テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
159
今日は、初兎ちゃんとほとけっちを家に呼んだ。
ソファに座って、なんとなく落ち着かないまま、口を開く。
「…2人に、相談があるんだけど」
「なんでも聞くよ!」
「まろちゃんがなんかしてきたん?」
「いや…そういうわけじゃないんだけど…」
言葉が詰まる。
どう説明すればいいのか、分からない。
少し迷ってから、小さく息を吸った。
「…昨日の夜さ」
⸻
昨夜。
風呂上がり、まだ少し濡れた髪のまま、
まろが用意してくれた水を飲んでいた。
「……ふぅ」
そのとき、机の上のスマホが鳴る。
「初兎ちゃん達かな…」
自分のだと思って、何気なく手に取った。
でも
画面に表示されていたのは、知らない名前。
そして、その下のメッセージ。
『久しぶり。まだ覚えてる?』
「…え」
一瞬、思考が止まる。
(…これ、まろの……?)
手が、少し震えた。
通知は、もう一度震える。
『あの時のこと、ちゃんと話したくて』
胸の奥が、ざわっとする。
(……あの時って、なに?)
開いちゃいけないと分かっているのに、
指が、ほんの少しだけ動いた。
でも、、
「……何してんの?」
背後から声がして、
びくっと体が跳ねる。
振り返ると、タオルで髪を拭きながら、
まろが立っていた。
「……あ」
慌ててスマホを置く。
「ご、ごめん…俺のかと思って……」
「……あー」
まろは一瞬だけ画面を見て、
すぐに表情を戻した。
「気にせんでええよ」
軽い声。
でも、 それ以上は何も言わなかった。
スマホを手に取って、
通知を消すだけ。
「……」
その背中を見て、
俺の胸は、少しだけ締めつけられた。
(……聞いて、いいのかな)
“見てしまった側”の自分が、
それを聞く資格があるのか分からなかった。
⸻
「……ってことがあって」
「それは気になるな」
「うん、普通に気になるやつ」
「…でも俺、聞けなくて」
「見ちゃったの、俺だし…」
「……」
「それに……なんか……」
「……知らないほうがいい気もして」
初兎が、少しだけ柔らかく笑った。
「ないちゃんってさ、優しすぎるよな」
「え……」
「でもそれって、我慢してるってことやろ?」
「気になるなら、聞いたほうがええで」
「……でも、もし……」
最悪の想像が、頭をよぎる。
「……過去の人、とかだったら……」
声が小さくなる。
初兎ちゃんは少し考えてから、はっきり言った。
「それでも、“今誰を見てるか”のほうが大事やろ」
「……」
「ないちゃんは、今のまろちゃんを見てるんやろ?」
ないこは、ゆっくり頷く。
「……うん」
「なら、逃げんと聞いてみ」
背中を軽く叩かれた
「怖くてもな」
胸の奥が、少しだけ軽くなる。
(……聞いても、いいのかな)
その答えを出すのは、
きっと自分しかいない。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!