「くぁ〜…ここは…どこなんだ?」
時は、少し前に遡る。
廃れた魔界で生きていくのが嫌になっていた俺は、突然脳内に流れてきた「魔法」を、好奇心で使ってしまった。
まぁ、よくある好奇心だ。
そんなわけで軽くあらすじを説明したが、
そんなこと言っている場合ではなかった。
「…そういえば…あれ?」
俺の体とは何十年も共に過ごしてきたので、すぐさま異変に気づく。
「俺って、声高かったか?結構”どす”が聞いてたような気がするんだが」
そして次に気づいた異変は…
「胸が、ある…?」
体に現れていた異変は、声質の変化だけではなかった。
何と、男の俺にあるはずのない胸があったのだ。ついでに、何とは言わないがアレがなくなっている。
「…おいおい、冗談じゃねぇぜ…。俺…あの時…!」
そう、あのとき使った魔法が、まさにこの異変の原因だったのだ。
そう、俺は…
「女になってる…!!」
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俺は露。”元・元”最強の能力使いだ。元・元というのは、魔界…魔法主義世界の次元が廃れてから、俺を慕う者もいなくなったからである。。やることがなくなっり、語り継がれることもなくなったあの世界では、面白くないというか、楽しくなかったのだ。
そして、とうとう「生まれ変わりたい」と口に出してしまい、それが因となったか転生魔法を閃くことになる。そしてそれを使った結果が…これだ。
「う…股がスースーする…依はこんなの履いてたのか…」
そう、俺は人間の女に転生したのだった。
幸いある程度成長した段階で戻ってきたため、衣食住は揃っている。
どうやら、この少女…俺は、姉妹以外の家族がいないらしい。そんな環境でも生きているのは、大方姉妹が真面目なんだろう。
そんな事を考えつつ、能力の発動に試みるのだが。
「…あれ…?」
幾ら力を込めても、カチカチと火花が散るだけで発動はしない。
「っ!っ!なんでだよ!
……っい!?」
突然、言い知れぬ痛みが体を襲う。
「んがぁぁぁぁぁ!?あ、あ、あ、」
体中が痺れるような痛み。その痛みの正体を、俺は知っている。
封印魔法。
これによって、俺は能力を封じられているのだ。
そしてなぜ封印魔法がかかっているのか。
それは…あのとき使った転生魔法だ。
転生魔法の術式に、封印魔法のそれも組み込まれていたのだろう。
「…っ!!」
痺れて痛い。強い力が入れられると発動するこの仕掛け、何故か止まらない。
意識が遠のいていく。…あぁ、今度こそ死ぬのだろうか。
「…戻れ…戻れ私ぃぃぃぃぃ!!…うがっ」
強く叫んだ途端、体の痺れが取れたのだった。
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