テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
かんな
2,452
寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
8,872
学園祭五日目。
とんでもない事態になっていた。
「まさかの在庫0」
それどことか、二回も重版がかかった。
結果、トータルで五千部を売り上げた。
「そんなバカなこと、ある?」
「あり得ませんね」
アルエが同じノリで応えてくれた。
「学園祭の時は学生以外も学内に入れるからね。貴族庶民学生問わず、興味を持ってくれたんだろうね」
セインが、かなり嬉しそうだ。
印刷業務には売り上げの三割報酬とルシアンが決めていた。この状況は嬉しいだろう。
「推しカプを布教できて嬉しいけど、恥ずかしいな」
「そういう問題では、最早ないかもしれません、イソトマ様」
アルエが蒼い顔をしている。
「どゆこと?」
首を傾げるイソトマを、アルエがじっと見詰める。
「ルシリリ人気が上がれば、ルシアン様の伴侶はリリーであるべきという認識者も増えます」
「そう、だねぇ」
「リリーのために、婚約者であるイソトマ様を排除しろという気風が強まるかもしれません」
「そうだねぇ」
アルエとイソトマの間に、よくわからない沈黙が降りた。
「国民の民意があまりに強まったら、本当に婚約を解消する羽目になるかもしれませんよ」
「それでいいよ。ルシリリが幸せなら、良し」
アルエが、ごくりと息を飲んだ。
「ブレませんね、イソトマ様。強いです」
「そうじゃなきゃ、あんな漫画描いて頒布なんかしないって」
趣味には違いない。個人の趣向にも違いない。
けれど、ある程度の覚悟がなければ、世に出そうとまで思い切れない。
(ルシアンの圧があっても、嫌なら僕は本気で断った)
そうしなかった以上、どんな結果にも責任を取る。そういう覚悟ならある。
「またルシリリ描こうよ。今度は頒布しない漫画を描こう」
次は趣味で楽しく書ける漫画がいい。
「頒布するならいつでも印刷するよ」
セインが後ろから声をかけてきた。商魂逞しい人だ。
「頒布はしないよ。僕とアルエが楽しむために描くの」
伝説的な部数を売り上げたルシリリ同人誌のせいで自分が窮地に陥るなんて、この時のイソトマは考えてもいなかった。
コメント
1件
わああっ第36話、読み終わったよ〜!!😭💕💕 まさかの5000部&重版とか、イソトマの同人誌がバカ売れしすぎてて笑ったけど、それで「ルシリリが幸せなら良し」って言い切るイソトマの覚悟がかっこよすぎる…!推しカプ布教の裏でちゃんと代償覚悟してるところ、尊いにも程がある…🥺✨ そしてアルエの蒼い顔と「ルシリリ人気が上がれば…」の警告、この後どうなるんだろう…最後の一文が不穏すぎて続きが気になって仕方ないよ!次回も楽しみにしてるね、霞花怜さん!🌸