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俺はこの世中から何度も消えたいと思った。
吉『また、死ねなかった。』
手首から滴りおちる血を拭き取り慣れた手つきで包帯をまく。
吉『仕事いくか…』
ゆっくり立ち上がり虚な顔で職場へ向かった。
職場に着くと周りからは突き刺さるような視線。
俺の悪口もずっと聞こえている。
「また、あいつ仕事来てるよ。」
「よく、来れるよな。Ωのくせに。」
「いいよな、あいつ。Ωってだけで社会的に優遇されてよ。」
(お前らに何がわかる。俺だってなりたくなってんじゃねぇよ。)
最初は周りの陰口に傷つき泣いた日もあった。
でも、今はそんな感情すら消えてしまった。
心底どうでもいい。
この世界には男女の性別だけでなく、第二の性がある。
人口の8割を占めるのがβだ、βは第二の性はほぼ関係ない。所謂普通の部類だ。
αは、雄の資質を持つもの。男のオメガを妊娠させることができるし、容姿・能力ともに優れており、地位も権力も持っている人が多い。
そして1番少ないΩ、雌の資質を持つ。男でも妊娠してしまう。
ヒートが定期的にあり、まともな職にすらつけない。
そして、それが俺。Ωだと診断されたのは学生のころだ。それから周りの対応も変わった。
β同士の間から産まれたΩの俺。今まで優しかった両親からも忌み嫌われる存在となった。
ただのΩだけならよかった。しかし、それ以上に苦しめているのは俺の特異体質だ。
αとΩにはランクがあるS〜Dランクあるが、稀にSSやSSSなどいるそうだ。
でも、俺はランクが上じゃない。
Ωの中でもいない、Dランク以下。所謂圏外ってやつだ。
俺は特異体質のため、抑制剤を飲んでも周りにフェロモンを漂わせてしまう。
元々の顔もあり、襲われそうになったことがある。
拒否すると
「なんだよ、お前の方からフェロモン漂わせて誘ったくせに。だから、Ωは。」
「お前それ、逆レイプだから。」
なんて、言葉は何度も言われてきた。
何度も繰り返すたびに俺の心は冷え切っていき、周りに壁をつくった。
家族、友達なんていない…ずっと孤独に生きている。
別に襲われても関係を持てばいいだけなのかもしれない、でも俺にはできない理由がある。
匂いだ、周りは俺の匂いによってくる。
でも俺からすると言い方は悪いが腐った食べ物のような、匂い。
そう、相手の匂いが不快で仕方なかった。
今まで、交わることもなく過ごした俺は、ひどいヒートを繰り返し体はボロボロになっていくばかりだった。
この世の中には、運命の番と言うものがある。
御伽話のようだが、最初は俺も信じてた。
俺にも運命がいるかもって…..
でも、そんな考えが甘かったんだ。
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