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学パロ
®️なし
前回ありえん長かったので今回そこまで長くないです
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
時刻は深夜12時を回ろうとしている
春休みも残り半分を切ろうとしているところ、課題は早々に終わらせ最近は友人達とゲームに遊びに明け暮れていた
例にももれず、今日も同じように6人でFPSやら某有名サンドボックス型ゲームやらを遊び尽くして今の時間に至るのだが
一つだけ異なる事といえば、数時間前までいつもと変わらない様子だったのに、一度席を外した後に帰ってきてから口数がめっきり減った人物がいることだろう
🟦「─なかむ何か元気ない?どうかした?」
⬜「……マジ?俺そんな元気なさそうだった?」
🟦「んー、ミュートから帰ってきた辺りから何かテンション低いなぁとは」
⬜「うわガチ?気づかせるつもり無かったんだけど…ごめん」
🟦「謝んなくていいよ、差し支えなかったら教えてくれない?」
⬜「…いいの?てかこの際だからお前らに相談も兼ねて聞いて欲しいんだけどさ」
聞かない理由もないだろうと、俺を含め発言しなかった面子も含めて彼の話を聞くことにした
それにしたって、一番に気づいた彼は良く見ているなと思う。流石は長年の付き合い、と言ったとこなのだろう
⬜「さっきさぁ、親に進路はどうするんだって聞かれちゃって」
「流石に早くない!?俺まだなんも考えてなかったんだけどやっぱマズイかな…?」
🟦「あー、俺達もついにその歳になっちまったかぁ」
🟨「やめろよ考えないようにしてたのにさぁ」
相談の内容は彼だけじゃなく、今通話している全員に当てはまることだったこともあり、それぞれからうめき声や溜息など色んな反応が聞こえてくる
その話題が出るほどに月日は経っていたのか、とどこか他人事のような気分で耳を傾けていた
🟩「俺まだだよ、なにも決めてない」
🟦「言うて俺も微妙かな」
🟥「僕もオープンキャンパス行ってそれきりだなぁ」
🟪「むしろこの時期で決めてる奴の方が珍しくね? 」
⬜「そうだよね!?俺夏までに決めたらいいかなぐらいだったのにさぁー」
正直将来何がしたいとか明確にある訳じゃない。よくある大学4年間でやりたいことを探せ、がどうやら俺にも当てはまるらしい
感覚的には、毎年多くの入学者をうちの高校から出している大学に俺も行くのかな、ぐらいしかない。そこならば学部数も多く、交通の便もまあまあだ。偏差値だってそこまで悪くなかった気がする
そもそもこの歳で将来見据えている方が稀だ。一応まだ高三にはなっていない。この貴重な時間をもう少し楽しんだっていいじゃないか
⬜「─で、きりやんとかどうなの?オープンキャンパスぐらい行ってそうだけど」
🟨「俺?俺はねぇ……」
何故か意味ありげに含みを持たせる彼の回答を待つ
彼は頭が良い。総合点数はクラス、学年問わず常に上位をキープしていた。そんな彼なら行きたいところまでは行かずとも、候補は固めていてもおかしくないのだ
🟨「実はさぁ、この前進路担当の先生からここの大学考えてみないかって言われたんだよね」
そう言って通話アプリ内のチャットに送られてきたのは、とある大学の公式ホームページ
🟨「今の 俺ならこのまま勉強していれば問題ないとか言われちゃってさー」
🟪「……え、」
⬜「えぇ凄!やっぱさすがだわきりやん」
🟦「そこって確かここらからかなり距離あるよな?一人暮らしする感じか?」
🟨「待てって、まだ決めたわけじゃねえってば」
次々と彼に贈られる感嘆の声。当の本人も満更ではなさそうな声音で受け答えをしている
俺の声は他の友人達によってかき消された。いや、かき消されてよかったのかもしれない
あんな驚愕と哀情が入り交じった声なんて、聞こえていない方がいい
それからの話題は彼で持ちきりだった。推薦受けるのか、とか他に考えてるとこないのか、とかだった気がする
あれから一時間弱、気づけばベッドに身を投げていた。いつの間に解散していたのだろうか、デスクトップはスリープ状態、更に部屋の電気まで消されていた。それだけでどれ程放心状態だったかが伺える。情けない笑い声が口からこぼれた
あんなにいつも近くにいたのにそんなこと一切言っていないどころか、学校生活中そんなやり取りさえ見かけたことがない
当然彼にもプライバシーがある。彼に対して知らないことの方が多くても何らおかしくない。でも帰りは勿論、朝だって時間を合わせて彼と行動を共にしていたのだ、知らないなんて有り得るわけが無いのに
それよりも驚いたのが、 当たり前に
” 同じ大学に行くのだろう”
と己が無意識のうちに考えていたことである
なぜ別の進路を進む可能性の方が大きいことを考えなかったのか、それとも考えることから目を背けていたのか。頭に入れておけばもう少しショックもマシだったものを、と意味の分からない自責が渦巻く
これじゃあまるで─
まるで?
ベッドの上で小さく蹲まる。握った手先が微かに冷えていた。まだ 夜は冷えるが、寒さ故ではないことを誰よりも理解している
とうに出ているはずの答えを自覚するのが怖いのだ。俺は
壊れてしまうから。あの思いつきだってそうだ。とっくに結論は出ているはずなのに、それに触れるのが怖くて一年という膨大な時間を儲けたのだ
今の状態が蓋付きの瓶だとすれば、その蓋はほぼ役割を果たせてないに等しいだろう。まだ瓶から溢れていない、それだけで現状を保っているのだ。些細なことさえも溢れるきっかけとなるだろう
うつらうつらする頭で絞り出す
しばらく体調が優れないことにしてゲームから、特に彼からは一度距離を置いてしまった方がいいんじゃないか。今、彼のあの少し掠れた明るい声を聞いてしまえば溢れてしまうのが目に見えている
春休みも残り半分を切る。休みの始まりが早い分、新学期が始まるのも早いのだ。そこでおおよそ1か月程前の記憶が蘇る
あんなに嬉しかった言葉さえ、今は真逆のことばかり考えていた
もし叶えば、あの疑問を持つ前の距離感に戻れるかもしれない、と微かな期待も込めて願うはただ一つ
頼むから、来年度はクラスを別にしてくれ
それ一心で固く目をつぶり、蹲る体制から身を動かすことなく、とうとうその日は眠りに落ちていった
続く