⚠ご本人様とは一切の関係ございません
基本🟪視点のみ(🟨🟪)
学パロ
®️なし
またもや長いです
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
久々の自転車に跨り、いつもの様に駅まで漕ぎ進める
午後でも柔らかな陽射しとすっかり春らしい風。 そんな心地のいい天気とは対象に、俺の気持ちはどんよりとしていた
あれから体調が悪いだの家族で用事があるだのと、何かと理由をつけては誘いを断り続けた。おかげで話すことはおろか、会うことも無いまま始業式を迎える
おおよそ二週間、意図的に距離を置いていた。時にはやや強引に断ったりもした。今日だって、彼と時間をずらして行こうと連絡するか寝る前まで悩んでいたのだ
それらが原因だろう、先程から変な緊張が身体に走っている
─それとは裏腹に、認めたくないけれど、待ち遠しいが故の緊張も抱えていた
俺は緊張と微かな高揚感を振り払うようにして、ペダルを強く踏み込み駅へと走らせた
駐輪場に自転車を置き、駅の出口側に向かいながら彼に連絡をとる。数秒後短い返信が帰ってきた
初めに何と言い訳をしよう、責められやしないだろうか、そもそも会話の初めはどうしていたっけ?
遠くを見ながら考える。すると遠くからこちらに向かって、一直線に向かってくる見知った人物が視界に入った
同じ制服を纏う、眼鏡をかけた金髪天パの男は目の前で立ち止まり、こちらを見つめてくる。そのまま何も言わない彼にしびれを切らし、下がっていた視線を彼に向ければ、にこりと笑いかけられた
🟨「おはよ」
🟪「……ん、」
🟨「行こうぜ、今日マジで人多くてさぁ─」
不覚にもその笑みにドキッとしたうえ、安心感まで覚えてしまう
今しがた抱いた感覚に浸ってしまうその前に切替えなければ
軽い咳払いをした時、急に彼が会話を切った。そしてこちらを観察するような目で見つめてくる
🟨「ねぇスマイル」
いつもの声から一転、少し落とされた声のトーンに心臓が大きく跳ねた
🟪「…な、何だよ」
🟨「……もしかしてまだ体調悪い?」
🟪「…え?っああ、そうなんだよね。まだ治ったばっかでさ」
🟨「ふぅん、まぁあんま無理すんなよ」
予想していた問いとは全く違うものが飛んできたため、拍子抜けした声が口からこぼれる。彼の問いに合わせるように取り繕うと、それ以上は問い詰められなかった
一安心したものの、俺の良心はズキズキと痛んだ
あの時の俺からすれば最善の策だったんだよ、と心の中で呟く。ああでもしなければ何かの拍子に口走っていたに違いない。
もしそうなれば最後、今の関係は音を立てて崩れてしまうだろう
俺としては一番避けたいことだった
🟨「…あ、でも早く治せよ?じゃないとお前とゲーム出来ないじゃん」
「なんかつまんないんだよね。ボコボコに出来るやついないからさ」
🟪「…っはは、んだよそれ」
なんとも彼らしい言い様だ、と思わず笑いがこぼれる
変な緊張も不安も全てが杞憂だったことに安堵の息をつく。それからはいつもと同じ、他愛ない会話をしながら学校へと足を進めた
・・・
始業式も終わり、前年度の担任が出席番号順に次のクラスの発表を始める。この小さなイベントも今年で最後。あくまで外見上は気にしていないふりを装い、頬杖を着きながら自分の番を待つ
しかし内心はそれどころじゃない
選択科目は理系を取った。おそらく彼も同じだ、選択授業が重なるのは免れないだろう。それは百歩譲っていいとしようじゃないか
問題はそれを抜きにしたクラス分けである。頼むから同じクラスだけはやめてくれと必死に願った
次々と発表されていく中、先に俺より出席番号の早いきりやんのクラスが発表される
そしてすぐに俺の番が来た。聞き逃さないように耳を傾ける
結果は──
🟨「お!スマイルまた同じクラスじゃん」
🟪「…いやいやおかしいだろ!?」
俺がここまで驚いているのには理由がある。あれだけ祈っていたとはいえ、実の所同じになるわけが無いと信じて疑っていなかったからだ
俺の高校の仕組みとして、三年生のみ受験などの兼ね合いで、成績順でクラスが振り分けられる
彼はトップクラスで頭がいいのは周知だろう。だからこそでありえない、ありえるわけが無いのだ
テストで平均点より点数は取れていたとはいえ、彼と成績が並んだ試しがない。今の今まで一度も無い
せいぜい俺は1つか2つレベルが下のクラスが適しているように思えてならない。こればかりは文句を言ったところで、先生に言ったとしても聞く耳を持たれないだろう
🟪「うーわ、勉強ついていける気全くしないんだが…」
🟨「その時は俺が全部教えてやるからさ、任せとけって」
少ない荷物を抱えて、次の教室へ移動しながらぼやく
彼の言う通り、特に定期テスト前は彼におんぶに抱っこの状態になることが容易に想像できた
・・・
新しいクラスには、知り合いは数名居たものの、きりやん以外の四人はどうやら同じクラスではないようだ
指定された席に着く。彼と絶妙に距離が離れてしまったことを、残念がる自分がいたことは当然のごとく無視した
数分後、今年度の担任がやって来るやいなや、本来ならばHRの後に解散のところ後々時間を潰すのが嫌だから、と今日委員会や教科係決めを行うと言い始めた
淡々と決まっていく中、図書委員の名が呼ばれる
仕事内容は定期集会への参加と学級文庫の管理、掲示物の整理といった簡単なもの。 まだ誰も立候補しておらず、万年教科係で最後くらい委員会をやっておきたい俺としては好都合だった
あと一人もすんなりと決まり、互いに面識も無かったため軽く会釈をしておく。 学級文庫は今日から受け取り可能らしい。さっさと終わらせてしまおうじゃないか
委員会も係決めも終わり、そのまま解散を告げられる。学級文庫は自分が取りに行くことを相手に伝え、一応先に帰るように伝えておこうときりやんの姿を探す
見つけた先では、彼は他の友人との会話に花を咲かせていた
彼に友人知人が多いことは知っている。ただ、今はそれを見たくなかった。きゅ、と胸に痛みが走ったような気がして、とにかくその場から離れたくて、逃げるように図書室へと向かった
道中で彼に直接伝えるはずだった文言を連絡する。既読が着いたかどうかも確認しないまま、目を逸らすようにポケットにスマホをねじ込んだ
・・・
小さなラックを抱えて教室へ戻る。一番乗りだったようで、指定された本の中から好きなように組み合わせていいと言われてしまい、つい熱が入ってしまった。参考書だけでなく、小説や啓発本など様々なジャンルを選び、個人的には満足のいくレパートリーになったように思える
真上にあったはずの太陽はやや傾きかけていた。我ながら時間をかけすぎたな、と呆れて笑ってしまう
さっさと置いて帰ろうと教室のドアを開けると、手前の席に俺以外の荷物が置いてあった
まだ人が残っていたのかと思った矢先、何かおかしいことに気づく
─俺の席に誰か座っている
というより寝ている。傍らに眼鏡を置いた、机に突っ伏す金髪天パの男
そんな知り合い一人しかいない
混乱する頭をはたらかせ、とりあえずラックを棚に置くことにした。そして再度俺の机の方を向いてみる
俺の見間違いじゃないらしい。連絡しそびれていたか?とスマホを見てみるも、ちゃんと送れているし既読もつけられていた
起こしていいものか分からなかったため、考えあぐねた結果、しばらく様子を伺うことにする。どうしても起きなかったら文字通り叩き起してやるつもりだ
前の席に座り、彼の寝姿を見つめる。眼鏡を外した姿はあまりにも新鮮だった
髪と同じ金色の控えめなまつ毛。きゅっと結ばれている口角の上がった唇。太陽の光を反射する髪も相まって、あまりの美しさに思わず綺麗だ、なんて思ってしまう
唐突に彼が身じろぐ。その拍子に眼鏡が音を立てて床に落ちた。何気なく拾ってやり、机に起き直そうと頭を上げる
同じく拾おうとしたのだろう。わずか数センチ先に机から身を乗り出す彼がいた
ただでさえ見えていないだろうに、寝起きであることが拍車をかけているようで、その距離のまま俺の方を凝視される
ああ、駄目だ。首からじくじくと熱が昇ってくる。 今すぐにでも距離をとって眼鏡を投げつけてやりたいのに、黄金色の瞳から目を離すことが出来ない
🟨「…あ?スマイル??」
「帰ってきてたんなら起こせよぉ…」
🟪「……っうるせぇ!」
「大体俺先帰れって連絡したんだから、帰ってればいいだろ!?」
🟨「んー…スマイルと帰りたかったから」
「てか言ってくれりゃ着いて行ったのに、気づいたらお前いねぇし…」
寝起きの彼の声は脳に響く
やめろ、その声で、その距離で話しかけてくるな
内側でどろりと溢れる感情。目を逸らすにはあまりに遅すぎた。もしかすれば疑問を抱いたあの時には、もう手遅れだったのかもしれない
彼があくびをしたのを見計らい、立ち上がって彼から距離を離す。心臓は早鐘を打ち、脳は正常に働くことをやめていた
🟨「─なあ、聞いてんの?」
🟪「……何が」
🟨「何がって…なにも見えないから眼鏡ちょうだいってさっきから言ってるんだけど」
俺の片手に握られている眼鏡を指さされてはっと思い出す。差し出されていた手に押し付けるように渡した時、かすかに彼の手に触れた。すぐに引っ込めるも、その部分が熱を孕み、脈打つように主張した
その感覚を振り払うようにカバンを引っつかみ、扉へ足を速める。振り向けば、いつもの風貌に戻った彼が鞄を肩にかけるところだった
🟨「お待たせしましたよ、っと」
「…なんかスマイル首赤くね?どした?」
🟪「……太陽の光でも反射してるんだろ」
お前のせいだなんて口が裂けても言えるわけないだろ。ばか野郎
続く
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