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大学のときは淳志とのことを払拭したくて頑張って誰かを好きになろうとした。ゼミで一緒だった彼とはフィーリングが合ったというか一緒にいて楽しく意気投合して付き合うことになった。けれどお互い初めての恋人で考えが浅かったのだろうか、あれこれとぎこちなくなって自然消滅をした。


次の彼は失敗しないようにと用心深くなった。

リカとしてはちゃんと選んだつもりだった。年上だったら経験も考えもしっかりしていると思ったからだ。案の定しっかりはしていたけれど、バツイチ子持ちを隠されていて、それがきっかけで別れることになった。


これらが恋をしていなかったとでもいうのだろうか――。


「そりゃ、恋はしてたかもね。でもさ、その比じゃないくらいに、先輩に恋してるでしょ」


「まさか?」


「体がぎゅんとかザワザワとか、好きじゃなきゃならないって。いやー、たまらん」


魚月は自分の体をぎゅうっと抱きしめ、まるで自分のことかのようにうっとりする。


確かに体がぎゅんとしたりザワザワしたりは初めての経験だった。

今までに感じたことのない感情にリカは戸惑っている。


さっきの街コンでもまったくといっていいほどドキドキやときめきはなかったように思う。

いいなと思う人はいても、それが恋に発展する予感はまったくなかったし、なによりリカ自身、猫をかぶっていた。だからきっと相手も本心では話をしていないだろう。

初対面なので当たり前といえば当たり前なのだけれど。


そうやって表面的につくられたもの同士の会話はどこかよそよそしく、リカは一歩引いた目で見てしまう。


「そんなの、誰だってそうでしょ。初対面の相手に自分をさらけ出すなんてありえないじゃん。私だって可愛らしい女を演出してたわよ」


「魚月は演出抜きにして可愛いもの」


「リカだって可愛いじゃん」


「私はダメだよ。深く付き合うと自分の可愛くない面が露呈してしまう」


「リカって意外と自己肯定感低いよね」


「うっ……それ、先輩にも言われた」


同じことを親友にも指摘されてリカは頭を抱えたくなる。

けれどそれは、魚月も航太もリカの内面的な部分を見てくれているわけで、どうにも胸がくすぐったい。

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