若井に貰ったスコーンとクッキーが入った袋を持って、元貴を探しに行く。
僕があの日元貴の話を聞かずに飛び出した時、元貴もこんな気持ちだったのかな・・・。
「あ、元貴!」
若井が言った通り、自販機横のベンチに元貴が座っていた。
なんか胸がチクリと痛む。
(若井は、元貴のこと分かってるんだな・・・。)
フルフルと首を振る。
今はそんなナイーブになってる場合じゃない。
「元貴・・・。」
「・・・何?」
どうしよう。怒ってる・・・。
「あ、あの、さっきのは浮気とかそういうのじゃなくて・・・。」
「若井とイチャイチャしてたじゃん。」
「イチャイチャなんてしてないよっ。」
「ふーん?若井の上に乗っかってたよね?」
「・・・・・。」
「もう若井と付き合えば?」
「!?」
元貴に嫌われた。
自分のしたことが原因だけど、目の前が真っ暗になる。
「・・・元貴・・・。」
「何・・・?」
「今までありがとう・・・。」
「え?」
「僕なんかと付き合ってくれてありがとう。大好きだよ。」
しっかり言ったつもりだったけど、声は震えて情けなかった
でも、最後にちゃんと気持ち伝えられたから
もういい
僕なんかが一時でも元貴と恋人同士になれたことが奇跡だった
夢が覚めたんだ
ただ、とても素敵な夢だった・・・。
「ちょっと待って!」
立ち去ろうとする僕の腕を元貴が掴んで引き留めた。
「元貴・・・?」
「涼ちゃんにとって俺はそんなに簡単に諦められる存在なの・・・?」
「そんなわけないっ。ただ・・・元貴の邪魔にはなりたくないから・・・。」
元貴は大きくため息を吐いた。
嫌われた上に呆れられた?
ど、どうしよう・・・「チーム辞めて」とか言われたら・・・
「あ、あの、元貴・・・。」
「・・・想像以上に自己肯定感が低くてびっくりしてるよ・・・。」
「え・・・?」
「ごめん、ちょっと意地悪した。」
「いじわる・・・?」
「若井と仲いいの嫉妬した。だから、涼ちゃんは悪くない。」
「怒って・・・ない?」
「うん。怒ってないよ。」
「嫌い、になって、ない・・・?」
「なってない。絶対ならない!」
「僕チーム、や、めなくて・・・いい?」
「はぁ?!辞めるつもりだったの?!」
「だって・・・。」
「絶対認めないからね!涼ちゃんは永遠にMrs.のキーボードだから!!」
「よか・・・った。」
涙が溢れて止まらない。
元貴は苦笑しながら服の袖で涙を拭いてくれた
「で、若井と何してたの?」
「バレンタインにコンビニで買ったチョコあげたから、コンビニで買ったスコーン貰って。」
「うん。」
「その・・・、元貴には何あげたのって聞くから。」
「あぁ、チョコプレイしたっけ。」
「言わないでよ!」
「ごめんごめん。」
「で、若井も似たこと言ったから口塞いでた。」
「息の根止めてたじゃなくて?」
「息の根?いや、そこまではしてない。」
してないよね・・・?
あれ?そういえば苦しそうにしてたような・・・?
「涼ちゃん。」
「はい。」
「今日は俺んち直行だからね?」
「うん?」
「ホワイトデー、しようか♡」
「『しようか』・・・?」
コメント
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自己肯定感低いりょうちゃんに焦るもっくん、良きですね🤭♥️💛
ウォォォォ