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すちがいなくなってから。
数日が過ぎた。
でも、
こさめの時間は止まったままだった。
何を食べたかも覚えてない。
ちゃんと寝たのかも分からない。
気づけば泣いていて、
気づけば病院へ来ていた。
もう誰もいない病室。
静かすぎる部屋。
そこへ入るたび、
胸が壊れそうになる。
🦈「……っ」
こさめは震える息を吐きながら、
残された荷物を整理していた。
服。
本。
飲みかけのペットボトル。
どれを見ても、
“すち”がいる。
なのに本人だけいない。
苦しい。
息ができない。
🦈「……なんでぇ」
涙がまたぽろっと落ちる。
その時。
引き出しの奥に、
封筒が見えた。
白い封筒。
少し震える字で、
表にこう書いてある。
『こさめちゃんへ』
その瞬間。
こさめの呼吸が止まった。
震える手で、
ゆっくり封を開ける。
中には、
何枚もの便箋が入っていた。
すちの字だった。
優しくて、
少し丸い字。
こさめは涙で滲む視界のまま、
読み始める。
――――――
『こさめちゃんへ
る ぃ 。
4,288
#すちみこ
みちょ
635
これを読んでるってことは、
たぶん俺はいませんね。
まず最初に言うね。
いっぱい我慢してくれてありがとう。
こさめちゃん、
ほんとは何回も俺に寿命渡したかったでしょ。
知ってたよ。
でもきっと止まってくれたよね。
止まってくれて、
ほんとにありがとう。』
そこで、
こさめの涙がぼろぼろ溢れた。
文字が読めなくなる。
それでも必死に続きを見る。
『俺ね、
こさめちゃんが俺を忘れるの、
ほんとに嫌だった。
だからきっと最後まで、
“渡しちゃ駄目”って言い続けてるはず。
苦しかったよね。
ごめんね。』
こさめは唇を噛む。
嗚咽が漏れる。
便箋を握る手が震えた。
『あとね。
こさめちゃん、
ちゃんとかわいいです。
毎日かわいかった。
寝癖も、
泣き顔も、
怒るとこも、
全部好きでした。』
🦈「……っ、ぅ……」
涙が止まらない。
すちの声で再生される。
優しく笑う顔まで浮かぶ。
『水族館、一緒に行きたかったなぁ。
クラゲ見て、
こさめちゃんははしゃぐでしょ?
めちゃくちゃかわいいはずなのに。』
そこで、
こさめはとうとう声を上げて泣いた。
『俺、
こさめちゃんに会えて幸せでした。
世界でいちばん大事だった。
だからお願い。
ちゃんと生きて。
いっぱい泣いたら、
そのあと少しずつ前向いてね。
でもたまには、
俺のこと思い出してくれたら嬉しいです。』
最後の行。
少しだけ文字が歪んでいた。
たぶん、
苦しい中で書いたんだと思う。
『大好きだよ。
俺のかわいい恋人。』
その瞬間。
こさめは床へ崩れ落ちた。
手紙を胸へ抱き締める。
🦈「……っ、すち……」
涙が止まらない。
苦しい。
会いたい。
触れたい。
もう二度と叶わない。
それでも。
手紙の中のすちは、
最後まで優しかった。
次回最終
コメント
1件
もう無理……これ読んでて胸が締め付けられたわ。 すちの手紙、あの優しい字面のひとつひとつがこさめを想って書かれてて、読みながら涙止まらなかった。 「ちゃんとかわいいです」「全部好きでした」って……最後まで恋人でいることをやめなかったんだな。 「クラゲ見てはしゃぐでしょ」の未来が叶わないのが、本当に苦しい。 次回最終ってのも納得の重さだった。 しっかり見届けるわ、藍翠さん🔥