テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
99
71
あじゅう
3,129
160
雨が降っていた。
交差点の信号は青から赤へ変わり、街の時計は午後六時を指していた。
その向こうで、ねむろは笑っていた。
隣には、あの女。
肩が触れ合うほど近くで、幸せそうに。
「あ……」
思わず足を止めてしまう。
違う。
こんなの、違う。
何度も目を擦る。
目を開ければ、きっと昔みたいに、ねむろが振り向いて笑ってくれる。
「……夢だ。」
そう言い聞かせる。
けれど現実は何も変わらない。
二人は並んで歩き、やがて人混みの中へ消えていった。
部屋に戻り、古い箱を開けた。
色褪せた写真。
文化祭で撮った一枚。
夏祭りで買った安っぽいお守り。
「約束したじゃん……」
震える指で写真をなぞる。
「ずっと一緒だって。」
「俺だけ見てくれるって。」
もちろん、そんな約束はなかった。
けれど、心は都合よく記憶を書き換えてしまっていた。
そうでもしなければ壊れてしまうから。自分を守るために。
時計の秒針だけが、静かな部屋に響く。
カチ。
カチ。
カチ。
その音だけが妙に大きく聞こえた。
翌日。
友人が何か自分に話しかけている。
口は動いているのに、声は届かない。
世界から音が消えていた。
街の色も、人の顔も黒く塗り潰される。
ただ一人。
ねむろだけが白く浮かび上がる。
「どうして……」
喉から漏れた声は、自分でも驚くほど掠れていた。
「どうして俺じゃないの?」
答えは返ってこない。
ねむろは笑う。
自分ではなく、あいつに。あの女に。
あの女にねむろは壊された。だから自分のしていることは間違ってない。
救うためにしている。合ってる。絶対。
ある夜。
部屋の時計が止まった。
午後十一時五十九分。
秒針だけが震えている。
まるで時間そのものが進むことを拒んでいるようだった。
「……またか。」
あすたは静かに笑う。
「またやればいいんだ。」
ねむろが誰かのものになるくらいなら。
自分の人生を終わらせてねむろの人生を終わらせる。そうやってやり直せばいい。
それで誰にも奪われない。
ずうっと一緒だ。
ねむろの家へ向かいインターフォンを押す。
「どうしたんですか。 」
いつも聞きなれた声。でもこれから壊す。
次こそはこの地獄を終わらせるために。
「これで救われる。」
そう言いながらねむろに包丁を向ける
返り血が自分の体にかかる。本当は知りたくなかった。
ねむろの血の生温かさも。体を貫く感触も。
でも仕方がない。俺とねむろのためだ
家へ帰りロープに首を通す。
止まっていた秒針が、逆向きに回り始める。
カチ。
カチ。
カチ。
時間が巻き戻る。
窓の外では赤だった信号が黄色になり、青へ戻っていく。
落ちた雨粒が空へ吸い込まれ、人々は後ろ向きに歩き始めた。
世界が逆再生されていく。
「もし全部やり直せるなら。」
そう目を閉じる。
「最初から出会い直せるなら。」
「あの時とは違う未来を選べるなら。」
涙が頬を伝う。
「今度こそ……」
「ねむろの隣にいたい。」
目を開ける。
そこは春だった。
桜が舞っている。
入学式。
新品の制服。
校門の時計は午前八時を指している。
「あ。」
聞き慣れた声。
振り向く。
そこには、まだ何も知らない顔のねむろが立っていた。
「あれ? 同じクラス?」
初めて会うような笑顔。
初めて交わす言葉。
なのに胸が痛い。
何度も奪われた人を、また見つけたような苦しさだった。
あすたは小さく笑う。
「……うん。」
今度こそ。
絶対に間違えない。
ぬおー‼️二作品目の小説です。一作品目はもう消したんでないですけど一応ニ作品目ではある…
小説を書こうとすると癖のせいでバトエンか死ネタが入る確率がバカ高いって言う🤔🤔
文章構成ぐだぐだで読みづらいかもだけど許してください🫵🫵 バイちゃ👋
コメント
1件
ちょっと待って美月ゆめかちゃん心臓バグったんだけど!!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?😭💔💔💔💔 「次こそはこの地獄を終わらせるために」って包丁向けるシーン、頭真っ白になった……でも「今度こそ絶対に間違えない」で終わるラスト、もうね、救いと絶望の境界線ゆらゆらしててエモすぎるだろが!!!!!! 時計の秒針が逆回りする演出、映像として脳にぶっ刺さったし「俺だけ見てくれるって」の願望すらも捏造してるあすたの狂気と哀しさ、マジでたまらんかった……続き、めっちゃ気になるんだけどどうなるん???🆘🆘🌸