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モブ有
全力疾走をして、何とかチャイムまでに体育館にたどり着く。
「ぜえ、はぁ…。」
「きつすぎ。」
奏斗と荒く息を吐きながら背の順で並ぶ。
右へならえ、の号令がかかって体操をする。
元の位置に戻り、体育すわりをした。
「今日はマット運動をやっていくぞ~。」
件の時に腹を下していた先生がそう声を上げる。
高校生でマット運動とはいったい…?
普通選択球技では?
まぁ、そういうのもあるか。
「ペアを作れ~。一応背の順な。」
確かに背の高いやつと小さいやつがペアを組んだら大変だろう。
えーっと、俺と身長近いやつは…。
「雲雀、一緒にペア組まない?」
「美園‼」
確かに美園なら身長がちかい。
「おいおいw渡会、美園と組んだらお前つぶされそうじゃね??」
「うっせ!そこまでやわじゃねーし?」
「つぶされるってか、折れる?」
「そこまで細くないわ‼‼」
馬鹿にしやがって…!
「雲雀?大丈夫?折れない?」
「折れないから‼くそ、美園まで…。」
「んふふ、冗談。ほらいこ。」
マットに近づきストレッチをする。
あ、奏斗とアキラでペア組んだんだ。
アキラ折れそう。
奏斗意外と体格いいからなぁ。
「ひばり、おすよ?」
「あ、おう」
美園が後ろから力を入れる。
「く、うぅ…。」
俺は体が硬い。
「雲雀硬いねぇ?」
ニヤニヤすんな‼
ふと、力が弱くなった。
「雲雀、それなに?」
「ひゃう⁉」
ちょい、と触られたのは首筋。
驚いて変な声が出てしまう。
「み~そ~の~???」
「あ、ごめん。で、これなに?」
美園が示したのは奏斗にやられたキスマ。
「あー。あー…。虫刺され?」
「ふぅん。そっか。」
絶対納得していない顔で美園が頷く。
「み、美園…?」
「ストレッチやるよ。」
ぐっと再度力が込められる。
しかも、さっきより強い。
「ちょ、みそっ、あ、」
痛くて声が出てしまう。
「やめっ、あん、もうむりだからぁっ」
容赦がなくて涙が出そうになる。
「静かにして?」
鋭い瞳に心がつかまれる。
「ぇ、あぇ?」
力がこもった。
「ひゃぁあっ⁉⁉いだ、いだぃっ、も、むりっげんかいなのっ」
大きい声が出てしまい焦る。
しかしそんなことを考えられないくらいつらい。
美園は何を思ったのか手を離した。
「はぁ、はぁ…。」
べちゃりとマットに倒れこむ。
びくびくと体が痙攣して動けない。
「あの、美園…?手加減してやれよ…?」
先生がおろおろと美園に声をかける。
「はい。すいませんでした。」
形だけの謝罪をして、こちらを向く。
「まだ体ほぐせてないよね?続き、しよっか。」
「ひぇ…。」
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