テラーノベル
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さのじん学パロ
同い年幼なじみ設定です。
もちろんフィクションに限りですが、
体調不良大好きマンなので今回も盛り込んじゃいました。
アラーム音が遠くから聞こえてくる。
睡眠不足特有の気怠さがまとわりついて、
頭が重い。まだ眠っていたい。
そう思う反面、耳元で大きく鳴り響く音が不快で堪らなくなり、仕方なく身体を動かす。
まだ目も開ききらないような状態で音を消し、
再びベッドへと身体を沈める。
「はぁ…だる。」
昨日、というか、もう今日の話だ。
昔から体調を崩しやすいおれは、1週間ほど前まで風邪を拗らせ、2,3日学校を休んだ。
運悪く授業内で課題をたくさん出されたらしく、休んだ分が今一気に押し寄せてきた。
そのおかげで、今日は睡眠2-3時間コースだ。
今日は休んでしまおうかとも思ったが、また課題が積み重なっては悪循環だと思い、何とか気持ちを奮い立たせて身体を起こす。
スマホを見ると勇斗からのメッセージ。
アプリを開くと、 日直だから先に行く。と書いてあるのが目に入る。
元々沈んでいる気持ちがより深く沈んでいく。
今日は一緒に登校できないのか…。
準備の手が中々進まない。
結局いつもより20分程遅れて家を出発し、
始業開始ギリギリに教室へと到着した。
教室を入ると勇斗がクラスメイトと楽しげに話している姿が目に入る。
勇斗は昔から、漫画の主人公みたいなやつだ。
みんなに平等で優しくて、何事にも全力で。
運動もできるし顔もかっこいい。
そんなやつがモテないわけがないわけで。
俺は勇斗の逆で、友達と呼べる人は片手以内だし、教室の隅っこで読書をしているような陰キャだ。クラスメイトに話しかけられることも最低限、必要な時だけ。
勇斗はそんな俺を気にしてか、学校でもいつも俺と一緒にいてくれている。
ああやってクラスメイトに囲まれて楽しそうに話をしているところを見ると、おれは邪魔なんじゃないかと少々おセンチなことも考えてしまう。
そんな俺も、
みんなと同じで昔から勇斗のトリコなんだ。
そんなことを考えながら窓際の1番後ろにある自分の席へ足を進め着席する。
すると勇斗が俺の存在に気がついたのか、こちらに近づいてくるのが横目でわかる。
「おはよ!じんと。遅かったじゃん。なんかあった?」
「おはよ。別に何も。ちょっと寝坊しただけ。」
「めずらし。お前病み上がりなんだしあんま無理すんなよ〜。なんか今日顔白く見える…う〜ん、まあいつもの事か 笑」
「うるせぇ 笑」
そうくだらない話をしているうちにチャイムが鳴り、勇斗は自分の席へと戻って行った。
授業が始まる。
1限目は現代文だ。
眠気を誘われて、既に寝ている生徒も多々いる。
読書が好きな俺からしたら全く苦じゃない授業。様々な小説や文章なんかを色んな解釈をしながら理解していくのが面白いし、おじいちゃん先生の授業の進め方なんかも気に入っている。
でも今日の俺は違った。
流石に2-3時間睡眠の頭には内容が全く入ってこず、板書も中々進まない。
気づくとノートには、 みみず文字がいくつか誕生し、頭はこっくりこっくり揺れてしまっていた。
あぁ、眠い。寝たい。寝たい、けど寝たくない。
寝たいのに寝れない、そんな苦しい状況に頭痛すらしてくる。
そんな状況で1限目を何とか耐え、おれは机に突っ伏す。授業内容が何も頭に入っていない割に疲労がどっと押し寄せる。ノートの文字も人には見せられない程に歪んでいた。
こんなことなら眠気に逆らわず素直に寝ていれば良かった。次の授業寝ちゃおうかな…と顔を上げ時間割を見る。そこには「2限目 体育」の文字。
その言葉に思わず絶句。再び顔を伏せた。
体育…?寝れないどころか体力を消費するのか?しかもおれは運動が苦手だし、気持ちの面でもだいぶやられる。これは本当にもう今日は最悪の日だ。
「さいあく…」思わず声が漏れた。
すると伏せている頭を誰かに撫でられる。
こんなことをするのは勇斗しかいない。
顔を上げると案の定勇斗。なにか言いたそうな顔をしている。
「現国の授業めっちゃ船漕いでたじゃん。
めずらしい〜と思って。
今もめちゃくちゃ眠そうやん」
「べつに…シンプルに睡眠不足。
次の授業寝ようと思ったのに体育でさいあく」
「体育いける?体調悪いって見学にしたら?」
「いや、そこまでじゃない。 」
「ほんとあんま無理すんなよ。今日外だし着替えて早く行こうぜ。」
そう勇斗に言われ、着替えを急ぐ。
校庭へ向かうまでに「今日マラソンらしいぞ〜まじだりぃ」という声がどこかから聞こえてきてさらに絶望する。
マジで今日は最悪の日だ。
準備運動をし、出席番号順にペアを組む。
2チームに分かれて1チームずつマラソンを走り、ペアがタイムを計測するようだ。もちろん出席番号順だと勇斗とは離れ離れ。勇斗は後に走るチームのようだ。
俺は早く終わらせたくて、ペアの子に先に走らせて貰えるよう頼み、スタートラインについた。
走り始めはペース順調。みんなと足並み揃えて走っていたが、どんどん息の乱れが激しくなり、足も動かなくなってくる。
「じんとー!!足動かせ頑張れー!」
勇斗のバカでかい声援が聞こえてくる。
目立つから辞めろ、と思いつつ無視を決め込み
「はぁはぁ、無理だろこんなのっ!!」と
小さく悪態をつく。まだその元気はあるようだ。
だんだんと苦しさが限界になってくる。
「はぁ、はぁ、はぁ、、」
もうやばい、足動かない…。
そんなことを思っていると足がもつれそうになり、すんでのところで踏ん張って耐える。
が、俺が一瞬もつれたせいか後ろを走っていた生徒が思い切り俺にぶつかってきた。
「っ、、!?」
突然の衝撃に踏ん張れるはずもなく、
ぐらり、と視界が揺れ、そのままふたり一緒に校庭に倒れ込んだ。
「ご、ごめん吉田くん!!大丈夫!?」
クラスメイトがすぐに立ち上がり声をかけてくれているのが分かる。返事をしようとするが、まだ衝撃を処理できていなかった。
どんどん自分の息遣いで音が支配され、周囲の音が遠のいていく。転んで擦りむいた腕と足が痛い。 大丈夫だと言って起き上がらなければと思うのに身体が動かなかった。
「じんと!おい、大丈夫か!?」
大好きな人の声が耳に入ってくる。
「ごめんはやと…!吉田くんさっきから反応なくて…」
「まじか。おい、じんと?わかるか?仁人?」
身体が急に抱き寄せられる。と同時に肩を叩かれる感触がある。勇斗の焦りを含んだ声色に懸命に大丈夫だと声を出そうとする。返事を、しなければ。マラソンをしていたからだろうか。息苦しく、喉が乾燥して張り付いている。
「……だい、じょ…ぶ」
やっとの思いで出した声は掠れていた。
「っじんと…!どこが大丈夫だよ!」
すぐに帰ってくる強い声。
その奥に、明らかな焦り。
「じんと、立てるか?とりあえず保健室行こう」
そう言われるが、身体が言うことをきかない。
「仁人、ごめん。抱えていくわ。」
次の瞬間、ふわっと、身体が浮いた。
「ごめんちょっと道開けて!」
そう周りに言う声にザワザワと人が動く気配。
「……っはや、と…」
かすかに名前を呼ぶ。
「ここにいる。大丈夫、俺がいるから。」
その言葉に安心を覚える。
あぁ、やっと寝れる…。そんな呑気なことを考えながら遠のいていく意識。
「じんと?じんと!すぐ保健室だから!がんばれ!」
呼ばれる声。ごめん、はやと…、、
そのまま、意識が途切れた。
次に目を覚ました時、視界に入ったのは真っ白な天井だった。
保健室だと気づくまで少し時間がかかる。
頭がまだぼんやりしている。身体のあちこちも痛い。
「…いっ…」
少し身じろぐと痛みを感じて声が出る。
するとカーテンが開かれ、保健室の先生が顔を出す。
「起きた?よく寝てたわね〜。
結構派手に転んだみたいだから足も腕も傷だらけだし、顔もちょっと擦りむいてたのよ。軽い脳震盪も起こしてたかもね。あと、今日は朝から調子悪かったのかしら。運んできてくれた佐野くんが、調子悪そうだったって言ってたわよ。」
確かに本調子ではなかったが、こんな保健室のお世話になるほどのことではないはずだった。
「いま、何時ですか?」
そう尋ねると「今16時前くらい」と予想外の返事が帰ってくる。
「…え!?16時!?俺、そんなに寝てたんだ…」
「佐野くん。血相変えて来たから何事かと思ったけど、休み時間の度にあなたの顔を見に来て心配そうに頭撫でてたわよ…。ふふふっもう先生キュンキュンしちゃった!」
脳天気な感想を述べている先生は気にもとめず、勇斗の事で頭がいっぱいになる。
16時ってことは、もう勇斗も帰っちゃったかな…。
「親御さんには連絡して、仕事終わり次第迎えに来られるそうよ。それまでもうすこしここで休んでなさいね。」
「…はい。」
たくさん寝た割にはまだ頭がぼんやりする不快感が残っていた。これも脳震盪の影響なのだろうか。徐々に眠気がやってきて、ブラックアウトしそうになったところで、扉がガラガラ!と勢いよく開いた。
「っ先生!!じんとは?日直で遅くなっちゃった。目覚ました!?」
「佐野くん、もうちょっと静かに入ってきてちょうだい。吉田くんならちょうどさっき目を覚ましたわよ。」
「ごめん!!ありがと先生!」
そう言ってこちらに近づいてくる足音が聞こえ、
「仁人入るよ」とカーテンが開かれる。
「…はやと」
「仁人!よかった、目が覚めて。お前、ほんと心配したんだからな!!」
大きな声に頭痛がする。顔をしかめると「ごめんな、声大きかったよな」と謝られた。なんともしおらしくて少し笑えてくる。
「はやとごめん…ありがと助けてくれて」
「当たり前だろ。ほんと焦った…。持ち上げたらめっちゃ軽いし、反応無くなるしで肝が冷えたわ。
あとお前結構派手に転んでたから怪我沢山しててさ。身体、痛いよな。仁人のママ来たら俺も一緒に帰るから。」
「顔にも傷できちゃったな…」
そう言い、でかい絆創膏が貼ってある俺の頬を撫でてくれる。
その手が、温度が、勇斗の声が、優しくて気持ちよくて、再び眠気が襲ってくる。
「…はやと…きもちいい、、もっとなでて…」
一瞬勇斗の手が止まる。がまた動き出し、今度は頭を撫でてくれる。
「眠たいならお迎え来るまで寝てな。ここにいるから。」
「…ぅん。ありがと、、」
そうして、大好きな勇斗の気配を傍で感じながら、意識が完全に落ちる。
珍しく素直になってる仁人に、顔を赤くしながら頭を抱えた勇斗がいたことは、まだ誰も知らない。
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