中也side
羅紫がこの部屋を出て直ぐ、太宰に文句を言う。
「おい太宰…手前が羅紫を揶揄うから帰っちまったじゃねえか!」
折角久しぶりに会えたのにコイツが揶揄うせいで碌に話もできず帰っちまった…
「全く、チビは器まで小さいのかい?そんなだから羅紫に想いを伝えることができないんだよ。」
「手前だって伝えれてねェ癖に何言ってやがる…」
そう、この会話から分かる通り、俺ら2人は羅紫のことが好き同士、いわばライバルなのだ。
「私は何も言わずとも羅紫と心が通じ合ってるんだ!蛞蝓と一緒にしないでくれる?」
「んだと手前っ…!」
「あーあ、早く死ねば良いのに。できるだけ苦しんで。」
「それはこっちの台詞だァ糞青鯖…」
今からでも追いかければまだいるのかもしれない。そう思い階段の方へ歩いていくと太宰が引き止める。
「違うちがーう!何か〜忘れてなぁ〜いかなー?」
コイツっ!どこまで俺で遊んだら気が済むんだよ…
「ッッッ!!に…」
「んー?」
「二度目は無くってよ!!」
「……」
「笑う所だろうが!!」
さっさと羅紫を探しに行こう…
羅紫side
「…羅紫さん?」
2人の魔の手から逃れ、マフィア内から出ようと歩いていると不意に声をかけられる。
「あれ?芥川くんじゃん!久しぶり、元気だった?」
「はい。羅紫さんこそお変わりなくて嬉しいです。」
「そっか、ありがとう。」
もうこの子いい子すぎて好き。
「ところで何故羅紫さんはここに?僕に会いにきてくださったのですか?」
「ん?…ああ、そうだよ!一寸だけ会いたくなっちゃって…」
真逆迷子だなんていえないっっ!会いたかったのは事実だけど!
「!ら、羅紫さん、それは若しかして僕のことをっ((ハイそこまでな芥川。…中原幹部…」
「うおっ…あれ、中也、拷問は終わったの?」
芥川くんの言葉を遮り私の後ろからニュッと現れた中也。ビビるわ!と言うか肩組むの何…
「拷問っていうかアイツ自分の足で帰りやがった…」
ん?中也自分で鎖壊してたよね?…と言うか壊さなくてもアイツは自力で外してたけど…
「それ中也が鎖壊したからじゃん…と言うか肩を!組むな!重いし暑い!」
「んな連れねえこというなよォ?なあ、芥川?」
ナニその含みのある笑顔…こっっっわ。
「…僕は用事がある故、失礼します。…羅紫さん、またお会いしましょう。」
「うん!またね〜」
曲がり角を曲がるまで手を振り芥川くんの姿が見えなくなった瞬間、手を掴まれる。
「…………ヤケに芥川と仲がいいなァ?」
「うん、治が消えた後芥川くんを育成したのは私。多分それで懐かれてるんだと思う。あの頃は可愛かった…羅紫さん!羅紫さん!ってついてきてくれるんだもん」
「ハッ、最初の頃は懐かれずに噛まれてたようだがなあ?」
そう、治が消えてまだ未完全な所があるのを育てたのは私。2年前まで私はマフィアの準幹部として与していた。それも中也専属の。
最初は太宰さんに代わる人などいない!って感じで嫌われまくってたんだけどいつのまにか慕われるようになってたんだよね〜!
「まあ治の鬼教育よりは手柔らかに育てたよ。アレは見るに耐えなかったからね。」
「アレで手柔らかかよ…なあ羅紫、俺の直属に戻ってこねえか?首領も十中八九許すと思うぜ?糞太宰の元に置くのは惜しい。」
「ん〜、戻らないよ。」
「…何故だ」
「治が生きていこうと思った場所に興味が湧いたから、かな?」
「…そうかよ。」
「うん。…あ"、草見にいくって言って出て行ったらこんな時間…!?やばいやばい、国木田くんに殺される…!ちょ、中也!出口まで送って!」
方向音痴恨むぞ…私が方向音痴じゃなかったら直ぐに戻れるのにっ!
「わぁったよ…」
「オラ、ここが出口だ。ったく、前職の職場くらい覚えやがれ莫迦。」
「こんな広いのに覚えろと言う方が莫迦だね!…でもまあありがとう。じゃあね。」
「………」
「!ちょ、中也!人に見られる!」
帰ろうと足を進めると急に優しく抱きしめられる。治ならやりかねないが相手は中也。かなり動揺していると耳元で囁く声がする。
「妬いちまうじゃねえか…」
「?それってどうゆう…?」
「なんでもねえよ。おら、さっさと帰れ。幹部様は忙しいんだよ」
「はいはい。またね〜!」
いつもと違う中也にドキドキしたのは秘密!