「…やはり、だめだな…」
俺…露は、周りから慕われる存在であった。
魔力を持たなくても、固有の「能力」があったもんで、みんなは俺を慕ってくれたのであった。
であった、であったのだ。過去形なのだ。
今はただの大人。
慕われることもない、ただの大人。
…この世界は、崩壊しかけている。
生物が減っているのだ。
こんな最悪な世界に住みたくない。毎日そう思っていたのだ。
「もしできるなら…生まれ変わりたいな」
そうこぼした瞬間だった。
「…っ!?」
俺が知らない魔法が、舞い込んできた。
俺は、魔力を使う「魔法」をペナルティのない「能力」にする「能力」を持つ。
全盛期も、この能力を使ってあの時代の猛者たちと渡り合ってきた。
…まあ、その猛者たちも、今はいないんだが。
そしてその能力を使い、謎の魔法陣を能力化した。
何の魔法なのかも分からない、難解な陣形だった。
それでも、使いたい好奇心に抗えず、とりあえず唱えようとしてみる。
流れ込んでくる陣形と名前。
その名前を唱えるーー
「転性転換!
…は?」
唱えた瞬間、その名前に違和感を覚えた。
それもそのはず、名前が「転生」と「性転換」を掛けた「転性転換」だったのだ。
そしてさらに、俺の周りを光が包む。
「ちょちょちょちょちょ…!?
なぁんだこれぇぇぇぇぇぇぇ!?」
そして、俺は光に包まれ、周りが見えなくなってしまった。
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