テラーノベル
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歓声と笛の音に包まれる校庭。
咲は競技へと向かう背中を押されながら、さっきの一瞬を何度も思い返していた。
(……笑ってた。私に向かって)
胸の奥がじんわりと熱くなり、息を吸うたびに心臓まで震える気がする。
一方、観客席の悠真もまた、視線をグラウンドから離せずにいた。
「妹ちゃん」の姿を見守るだけのはずが、先ほどの目の合った瞬間から、胸の奥に静かなざわめきが広がっている。
(どうして……こんなにも気になるんだ)
校庭に流れる秋の風が、二人の間にまだ言葉にならない想いを運んでいった。
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