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NO side
「こ、ここまで来れば流石に……大丈夫よね?」
あたりを見回す。
街灯はとっくに消され、月明かりだけが周りを照らす。
「……トウカの家にお邪魔しようかしらね…」
そう呟いて、家を目指して歩いて行く。
随分と冷えるわね…今夜は……
吐く息は白く曇り、空へと消えてゆく。
風は体を突き刺すように吹き抜け、思わず身震いする、
ぼーっとしながら歩いて行くと、見覚えのあるトウカの家が見えてくる。
トウカ、私がいきなり尋ねてきたらどんな顔するかしらね……
あの子なら驚かずに、いつも通り接してくれるのかしら……
鍵は………かかってないのね。無防備すぎるわ…
「おじゃまするわよ………いるかしら?」
家の中は本当な人がいるか疑うほど、静まりかえっている。
トウカの部屋に向かって歩いていると、前から、見覚えのある子が歩いてきた。
「…アスカ? トウカに何しに来たの?」
アルカは、鋭く私を睨みつける。
全てを疑うようなその目で、私に問いかける。
「……逃げてきたの。」
「…本当?」
「えぇ。嘘ついてどうするのよ……」
疑心暗鬼になったものね、貴方は……
この前会った時は、トウカへの恋心で周りが見えなくなっていたのに……
いつもの能天気な貴方はどこへやら。
「……信じていいんだね?」
「えぇ。信じてもらって構わないわ」
「……そっか…わかった。疲れてると思うから、今日は寝よっか…準備するね」
いつものように優しく微笑み、くらい廊下へと消えて行った。
毛布を用意してもらった私は、トウカのソファーを借りて、眠りにつく。
それにしても…いつの間にあの二人は仲良くなってたのね…もっと早く脱出しとけば良かったわ…
今日は本当に大変だった……
明日はきっといい日になるわ……
ーーーーーーーーーー
ー翌日ー
NO side
午前 7時、 窓から太陽が差し込み、鳥の声が目立ってきた。
ソファーから落ちて、床で目が覚めたアスカは、まだ寝ぼけているようだった。
「……んん…今何時?ここどこよ…」
《なんだお前……覚えてないのかよ……》
呆れたようにカルヴァリーが尋ねる。
小さなぬいぐるみの彼は、ちょこんと座りアスカを見上げる
「……あぁ、そうだった…私、ここに逃げてきたのよね……」
《……ご名答。それにしても、酷い寝相だな》
昨日の夜まで、ソファーに収まっていたはずの体は、今では床に転がっている。
彼女は相当寝相が悪いのだろう……
「……おはよう…………は?」
廊下から目を擦りながら出てきたトウカ。
アスカの姿を見た瞬間、目を丸くした。
「……おはよう。トウカ。貴方、私が知らない間に、イメチェンしたのね。悪くないわ。」
「あ、アンタ……いつからいたのよ……」
「昨日の深夜。」
「はぁ……?わ、私…貴方が…てっきり」
「てっきり?」
言葉を詰まらせたトウカに、ニヤニヤしながら尋ねる
「いやぁ…あの時は危なかったわぁ……私の演技は見抜けなかった見たいね♪悪女サマは」
アスカはソファーに座り、足をブラブラと揺らしながら、自慢げに語る。
「とにかく…貴方が無事で良かったわ…」
「ふふ…私も貴方に会えて嬉しいわ♪」
「ふぁぁ…おはようみんな〜」
のんびりとした声が暗い廊下から聞こえる
「あら、アルカおはよう。遅かったのね。」
「2人が早いんだよ……」
こんな残酷な世界に、いつもの日常らしきものが戻ってきた……この場にいる全員が感じたことだ。
太陽が差し込む、この空間に、3人の笑顔が咲く。心から笑い合えたのはいつぶりだろうか…
「と……トウカちゃっ……」
突然、家のドアが勢いよく開き、涙と汗で顔を濡らしたヒスイが現れた。