廉side
数年後の三月のある日。
俺と岸さんはテレビ電話をしのうとメールを送った。すぐにみんなからメールが返ってくる。
海人『いいけど……なんで?』
廉 『いいからいいから。』
勇太『なんだ!?なんだ!?俺は舞台決まったぞ!!』
ジンはミュージカル俳優を目指して奮闘中、海人は有名プロダンサーチームにスカウトされ、センターの座を勝ち取っている。紫耀はモデルの事務所にスカウトされたんだっけ。ちなみに俺は自慢じゃないけど、ミステリードラマの主演が決まってます。ありがとうございます。
優太『いいから来てー!!』
紫耀『あ、今見た。行けばいいの?オッケー』
玄樹『え!?あ、今行きます!!』
数分後。全員が集まった。
「やっほ〜聞こえる??」
俺は岸さんと二人で俺のスマホを使ってテレビ電話をしている。
『ホント急になんだよー!!』と紫耀。
『そーだよ、俺ダンスの練習してたのに〜!』と海人が言う。
まあまあ、そんなこと言わへんでって。
今からおめでたい報告をするんやから!
「実は俺たち……」
岸さんと声を合わせる。
「「結婚しましたぁ!!」」
みんなは少し間を置いて叫ぶ。
『ええええええええ!!!』
やめろ、近所迷惑っ!!!
『だって、だって………え?え!?けっ……え?』
紫耀がおろおろして言う。
『誰がプロポーズした!?そこが重要だ!!』
「あ、それは廉から…」
岸さん、黙ろうな。ジンがキャラ崩壊するねん。
『廉、すげええええええなぁああ!こんにゃろおおおおおおお!!!!』キーンとスマホから爆音が聞こえる。俺と岸さんはつい耳を塞ぐ。
あーうるさいうるさい。スマホがぶっ壊れちゃうっての!!
『いやいやいや、ホントごめん、あまりにもびっくりでさ。』
『え、でも全然気づかなかったよ!いつから……??』
「正確に言えば去年だもんね。」
岸さんがいうと、『なんでいわねぇんだぁぁぁ!!!』というジンからのうるさい声援と共に会見の質疑応答(?)のお時間になった。
『えー。平野新聞の平野です。えーっと結婚に踏み切った理由は何でしょうか?』
急に結婚会見やん。
「えー俺がボソッと言ってしまったところからですね。ハイ。それ以上は存じ上げません。」
岸さんがノリノリになって答える。存じ上げませんはダメやろちゃんと言え。
『えーっと、海ちゃん事務所の髙橋です。えー式はあげますか?』
おっよくぞ聞いてくれた!!
「あげまーー……せん!!!」 しないよそんなの、俺がやばいじゃん。ネットニュースになるよ!
『ええ……見てみたかったぁ。』
悲しそうな顔をする海人。
『はいはいはい!!!』紫耀がまだまだと手を上げて言う。
「もう終わりや!終わり!」
『はいはいはーい!』
やめない紫耀。
「終わりやってば!」
『えー』
と言いながらもやっと紫耀は言うのを辞めた。
『で、これだけのためにテレビ電話にしたのか!?大学行った時でいいだろ!』
「いや、みんなは最近どうなのかなーって。ていうかさ、大学でこんな話してた方が事故やん!!」
『あ、そっか。』
『ジン、ホントばかだぁ』といじる玄樹。
もっとやってやれー。
「え、で、みんなは最近どうなの??」と岸さんが話を変える。
『俺はダンス頑張ってるよ。紫耀はモデルの仕事頑張ってるんだもんね。』
と海人が少し誇らしく言う。
『ああ。見せ方とか色々勉強しながらやってるよ。ジンと玄樹は?最近大学で会わないけど…』
たしかに玄樹とジンに会う確率は格段に減った。玄樹はなんでだろう。まだ3年生だから行かないと留年しかねないのに。
『俺はホントに稽古入っててさ。玄樹は……』
『いいよ、ジン。自分で言う。』
そう言って玄樹は一度深呼吸をする。
『俺……大学でいじめられてるんだ。』
は?なんで??
『俺、ジンと付き合ってることが去年、他の生徒にバレちゃって。『なんでお前が』って女子には言われて、男子には『男同士とかやべー』っていじめられてて……』
そんなことが……。
『許せねぇ!!』
ドンと机を拳で叩くジン。腹立つ理由もわかるけどさ。全部聞こえてんねん。
「相手は誰なの!?」
岸さんが心配そうに聞く。
『相手は四年生と三年生です。名前はわからなくって……明日、放課後に裏門に来るように言われているんです……。』
「四年生……うーん……」
岸さんが考えているけど思い当たる人はいないらしい。
「とにかく、明日大学に行ってみて、だね。」
次の日の放課後。
俺たちは玄樹が呼び出されたと言う裏門に来ていた。いじめっこと思われる奴らはもう来ていた。
作戦を決行するために、玄樹以外の俺らはバレないように柱の後ろに隠れる。
「なんの用……ですか。」
玄樹がおどおどして言う。
「今日もお前の大好物を味わせてあげようと思ってよおお!!」
聞いたことのある声。多分四年生だろう。突如、ボコッボコッと殴る音が聞こえてきた。
「イッ……!!!」
玄樹の顔や手に一つも傷はなかった。つまり……バレないように顔や手などの露出しづらいところを殴っていたってことか!!
俺はメールでジンに『動画を撮ってくれっ!!』とメールを送った。
動画を撮れば教授なんかにチクったりできるから。ところがジンが動画を撮り始めて約一分後、ついにいじめっこたちが気づいたよう。
「誰だ!」
作戦決行。
ジンは動画を撮るのをやめ、いじめっこの前に立つ。……仁王立ちで。
「俺の玄樹を返してもらおうかと思ってね。」
落ち着いた口調でジンが言う。
「それで動画を撮っていたとはな……!データを消してもらおうか!」
「誰が消すと思う??」
そしてジンは撮った動画を俺たちのグループLINEに投稿した。
「あぁ!!」と叫ぶいじめっこ。
そんなことを言ってももう遅い。俺たちは『え、ヤバっ!動画取っとくわ!』などとメールをし、動画を保存する。
「せめてお前だけでも……ぶっ潰す!!」
何を言ってるんだか。そうしていじめっこはジンに飛びかかる。
それを紫耀と岸さんが止めた。
いじめっこは反動で床に倒れる。それを見て今までボーっと突っ立っていた子分たちが散り散りに逃げていった。
あとはいじめっこのみ。
さあ、仕上げと行きますか。
俺は素早く動画の加工を済ませ、学校の掲示板サイトに飛ぶ。
「さーてと。ぐーじ。アレ、やっちゃっていい?」
俺はいじめっこの前に現れ、煽るような言い方でジンに聞く。ところがジンは計画外のことをし出した。
ジンはいじめっこに「ちょーっと待ってくれ。お前、もう二度と玄樹に手を出さないと約束するか?それならこの動画は公開しない。どうする?公開して退学か公開しないで立派に卒業か。」と聞いた。
絶対後者や!そんなの!!
「分かった。もうやめる。だから投稿だけはやめてくれ!それから…」
勇太side
「ジン。ありがと。かっこよかった!!」
いじめっこが帰ってすぐ。玄樹が俺に飛びついた。みんなはもう家に帰ってしまった。
「玄樹。痛かったでしょ。大丈夫?」
「ううん。でもまさか、ジンがあんな選択肢出してくるとはねー。いじめてきてた人も自分からあんなこと言うとは思ってなかった。」
あいつは最後、『次、こんなことをしたときに、その動画を投稿しろ』と言ってきた。
まあ、俺たちもうすぐ卒業するから無理なんだけどね。
「玄樹。」
ん?と振り向く玄樹。
俺は玄樹にキスした。
何が起きたのか分からず、顔を真っ赤にしながら驚く玄樹。
「なんかあったらまた言ってよ?」
玄樹は「うん」と言って頷いた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!
最後は少し変な内容になってしまいましたが、じぐいわをメインに書きたかったので、事件的なものがあればと思い、この話を考えました(笑)。
さて、次は何を書くのかっていう話なんですが……
なんとなーく構成は決まっています!
あとは最後をどうするかというところなのでフォローボタンをポチッとしておいてくれればと思います!!
それでは次回の作品で!!
(トレス素材、お借りしました!!)