7時半、起きてしまった。殺人が。
葛葉「…は、? ちーさん?」
…なんというか、悲惨だった。
あの青と白で出来ていた服が紅く染まっていて、少し開いている瞳には光も何もなかった。
可笑しいだろ、いや、普通に考えて。何で? ちーさん死んでんの?
生きてる…よな? 冗談だよな?
放心状態でぼーっとちーさんの方を見てたら、社長が前に出てきてちーさんの手首に触れた。その後、彼は首を振った。死んでるという事だろうか、マジで?
あぁ、そっか。起きちまったんだ、殺人。
そう理解した時だった。
『…死体が発見されました。一定時間の後、裁判が開かれます。
まさか動機を提示する前に殺人が起きるとは…私も予想外で御座います。
では、生き残る為に証拠集めに励んで下さいませ。』
憎たらしい機械音の、アナウンスが鳴り響いた。
死体…そうか、死体か。人が集まるまでしばらく何も言葉を発さなかった、社長も、叶も。
きっと集まるまでに時間はあまりかかっていないと思う、でもその時間は、とても長く感じた。
…あーあ、もっとダメージは少ないと思ってたのに。ヘッショくらった気分だよ。
俺は静かにその場に座り込んだ。
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不破「…くそ、」
月ノ「嘘…ちーちゃんが、何で…」
長尾「あー…、ちーさんやられたかぁ…」
皆、個々にちーさんの名前を呼んで、泣き崩れる人もいれば怒りを表す人、悔やむ人も居た。
そして、皆の啜り泣く声を断ち切った人物が1人。
叶「…皆、アナウンス聞いたよね。証拠、集めない?ほら、死因とかも…調べないとでしょ、?」
正直、すげぇなって思った。んな血だらけの現場を見て、これだけ冷静に居られるんだ。…いや、冷静っつーか、これしか方法が無いからって言った方が正しいかもしれない。確かに叶の手は震えていた、近くに居る俺だから分かる。…それでも、この発言を出せたのは凄いことだ。
…流石叶。なら、俺もその横に立たないとな。口元へ手を持っていって、その手の下で小さく口角を上げる。大丈夫、何とかなる筈、そう信じよう。
葛葉「…あ”ー、そうだな。死にたかねぇし。やるかぁ…!」
長尾「…おう、俺もやるぜーい」
不破「そうっすね…俺もやるかぁ」
ぐっ、と腕をストレッチのように伸ばしながら立ち上がる。
長尾景はもう立ち直ったらしい、声色がいつも通りで、首を回しながらやる気を見出していた。
…流石祓魔師、配信で聞いた通りだな。
ふわっちは…普通になんか凄いと思う、うん。どういうメンタルしてんだろう。
気が乗った声ではなかったが、確実に前へ進もうとしている。
周りの皆はまだ切り替えが出来てないみたいだ。まぁ、そんな事だろうと思うけど。
…と、その時。
本間「…何でそんなすぐ切り替えられるんや?!」
彼女が泣いたまま、ぐずった声のまま訴えて来た。んな事聞かれてもなぁ、理由って…
葛葉「死にたくねぇもん。」
それしか浮かばんだろ。だって犯人にされると処刑。そしてアナウンスでは此処から出る方法を提示していない。最後の一人まで殺し合うのか、違う抜け道があるのか知らないが。…今は死にたくないから動く、それだけだ。
本間「…んな理由で納得出来るかぁ!!四人とも可笑しいって…!!」
椎名「ひまちゃん落ち着きぃ…?」
葛葉「…ほんひま、御前10分後には泣き止んで立ち直ってるだろ多分。そういう事だよ、早く前向いてこっち来い。俺らはちょっと早いだけだぁら。」
無理して立ち直れと言わない。まぁ死亡リスクが高まるけどな。
俺がそう言うと彼女は目をハッとさせて黙り込んだ。考えてしまったのだろう、その時の自分を。…まぁ、実際そうなるんだろうから何も言わないでおこう。
はよやるぞ、というように目配せすると長尾景はこの部屋の探索へ、不破さんはアリバイを聞きに、俺と叶は死体の確認をし始めた。
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今日の証拠、アリバイ
8時、全員が現場へ集合。
8時25分、捜索開始。
不破湊はアリバイ調査 長尾景は部屋の証拠捜索 葛葉と叶は死体捜索
その他のライバーは呆然と立ち尽くした後、現場を後にした。
コメント
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最初はかなかなに「おっ?」って思ったけど、今度はふわっちも怪しくなってきたな…