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翔太 side
変な夢を見た。
何故か亮平と2人で暮らしてる。
落ち着かない部屋に二人、愛し合ってる。
キスをして…胸が苦しくなって愛しい人の声で目覚めた。
蓮 🖤『しょっぴー大丈夫?』
いつもみたいに蓮の首に飛びついた〝蓮…蓮怖い夢見た〟蓮はよそよそしく俺の背中をトントンと叩いて引き剥がすと、作り笑顔で微笑んだ。
翔太💙『れん?なんか変だよ?』
蓮は途端に困った顔になって、涼太に耳打ちするとすごく驚いた顔になって〝ごめんしょっぴー少しだけ待ってて〟そう言って涼太と二人で部屋から出て行った。いつものように〝翔太〟と呼んでくれない蓮に距離を感じ不安に襲われる。
一人で戻ってきた蓮は〝少し話しようか〟と言ってデビュー前の心境だったり、仕事の話をした。何故か蓮は過去のことを話すみたいに〝あぁ確かにそんな気持ちだったあの時は〟って終わったことのように話す蓮に違和感を覚えた。
蓮 🖤『晩ご飯、館さんが作ってくれてる。食べる?』
翔太💙『…うん』
蓮は優しく俺の手を引くと〝足痛い?〟と気遣ってくれる〝痛〜い蓮がいなきゃ死んじゃいそう〟いつものように甘えて言うとまた困った顔をした。やっぱりなんか変。
翔太💙『あれ?照まだ居たの?』
涼太❤️『失礼なこと言うんじゃないよ。お前のことで照がどんだけ大変か分かってるのか?』
翔太💙『分かんない。なんか皆んな変だよいつもと違う。いつもと…ひとりぼっちだ…息が…苦しい…』
胸が苦しくなると、頭が痛くなって息ができない…涙が溢れて…あぁまただ亮平とキスしてる…
〝大丈夫だよ〟
翔太💙『リョウヘイ…』
涼太 side
涼太❤️『翔太!…まただ…』
蓮が咄嗟に抱き抱えた。足に力が入らなくなった翔太はそのままゆっくりと目を閉じた。またベットに寝かせる。
蓮🖤『記憶障害?治るんでしょ?』
照💛『待って、整理させてもらっていいかな?蓮と翔太は付き合ってた?って事で合ってる?』
蓮🖤『…はい。もう別れて3年以上経ちます。館さんしか知りません』
デビュー前から付き合っていたふたりの仲を知ったのはちょうどふたりが別れる間際の事だ。グループとしては勿論忙しく、特に蓮は個人の仕事が忙しくなり、甘えん坊な翔太は二人の時間が作れない事に苛立ち喧嘩が絶えなかった。翔太は蓮に依存していた。スケジュールを全て把握し蓮を管理しようと束縛した。そんな状態で関係が上手くいくわけはない。
蓮は〝自由〟を求めたし、翔太は〝愛〟を求めた。
涼太❤️『食べよう。誰一人欠けられない。そうだろ照、蓮…少しだけアイツに付き合ってくれない?そのうちに記憶戻ると思うから…』
蓮 🖤『阿部ちゃんと上手く行っているとばかり思っていた』
驚いた顔をした俺に〝いつも見てる翔太の事は…〟
そう言って節目がちになった蓮もまた翔太を愛した一人の男なんだと思い知らされる。
涼太❤️『もしかして…まだ翔太の事?』
蓮は〝その問いには答えられない。答える相手は翔太以外に居ないでしょ〟正直簡単に考えていた。蓮と会えば元の翔太に戻るかな…なんて。考えてみればもうあの時の蓮じゃないし、あの時の〝好き〟ともきっと違うだろう。
蓮 🖤『阿部ちゃんは知らないでしょ俺との事』
涼太❤️『蓮がよければ、話した方がいいかなと思ってね。この状態が長引けばどうしてたって分かる事だ。隠し通せるほど器用なやつじゃないだろ特に今の翔太は情緒がおかしい』
亮平 side
大介🩷『お前大丈夫か?』
亮平💚『そっちは大丈夫そうで羨ましい』
大介🩷『減らず口叩けるなら大丈夫だな…翔太の様子は?』
あれから会えてない。涼太からはまだ発作のような症状があるから少し待つように言われている。俺の場合、翔太のように無理やりされたキスじゃない。
求めたキスだった。魔が刺したとしか言いようがない説明のできないキスを、感情のないキスを見分けが付くはずもなく、愛する人を傷付けるには十分だった。
運ばれてきたオムライスを、目の前の男は豪快に食べている。食欲のない俺はスプーンでお皿の上を行ったり来たりしている。
大介🩷『食わねぇのか?倒れたら誰が翔太迎えにいくんだ?俺が行っても構わねえけど…貰うぞ?』
カツンとスプーンが重なる音がする。〝俺が迎えに行く〟負けじと口に押し込むと、ピンク頭の髪の毛を小刻みに揺らして笑う佐久間は〝頑張れ亮平!頭で考えるな心で動け〟ムカつくぐらい胸に突き刺さる言葉だった。
大介🩷『お水のお代わりください!それとナポリタンも2つ追加で!』
口に含んだオムライスを吐き出しそうになった。
亮平💚『誰が食うんだよ!そんなに』
佐久間は意地悪く笑うと〝お前と俺の分に決まってるだろ?〟コイツといると幾分心が軽くなった。翔太の為に今出来ることをしよう。俺が強くならないと翔太が不安になるだけだ。
数日後、館さんに呼ばれてマンションを訪ねる。
忘れていようがどうであれ、もう一度好きになってもらう為に・・・
亮平💚『お邪魔します。涼太これケーキ買ってきた』
玄関に綺麗に並べられた靴が・・・
先客がいるみたいだ。聞き慣れた関西弁がリビングから聞こえて、思わず涼太を睨みつける。事情を知らない涼太は〝んっ?何?〟なんて言っている。
康二🧡『よぉ阿部ちゃん!久しぶりやね』
亮平💚『どうしてここへ?』
どっちが病人だか、翔太の膝の上に寝転ぶ康二は自分の悪行を忘れた翔太の腰にべったりと腕を回しくっついている。翔太は康二の髪を梳いている。
翔太💙『阿部ちゃん?皆んな好きだねぇ俺の事。毎日誰かが遊びに来てくれる』
足はすっかり良くなったようで固定具も外れて、今はサポーターを嵌めているだけだった。
涼太❤️『康二、翔太とアイス買ってきてくれない。4個買ってきてくれる?』
俺が一緒にと言いかけると涼太は〝少し二人で話そう〟神妙な面持ちで言うと、コーヒーを差し出した。翔太は〝アイスだヤッター〟と無邪気に康二と出かけて行った。二人きりにしたくなかったのに。
涼太❤️『体調は?ちゃんと食べれてる?』
俺なんかのためにも涼太は優しい。〝うん大丈夫だよ翔太はどう?〟涼太の表情から察するに芳しくなさそうだ。
涼太❤️『あまりご飯食べなくてね、夜魘されてる。ひとつ亮平に言わなきゃならない事があって…亮平、翔太と生きていく覚悟はある?』
亮平💚『迎えにきました。俺との事覚えてなくても、もう一度好きになって貰いたい』
涼太❤️『分かった。亮平の事信じてるよ。だから伝えるね・・・5年前翔太は蓮と付き合ってた。今その頃の記憶のままだ。言ってる意味わかる?今の翔太は蓮が好きなんだ』
想像を遥かに越える衝撃に、お腹にグッと力を入れた。何があっても翔太を守るし愛している。
亮平💚『やり直しは何処からでも始められる。どん底は上に上がって行くだけ。辛いのは翔太だから…連れて帰ってもいいですか?』
涼太❤️『翔太に話さなきゃね亮平の事。荷物をまとめてくるよ』
いつまでも隠し通せるはずはなく、ニュース番組を見て〝現在〟を知った翔太は、記憶障害の事を医師から告げられた。予想に反して翔太は〝どうりで皆んな変だと思った〟なんてあっけらかんとした様子だったらしい。なかなか記憶が戻らない事に医者も首を傾げたらしく、新しい病院を勧められたそうだ。
デビュー後の人気ぶりに歓喜の声を上げて翔太は喜んだらしい。今は5大ドーム公演の映像を夜な夜な観ては〝しょっぴーカッコいい〟を連発しているらしい。
涼太❤️『誰かが居る時は元気だよ。一人になったり、夜眠る時は少し気が滅入るようだ…あっ帰ってきた』
翔太💙『暑い‥溶けちゃってない?』
康二🧡『大丈夫やで』
数日ぶりに会った翔太は、無意識なのか俺の方を見ようとしない。居ないもののように扱っている。
4人でアイスを食べると涼太が〝康二悪いけど今日は…〟康二も雰囲気で分かったのだろう〝ほな俺は今から仕事やから帰るなしょっぴーお大事に〟翔太は寂しそうな顔をすると、静まり返ったリビングから逃げるように寝室へと消えて行った。
亮平💚『嫌われてるみたいだ…』
涼太❤️『そんな事ないよ。混乱してる…亮平の夢をよく見るみたいで…ちょっと話してくるから待ってて』
長い事待たされた。俺とは暮らしたくないって涼太を困らせているのかも知れない。無理やり連れて行く訳には行かない。〝待たせてごめんね。翔太が、亮平と話ししたいって〟寝室の扉に手をかけると涼太は〝大丈夫勇気持って〟そう言って肩を叩いた。
泣きそうになるのをグッと堪えて中に入った。
ベットの横には椅子が置かれ、テーブルの上には皆んながお見舞いで持ってきたであろう花や、翔太の好きな駄菓子が置かれている。
椅子に座って翔太を見ると泣いていた。
亮平💚『迎えにきたのが俺で残念?』
翔太💙『付き合ってるの?俺と』
亮平💚『うん、そうだよ…ごめんねこうなったの俺のせいなんだ。俺の不誠実が招いた。辛い思いをさせてしまってごめんね』
翔太💙『毎晩、阿部ちゃんの夢をみる。気を失う時も阿部ちゃんがいつも俺にキスをして・・・〝大丈夫だよ〟って声が聞こえてそのあとは起きたらいつもベットの中だ』
翔太は再び俺と暮らすことを了承してくれた。〝早く元通りになりたい〟これが翔太の答えだ。俺と一緒に居たいのではない、グループ活動を気にしての事だった。
亮平💚『蓮の事だけど…聞いてもいい?』
翔太💙『聞かれたくないな…すごく好きなのに…俺の知らないところでとっくに別れたんだって。俺って可哀想じゃない?好きな人から2度も振られるんだ』
辛くて、苦しくて、悲しいはずなのに翔太は笑ってる。俺に気遣ってかは分からないけど、表情からは読み解くことが出来なかった。
涼太の家を後にしタクシーに乗り込みマンションに着くと、翔太は少し緊張している様子だった。
翔太💙『今日からよろしくね阿部ちゃん』
翔太からの〝阿部ちゃん〟呼びにいちいち傷ついてはいられない。俺は負けじと笑顔で翔太に手を差し出すと〝手を取って頂けますか?〟
照れくさそうにおずおずと差し出された手を離すまいと、しっかりと握った。手を繋いでエレベーターに乗り込む。部屋の前まで来ると翔太の足が止まった。
亮平💚『無理に今を選ばなくてもいいんだよ?翔太の今はここじゃないんだよね?ごめん無理やり連れて帰ってしまった』
あの日のように小動物がぶつかったみたいな、軽い衝撃。いつの間にか流れた涙を翔太が拭った。
翔太💙『分かるよ?感じるんだ。亮平の事大好きなんだね今の俺。記憶が邪魔して混乱してる。でもちゃんと感じる亮平が好きな俺が俺の中に居るよ?上手く言えなくってごめんね』
膝から崩れ落ちる俺の背中を摩っている翔太もまた泣いている。〝バカだな泣くなよ…早く中入るぞ〟手を引かれて中に入ると、玄関ホールでキスを交わした。翔太は崩れ落ちるように発作を起こすとそのまま気を失った。
コメント
11件
記憶が邪魔して混乱してる、とか言葉の表現が巧いよなぁ〜‼️💙が可愛くて可愛くて胸が苦しい。
この回読んでマジで泣いちゃった🥲🥲🥲
大丈夫かぁ?🧡と🩷?ついていける?😅😅 まさか❤️も???とか妄想膨らむし、すぐに結論出さないで引っ張って引っ張ってほしいまきぴよです💙💙💙💙ああん、たまんない。