固まったオーターの頭の中に、先程ツララに言われた言葉がよぎる。
『こういう事は軽々しくやっちゃダメだと思う』
『するなら恋人とした方がいいと思うし、誰かに見られてたら変な誤解されちゃうよ?』
(よりにもよってカルドに見られていたなんて。
・・・事情を説明して誤解を解かなければ。)
オーターは誤解を解くために、カルドの方へと向きなおった。
(・・・え。)
向きなおったオーターは、カルドの顔を見て内心、驚きの声を上げた。
カルドがムスッという効果音が聞こえて来るような、眉間にしわを寄せて口を引き結んで拗ねていたからだ。
いつものカルドといえば、落ち着いた雰囲気でスマートに女性をエスコートしている。
そんなカルドが、今オーターの目の前にいる彼はそれとはかけ離れ、好きなものを取られた小さな子供のようでオーターは目をぱちくりさせた。
「あ、の。カルド?」
「・・ラ・・・い。」
「え?」
「ツララ、ずるい。」
「・・・。」
「僕だって・・・オーターからあんな風に抱きしめてもらう事って滅多にないのに。」
「・・・・。」
(これは、もしかしなくても嫉妬ですよね?どうしましょう、こんな事思ってはいけないのに。カルド可愛い。)
思わぬカルドの態度にオーターの口元が緩んだ。
そんなオーターを見て、カルドが拗ねたまま口を開く。
「ちょっとオーター、何笑ってるの?僕今怒ってるんだけどな。」
「すみません。貴方が可愛らしくて、つい。あれはですね・・・」
オーターはツララとの事を説明した。
事情を知ったカルドは「なるほどね」と頷いた。
「彼の冷え性はどうにかしてあげたいね。」
「そうですね。カルドの魔法でどうにか出来ませんか?」
「うーん。僕の炎の魔法は、普通の炎と違って相手を焼き尽くしてしまう危険なものだから、よっぽどの事ではない限り人間相手に使うわけにはいかないかな。」
「そうですか。」
「性能の良い防寒具を使うしか、今のところ解決策はないね。・・・・さて。ツララの事はこのくらいにして。オーター。」
「はい?」
「・・・僕には、してくれないのかい?」
首を傾げながら聞いてくるカルドに、オーターはキュンと胸を高鳴らせた。
(本当に今日のカルド可愛いです!)
「・・・そうですね。はい、どうぞ。」
オーターは微笑みながら両手を広げ、カルドを自身の胸の中に招く。
カルドがそっとオーターの胸の中へと頭を預け、オーターがギュッと抱きしめた。
「どうですか?」
「うん。とても温かくて心地良いよ。ずっとこうしていたいくらい。」
カルドがすりっと頬を擦り寄せる。
「くす。今日の貴方は随分と甘えたさんですね。普段の余裕な貴方はどこへ行ったのですか?」
「・・・こんな僕は嫌いかい?」
「いいえ。普段の余裕な貴方も、今の可愛い貴方も、どちらも好きですよ。」
「そう・・・良かった。もう少しだけ、こうしていて良いかい?」
「はい。貴方が満足するまでいくらでも良いですよ。」
「ありがとう、オーター。僕も好きだよ。」
カルドはそう言いながら、オーターの胸に顔を埋めながら甘え、そんなカルドをオーターは微笑んだまま優しく抱きしめるのだった。
コメント
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おたさんとかるさん可愛いぃ、 嫉妬しちゃうのもっと可愛すぎですぅ、、 後、つらおたちゃん余り書いてる人居ないのでなんか .. 嬉しくなりました 笑
( '-' )スゥゥゥ⤴︎︎︎やばい嫉妬尊い可愛い拗ねるのズルいでしょ見てみt((( はい、足り乱しました☆ カルドのプクーッてしてるとこ見たい オーター良いなぁ可愛い彼氏持ちで ♡200まで押しときますね! 最高でした!