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キルアと×××(ゴン登場)
結婚しちゃいました🫣
キルアと×××は、
幼稚園のころからずっと一緒だった。
朝、登園すると――
気づけばもう隣。
「きるあ、おはよー」
「ん。おはよ」
先生に言われなくても、
靴箱も、席も、自然と並ぶ。
お弁当の時間も同じ。
「きょう、たまごはいってる!」
「俺も」
ふたを開けて、
見せ合って、
同じところから食べる。
そこにだいたい現れるのが、ゴン。
「いいなー!
ぼくもまぜて!」
三人で輪になって、
わいわい食べるのが毎日だった。
⸻
お昼寝の時間。
キルアと×××は、
なぜかいつも隣。
布団を並べて、
こっそり顔を近づける。
「……ねえ」
「なに?」
小さな声で、
目を合わせて。
ちょん、と
ほっぺに軽く。
「……ちゅ」
二人とも、
意味はよく分かってない。
でも、
なんだかうれしくて。
「えへへ」
「……へんなの」
照れたまま、
また布団にもぐる。
先生に見つからないように、
ひそひそ笑う。
⸻
ある日、園庭で遊んでいるとき。
砂場に座って、
お城を作りながら、
×××が言った。
「おおきくなったらさ」
「うん?」
「いっしょにすむの」
キルアは一瞬考えて、
すぐうなずく。
「いいよ」
「じゃあ」
×××は真剣な顔で言う。
「けっこんする?」
キルアは、
ちょっとだけ考えてから。
「……する」
小指を出す。
「やくそくな」
×××も、
小指を絡める。
「やくそく!」
そこに、
ゴンが飛び込んでくる。
「なにしてるのー?」
「ひみつ!」
「ずるい!」
三人で転がって、
また笑い合う。
⸻
そのころは、
まだ何も知らなかった。
でも――
「一緒にいるのが当たり前」だった気持ちは、
ちゃんと、今にもつながっている。
小さな約束は、
ずっと胸の奥で、
消えないまま。
小学生になっても、
キルアと×××は変わらなかった。
朝。
「おはよ」
「おはよー」
言葉はそれだけ。
でも、自然に手が伸びる。
ぎゅっと握って、
そのまま登校。
誰に言われたわけでもない。
手をつないで歩くのが、
もう“いつものこと”。
「今日の算数さ」
「うん」
「あとで一緒にやろ」
「いいよ」
そんな会話をしながら、
同じ歩幅で歩く。
たまにゴンが後ろから走ってくる。
「また二人で登校!
ぼくもまぜてよ!」
「はいはい」
三人で並ぶけど、
キルアと×××の手は
離れない。
⸻
休み時間。
チャイムが鳴ると、
ほぼ同時に立ち上がる。
「行く?」
「行こ」
校庭でも、教室でも、
図書室でも。
気づけば、
いつも同じ場所にいる。
鬼ごっこをしても、
ドッジボールをしても、
最後は隣。
「つかれたー」
×××が言うと、
キルアは何でもない顔で答える。
「じゃあ、
ここ座れよ」
ベンチに並んで座るのも、
当たり前。
肩が触れても、
誰も気にしない。
⸻
放課後。
「今日も一緒に帰る?」
×××が聞くと、
キルアは即答。
「当たり前だろ」
ランドセルを背負って、
また手をつなぐ。
夕方の道。
「なあ」
キルアが言う。
「幼稚園のときさ」
「やくそくしたの、
覚えてる?」
×××は少し驚いてから、
にっこり笑う。
「うん」
「忘れてないよ」
キルアは照れたように、
でも手は強く握ったまま。
言葉はそれだけ。
でも――
“一緒にいる”ことが、
もう答えだった。
中学生になって、
二人の距離は変わらない――
どころか、もっと自然になった。
朝の登校。
手をつなぐことは減ったけど、
並んで歩く位置はいつも同じ。
「今日さ、英語ある」
「知ってる。
昨日言ってた」
言われなくても覚えてる。
休み時間も、
席を立つタイミングも一緒。
「……来るだろ」
「行くって言おうとしてた」
言葉がかぶって、
目が合って、
小さく笑う。
周りからは、
もう何も言われない。
「付き合ってるの?」
そう聞かれても、
二人とも首をかしげるだけ。
「……分かんない」
でも、
誰よりも一緒にいる。
高校生になると、
周りはどんどん変わっていく。
告白とか、
恋人とか、
別れ話とか。
でも、
キルアと×××は変わらない。
放課後。
同じ帰り道、
同じ自販機、
同じベンチ。
「今日、疲れた」
×××が言うと、
キルアは何も聞かずに隣に座る。
「……無理すんな」
それだけで、
全部伝わる。
距離は近い。
肩が触れる。
かばんが当たる。
でも、それ以上はしない。
しなくても、
足りているから。
「なあ」
キルアが静かに言う。
「もしさ」
「離れることあっても」
「俺は、
戻ってくる」
×××は驚かず、
ただうなずく。
「知ってる」
「私も」
恋人、という言葉より。
約束、という言葉より。
一緒にいる前提が、
もう完成していた。
⸻
周りから見たら、
恋人以上。
でも二人にとっては、
“ずっと一緒に育ってきた相手”。
選ぶとか、
決めるとかじゃなくて。
気づいたら、
隣にいる人。
それが――
キルアと×××だった。
夕方の×××の家。
テーブルには飲み物とお菓子。
空気はゆったりしている。
キルアがカップを置いたとき、
指先がきらっと光った。
×××の指も、同じ。
――お揃いの婚約指輪。
ゴンはそれを見逃さなかった。
「……あーあ」
にやにやしながら、
わざとらしくため息。
「とうとう隠さなくなったね」
「前から隠してない」
キルアが即答すると、
×××も同時に言う。
「ね」
ゴン、吹き出す。
「はいはい、
息ぴったり息ぴったり」
ソファに深く座り直して、
ゴンは続ける。
「でもさぁ」
「幼稚園のとき、
布団の中でこそこそ話してた二人が」
「まさかここまで来るとはね」
×××は少し照れて笑う。
「ゴン、
それ何回目の話?」
「だってさ」
ゴンは指を折る。
「ほっぺにちゅー」
「小指で結婚の約束」
「小学生で毎日手つなぎ登校」
「中高で恋人以上未満」
「そして現在、
指輪」
「完全に
成長記録じゃん」
「やめろ」
キルアは顔をしかめるけど、
耳が赤い。
ゴンはそれを見て、
さらに楽しそう。
「でもさ」
急に、少しだけトーンを落とす。
「二人とも、
昔と変わってないよね」
「一緒にいるのが、
当たり前すぎて」
×××は指輪を見つめて、
静かに言う。
「うん」
「選んだ、っていうより」
「気づいたら、
ここにいた感じ」
キルアも頷く。
「離れる理由が、
一回もなかった」
ゴンは目を細めて、
それからまたニヤッ。
「はいはい、
綺麗にまとめない」
「でも言っとくけど」
「俺が一番最初に
“これは結婚するな”って思ってたから」
「自分で言うな!」
三人で笑う。
窓の外は、
少しずつ夜。
長い時間を一緒に過ごして、
たくさん変わって、
でも根っこは同じまま。
ゴンは立ち上がって、
伸びをした。
「ま、
からかうのも今日までかな」
「次からは
“夫婦”って呼ばないと?」
「呼ぶな」
「絶対呼ぶ」
また笑い声。
指輪が、
同じ光を返す。
幼稚園から続いた“当たり前”は、
ちゃんと、
未来につながっていた。
休日の午後。
×××とキルアの家。
インターホンが鳴って、
ドアを開けた瞬間。
「はいどうもー」
ゴンが、
分厚いアルバムを抱えて立っていた。
「……それ、なに」
キルアの嫌な予感が的中する。
「幼稚園のアルバム!」
「実家で見つけちゃってさ」
「これは本人たちにも
見せなきゃと思って」
×××は一瞬固まり、
次の瞬間、顔を押さえる。
「……やな予感しかしない」
⸻
リビング。
テーブルの真ん中に置かれるアルバム。
ゴンがわざとらしくページを開く。
「さーて、
記念すべき1ページ目」
そこに写っていたのは――
園服姿のキルアと×××。
ほっぺに、ちゅ。
「……っ!!」
「ちょ、ゴン!」
キルアが即座にアルバムを閉じようとするが、
ゴンが素早く阻止。
「まだまだ!」
次のページ。
今度は――
口と口が軽く触れてる写真。
しかも、
二人とも目を閉じてる。
「うわぁ……」
×××は耳まで真っ赤。
「これ……
いつの……?」
ゴンはにっこにこ。
「先生の写真だよ」
「“仲良しさん”って
コメント付き」
「やめろぉ……」
キルアは頭を抱える。
さらにページをめくる。
今度は――
お昼寝布団で二人並んで、
くっついて寝てる写真。
腕が触れて、
距離ゼロ。
「……あ」
×××が小さく声を出す。
「これ、
いつも隣だったやつ……」
ゴンは深くうなずく。
「うん」
「これも、
これも、
これも全部」
ページをめくるたびに、
同じ構図。
一緒に座る。
一緒に寝る。
一緒にくっつく。
「……偏りすぎだろ」
キルアがぼそっと言う。
ゴンは真顔で言った。
「偏ってないよ」
「事実」
「幼稚園の頃から、
もう完成してた」
×××は照れながらも、
写真を見つめる。
「……なんか」
「今とあんまり変わらないね」
キルアも小さく笑う。
「……確かに」
ゴン、すかさず。
「でしょ?」
「だからさ」
「結婚報告聞いたとき、
俺こう思った」
『あ、
やっとか』
「言うな!!」
二人同時。
ゴンはお腹を抱えて笑う。
「いやー」
「このアルバム見たら
誰でも納得するって」
「ほっぺちゅー、
口ちゅー、
添い寝」
「これで
“ただの幼なじみ”は
無理あるでしょ」
×××は完全に観念した顔で、
キルアの腕に軽く寄りかかる。
「……昔からだったんだね」
キルアは少し照れながらも、
そのまま。
「……今さらだな」
ゴンはアルバムを閉じて、
満足そうに言う。
「はい」
「これはもう」
「幼稚園公認夫婦」
「称号つけるな!」
また三人で笑う。
アルバムの中の、
小さな二人。
その距離は、
何年経っても――
変わらなかった。
アルバムを閉じたあと。
ゴンが、
スマホを取り出して一言。
「ねえ」
「せっかくだしさ」
嫌な予感。
「……なに」
キルアが警戒すると、
ゴンは満面の笑み。
「再現しよ?」
「は?」
「この写真たち」
×××も一瞬固まる。
「え、
いま!?」
「いま以外にいつやるの?」
ゴンは当然みたいに言う。
⸻
まずは――
ほっぺちゅー写真。
「はい、そこ座って」
「もうちょい近く」
「はいストップ」
×××が近づいた瞬間、
キルアの動きが止まる。
「……近くない?」
「当時より離れてるけど?」
「……っ」
ゴンが言う。
「ほら、
幼稚園のときは
これくらい自然だったでしょ」
「今のほうが
緊張してるのおかしいって」
「うるさい……」
×××がそっと、
キルアのほっぺに近づく。
ちょん。
一瞬。
「……!!」
二人とも一気に顔が赤くなる。
「はい撮れたー!」
ゴンは爆速。
「大人なのに
この反応」
「尊いね」
「言うな!!」
⸻
次。
口が軽く触れてる写真。
「……これは却下」
キルア即答。
「当時やってたよ?」
「当時と今は違うだろ!!」
ゴンは肩をすくめる。
「じゃあ、
ギリ再現で」
「顔近づけるだけ」
×××とキルア、
向かい合う。
近い。
思ったより、ずっと。
視線が合って、
先に逸らしたのは同時。
「……無理」
「……むり」
ゴンは即シャッター。
「はい、
“直前で照れてる写真”」
「これも味あるね」
⸻
最後は――
お昼寝写真。
「これさ」
ゴンがアルバムを指差す。
「完全に
くっついて寝てるやつ」
「再現できる?」
沈黙。
×××が小さく言う。
「……座るだけ、
なら」
「それでいい」
ソファに並んで座る二人。
肩が触れる。
少しだけ、
×××が寄る。
キルアは一瞬迷って、
そのまま受け止める。
「……昔も、
こんなだったな」
「うん」
ゴンは静かにシャッターを切って、
満足そうに言う。
「結論」
「幼稚園の二人と、
今の二人」
「距離、
ほぼ変わってません」
二人は顔を見合わせて、
同時に苦笑。
「……成長してないのか」
「……一貫してるのか」
ゴンはにやっと笑う。
「後者でしょ」
「最初から
ずっと一緒の人を
選び続けてただけ」
写真フォルダには、
昔と今が並ぶ。
同じ距離、
同じ並び。
ただ――
指輪が増えただけ。
「……なあ」
キルアが照れたまま言う。
「これ、
一生残るやつだよな」
ゴンは即答。
「もちろん」
「老後も見せる」
「やめろ!!」
笑い声が、
部屋に広がる。
幼稚園から続く“当たり前”は、
ちゃんと今も、
そこにあった。
段ボールが積み上がったリビング。
「この箱、軽いから先に片付けるか」
キルアが開けた瞬間――
「……あ」
中から出てきたのは、
小学校の卒業アルバム。
ゴンの目が一瞬で光る。
「来た」
「来ちゃったね」
×××は嫌な予感しかしない。
⸻
まずは小学生。
ページを開いた瞬間、
どの写真にも――
必ず隣にいる二人。
「登校班の写真、隣」
「遠足、隣」
「集合写真でも、
なぜか肩くっついてる」
ゴンは指差し確認。
「はいはい、
ここも、ここも」
「キルア、
手ちょっと引っ張ってるよね?」
「無意識だ」
×××は顔を赤くしながら笑う。
「この頃、
手つなぐの当たり前だったもん」
ゴンは深くうなずく。
「知ってる」
「クラス全員知ってた」
「え!?」
「“あの二人はセット”って
常識だったよ」
キルア、軽く頭を抱える。
「知らなかった……」
⸻
次に出てきたのは、
中学校の卒アル。
空気が少し変わる。
今度は、
露骨な距離感。
並んで立つ写真、
微妙に体が内側に向いてる。
「……近くない?」
×××が小声で言うと、
ゴンが即反応。
「近い近い」
「肩の角度がもう
“特別枠”」
「付き合ってた?」
「違う!」
「違うよ!」
二人同時。
ゴン、満足そう。
「でもさ」
「この写真の二人、
完全に“恋人未満って言い張ってるやつ”」
「言い方」
ページをめくると、
行事写真。
文化祭、体育祭、修学旅行。
「はい修学旅行」
「部屋違うのに、
写ってる写真ほぼ一緒」
「集合かかると
自然に隣に戻る」
×××は思い出したように言う。
「……気づいたら、
一緒にいたよね」
キルアも静かに頷く。
「離れる理由、
なかった」
ゴンはアルバムを閉じて、
にやっと笑う。
「結論」
「小学生:
もう夫婦」
「中学生:
自覚なし恋人」
「今:
正式ルート」
「段階踏みすぎだろ」
⸻
段ボールに戻そうとすると、
ゴンが止める。
「いや、これは
新居に持ってくでしょ」
「子どもできたら
絶対見せるやつ」
「気が早い!」
×××は照れながらも、
そっとアルバムを抱える。
「……でも」
「全部、
ちゃんと残ってるね」
キルアはその様子を見て、
小さく笑う。
「一緒にいた証拠だな」
ゴンは立ち上がって伸びをする。
「引っ越しても」
「場所変わっても」
「この二人は
何も変わらないね」
「最初から
完成してたんだから」
また三人で笑う。
段ボールの山の中、
思い出だけが、
どんどん増えていった。
引っ越し初日。
段ボールはまだ半分残っていて、
カーテンも仮、
ソファもまだ来てない。
でも――
部屋には、ちゃんと「生活」があった。
「……思ったより落ち着くな」
キルアが窓を開けながら言う。
×××はキッチンでマグを並べて、
小さく笑う。
「うん。
最初の日なのに、不思議」
二人でいるだけで、
もう“家”だった。
⸻
ピンポーン。
その空気を壊す、
聞き覚えのある音。
「来たな」
ドアを開けた瞬間。
「おじゃましまーす!」
ゴンが、
両手に袋を提げて立っていた。
「新居初訪問、
記念すべき第一号!」
「勝手に決めるな」
「いいでしょー」
ずかずか入ってきて、
部屋を一周。
「へぇー」
「思ったより広い」
「で」
振り返って、
にやっと笑う。
「もう二人の匂いする」
「言い方!」
⸻
リビング。
床に座って、
即席のテーブル。
ゴンが袋から出したのは、
差し入れのお菓子と――
なぜか、写真立て。
「はい」
「なにこれ」
「新居祝い」
写真立ての中身は、
例の“再現写真”。
幼稚園の構図で、
今の二人。
「……ゴン」
「飾っときなよ」
「初期設定って大事だから」
×××は苦笑しながら、
棚の端にそっと置く。
「……ここでいい?」
「完璧」
⸻
しばらくして、
三人で飲み物を飲みながら一息。
ゴンがふと、
真面目な顔になる。
「さ」
「こうして見るとさ」
「本当に、
変わらないよね」
「場所が変わっただけで」
キルアは少し考えてから言う。
「……変わったよ」
「何が?」
「守るものが、
ちゃんと“形”になった」
×××は、
その言葉に少し照れながら頷く。
「一緒に帰る場所が、
できた感じ」
ゴンは一瞬だけ黙って、
それから笑う。
「はいはい」
「そういうの、
もう聞き慣れた」
「でもさ」
立ち上がって、
玄関に向かいながら言う。
「何かあったら、
すぐ呼びなよ」
「茶化すけど」
「ちゃんと来るから」
「……ありがとな」
ドアが閉まる。
静かになった部屋。
×××がぽつり。
「……最初の客がゴンでよかったね」
キルアは、
写真立てをちらっと見てから答える。
「最初から
見てたやつだからな」
二人で並んで、
床に座る。
まだ何も揃ってない部屋。
でも――
一番大事なものだけは、
もう揃っていた。
to be continued….