樹さんが住むマンションは、会社のすぐ近くにある。外観がスタイリッシュで、オシャレな雰囲気だ。樹さんのために、柊君が契約したみたい。
そこで樹さんを降ろしてから、私達はまた会社に向かった。
「いろいろごめん。樹のこと、嫌いにならないでやって。あいつ本当に口が悪いけど、心の奥は、めちゃくちゃ優しくて良いやつだから」
「うん。柊君にとっては、大事な家族だもんね。私にとっても……。だけど、やっぱりちょっと怖いかな」
「そうだよね。迷惑かけるけど、そのうち慣れると思うから、仲良くしてやってほしい」
「……うん、わかった。樹さん、私達の結婚式に出てくれるよね?」
「ああ、来てくれるよ。その日は空けてもらってるから」
12月3日。
柊君が私に告白してくれてから、ちょうど2年目の記念日。その日に私達は式を挙げる。とっても素敵な真っ白いチャペルで、親族だけの結婚式。
正直、今からすでに緊張してる。
でも、もちろん楽しみの方が何倍も大きい。
会社の人や友達には二次会に参加してもらう予定。ホテルの広い会場を借りて盛大にやろうって、柊君が言ってくれた。
今、真奈や会社のみんなが、いろいろ企画してくれてる。たくさんの人に祝福されてる気がして、本当に有難くて嬉しい。
こんなに幸せでいいのかな……って、ちょっと怖い気もする。
結婚式が済んだら、今柊君が住んでるマンションで一緒に暮らす。2人でも充分な広さがあるし、家具や電気製品、必要な物はだいたい何でも揃ってる。
準備はほとんどできていて、幸せまでのカウントダウンはもう始まっていた。
「着いたよ。さあ、夜まで仕事頑張るか~」
会社に戻り、柊君は伸びをしながら、自分に気合いを入れていた。
「お疲れ様。そうだね、私も頑張るね」
私達はそれぞれのデスクに着き、仕事の続きをした。
柊君は、ずっと社長室にこもりっきり。
いくつもの大口の案件を抱えてて大変そうだけど、ちゃんと期待通りにやりこなすから、周りからも絶大な信頼を得ている。
電話をしたり、資料を見たり、パソコンを触ったり、本当に忙しそうにしているけど、テキパキとして無駄な動きが一つも無い。
確かに、男の人が仕事に集中している姿って、すごく素敵だと思う。
だけど、あまり無理をし過ぎて体調を崩さないようにしてほしい。人一倍頑張り屋さんの柊君は、無理しないでって言っても、どうしても頑張ってしまうから。
2人で一緒に住むようになったら、もっと体のことに気を配ってあげたい。それも、奥さんとして私が柊君にしてあげたいことの1つだった。
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