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最近、なんか上手くいかないことばっか。
別にさ、毎日が楽しいなんて思ってなかったけど、
なんかこう……なんとなく笑ってた。なんとなく、で。
でも、最近はその“なんとなく”すら、できなくなった。
起きて、顔洗って、飯食って、スマホ見て……全部、面倒くさい。
友達のLINEも既読無視してるし、仕事もなんとなくミスばっか。
「けちゃお、またやっちゃったの?」って笑われても、
あー、って曖昧に笑ってごまかして。
何が面白いのかもわかんなくなってた。
部屋に戻っても落ち着かない。
ゲームつけても、集中できなくて、すぐやめちゃう。
アニメ? 最近のは全然観てない。
でも、なんか気になって、昔見てたシリーズをつけた。
タイトルも忘れてたけど、なんか懐かしくて。
その作品の中のキャラが、
ふとした拍子に、こっちを見てる気がして。
……いや、気のせい。
てかそもそも、ポンコツすぎて俺、気にしすぎなだけじゃね?
でも、見てる。
画面の向こうから、何かを知ってるような顔で。
「お前、知ってるよ」って、そんな風に笑ってた。
うわ、怖。
チャンネル変えた。
でも気になる。戻しちゃう。
また、見てくる。……やっぱ見てくる。
それからしばらく、そのアニメばっか見てた。
セリフも展開も、前に観たときと全然違って感じる。
「お前は、こっち側だろ?」って言われてる気がして。
そんなわけないじゃん、アニメだよ?
でも、心のどっかで「もしかして」って。
そしてある日、夢を見た。
そのキャラと話してる夢。
「こっち、来いよ。寂しいんだろ?」
「誰もお前を見てないけど、俺らはちゃんと見てるよ」
目が覚めても、胸の奥がザワザワしてて。
誰もいない部屋が急に狭く感じた。
そしてその夜、またアニメを観ていたら、
画面が一瞬揺れて……なぜか手が勝手に伸びた。
指先が、テレビに触れる。
――触れた瞬間、冷たい感触が、溶けた。
ぐにゃって、画面が波打って、
引き込まれる感覚。
「あ、やば、これ……」
遅かった。
気がついたら、知らない世界にいた。
背景はアニメっぽいのに、匂いも風も“リアル”で。
遠くから誰かが走ってくる。
見覚えがある、はずなのに思い出せない顔。
でもその人は、俺のことを見て笑った。
「けちゃお、ようこそ」
「……は? 嘘、なにこれぇえぇええ!?!?!?」