るだろう。それに時々混乱するのか苦しそうに胸を押さえて気を失う事がある。今はまだ翔太の記憶に付き合っている。
翔太💙『涼太アイツに話してくれた?何で会いにきてくれないの?』
涼太❤️『あぁ忙しいからじゃないか?あとで聞いておくよ』
翔太を空き部屋に案内した涼太は〝今日は疲れたろ?ちょっと横になりなさい〟そう言ってリビングに戻ってきた。
涼太❤️『記憶…戻らないって事はあるの?』
照💛『いや、大丈夫だろ?悪いな大変な事押し付けて』
〝俺がするしかないだろ?照も飯食ってくだろ?〟涼太が居てよかった。キッチンに立って涼太を手伝う〝何でデビュー前なんだろうか?〟数日の記憶を失う事はあるらしいけど、5年間の記憶丸ごとだなんて翔太にとっては思い出したくない5年間なんだろうか。
涼太❤️『忘れ物でもあるんじゃない?…この5年間を忘れたい訳じゃない。そうだろ?』
涼太は何故か4人分のハンバーグを作っている。〝誰か来るの?亮平?〟手際よくサラダを盛り付けるとスープを温めている。〝今からちょっと…意外な人来るけど気にしないで〟何よ…これ以上何が起こるって言うんだよ。
涼太❤️『…受け取ったら帰ってくるんじゃないかって思うんだよね。俺らの翔太が』
照💛『何?訳分かんないんだけど、もうこれ以上の問題起こさないで?亮平の事は?記憶戻って上手くいくと思う?翔太と亮平』
涼太はそこまでの事は分からないと言って初めて難しい顔になった。〝翔太はいつだって愛されたい子だから。こんなに傷つく翔太はもう見たくない〟亮平からだって愛されていた筈だ。今だってそれは変わらないし、翔太にだって原因はあって亮平や佐久間だけのせいじゃないだろう。
インターホンが鳴り涼太が出迎えている。4個目のハンバーグの謎が明かされる。
涼太❤️『うちに来るのは久しぶりだね?あの日以来かな?』
痩せ型で長身の男は黒く艶やかな髪を恥ずかしそうに掻くと〝その節は色々とありがとう館さん〟と言って翔太が寝る部屋を心配そうな眼差しで眺めている。どうしてその部屋で翔太が眠っていると分かるんだろう・・・
蓮 🖤『今晩は岩本くん』
いつもの優しい笑顔で俺に挨拶すると、長袖を捲り上げたシャツで額に薄っすらと残る汗を拭いている。
気にするだろう…気にしない方が無理だ。何で蓮が来るんだ?頭の中がパニックだ。
涼太を見ると全く読めない涼しい微笑みを浮かべている。挨拶もそこそこに翔太の部屋に通されて消えていった。
おい涼太早く戻ってきて説明しろよ!
なかなか翔太の部屋から出て来ない涼太にヤキモキする。こんなに時間が長く感じるなんて、デビュー発表のあの日以来だ・・・