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次の競技の準備でざわめく校庭。
咲はクラスメイトに呼ばれて整列しかけたとき、ふとした拍子に視線を上げた。
――その先に、悠真の姿があった。
白い観覧席の一角、腕を組んでこちらを見ている。
目が合った瞬間、胸がどくんと跳ねた。
(……ほんとに、来てくれたんだ)
悠真は驚いたように一瞬まばたきをしたあと、小さく口の端を上げた。
それは遠くからでも分かるくらい、柔らかな微笑みだった。
咲は慌てて目をそらし、前を向いた。
けれど耳の奥まで熱くなってしまい、呼吸が浅くなるのをどうしても抑えられなかった。