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萩原side
警察学校に入校して数日。同じ班の松田、降谷ちゃん、諸伏ちゃん、班長そして、セリちゃん。この5人と仲良く楽しく過ごしている。ただ1つ気づいたことがある。セリちゃんのことだ。セリちゃんは夜中、必ず学校を抜け出す。そしてそれを教官は黙認している。そしてなんでもないような顔をして、朝帰ってくる。一体、何をしているんだろうか。聞きたかった。きっとみんなも気づいてる。ただ、聞かないのが暗黙の了解のようになっていた。
「セリちゃん?」
「萩原…どうしたの?」
雨の中買い物から帰っていたら、傘もささずびしょ濡れのセリちゃんに会った。どうしたのはこちらのセリフだ。
「買い物の帰りなんだけど…セリちゃんびしょ濡れじゃん」
俺はセリちゃんを傘に入れた。
「まだ行くところあるからいいよ。ありがとう」
「傘は?」
「要らない。じゃあね」
セリちゃんの目は酷く濁っていた。
「待って!」
「ん?」
「俺も行くよ」
今のセリちゃんを1人にしちゃいけない気がした。
「…いいよ。一人で行く」
「でもっ」
酷く儚かった。
「大丈夫だから、じゃあ」
「ちょっ!セリちゃん!!」
追いかけても良かった。でも、追いかけちゃダメな気がした。