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~あ、多分この人だ、スーツだし…~
その男性は顎髭が綺麗に短く揃えてありワイルドではあるがとても愛嬌のある笑顔を見せている。
「私これから打ち合わせがあるのですが、まだそれまで時間があるからお茶してようかと思ってて…」
「そうだったんだね、ならちょっと飯付き合ってくれる?」
〜え、こういう場合男性から誘ってきたのだから奢ってくれるよね⁈ならまあ時間迄いいかな~
「じゃ、時間迄少しなら」
「良かった!今腹減り過ぎててさ俺、ラーメン食べようと思って並んでてもう少しで入れるところだったのにお姉さんが通りかかったから列から抜けて追いかけてきたわけよ、食べ損ねたからお詫びに一緒に飯付き合ってもらわないとね!」
なんともナンパな感じの手慣れた常套句が飛び出してきたが不思議とこの人、嫌な感じがしない。
なんだろう、ずっと前から知り合いのような。
不思議な気持ちに駆られながら近くのイタリアンバルに入っていった。
席に案内されメニューを見ながらドリンクを選んでいると、
「ね、これ面白いネーミングのドリンクだよね頼んでみる?」
「そうですね、じゃ私それにします」
「俺はまずはビール!」
お料理は適当にお任せして頼んでもらいドリンクが運ばれてきた。
「あ、やっぱりおいしそーだね、色もピンクがかって可愛いしお姉さんに似合ってるよ!
ていうか名前聞いてなかったね」
「俺は仲田絃(なかたけん)お姉さんは?」
「あ、由布です、近野由布(こんのゆう)
理由の’ゆう’に’ぬの’って書きます」
「へ一可愛い名前だな、ゆうちゃん!」
そう、多分まわりからは私達のこんな会話が聞こえていなければほんのちょっと前に初めて会ったばかりなんて思えない雰囲気に見えたと思う。
彼の外見は正直言って私もまぁ嫌いなタイプではなかったし、 世の中からも所謂イケメンと言われる要素は揃っている顔立ちだ。
本来ならこんな人が目の前にいたらドキドキするに決まっている。
けど私は緊張もしなかった。
それどころかリラックスして話せ、一緒にいることを楽しんでいた。
それはその日10月31日で多くのお客さんが
仮装をしていて楽しいお祭りの雰囲気も手伝ってのことでは決してなく、まだそんなに会話をしていないのに内面からの根っからの陽気さや優しさが感じとれたからだ。
でもまだ何も知らないし出会いが出会いなだけに、陽気さはただただチャラいだけ、優しさは私をこの後どうにかワンナイトに持込む為のものにすぎないかもしれないわけで。
でもそこが気にならない何か純粋さがワイルドさの下に見受けられたのだ。
だから私は警戒心なく今この時を楽しもうと思えたのだ。
そして彼に対するこの直感と読みは見事にあたっていたことになる。
コメント
1件
第2話、読み終えました!由布さんが絃さんに感じる「ずっと前から知り合いのような」という直感、すごく素敵でした。初対面なのにリラックスして一緒にいられるって、なかなかあることじゃないですよね。仮装の賑わいやイタリアンバルの温かい雰囲気も相まって、二人の距離が自然に縮まっていく感じが心地よかったです。絃さんのワイルドだけど純粋そうなギャップも気になります。この直感がどう当たっていくのか、続きが楽しみです!素敵なエピソードをありがとうございました🌷