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そうして部活終わりに話せたらその後LINEで話すということがだんだんと増えてきた頃。
たまには写真送ってみたり、学年違うくせにテストの点数張り合ったり。ただのLINEだけどそれが嬉しくて。私にとっての支えがそのLINEになってきた。学校で嫌なことがあっても放課後会うことができれば嫌なことは忘れられて。部活があったら先輩をみることができるから部活のあり、無しで一喜一憂して。
そんな夏のことだった。その頃にはもう、部活を頑張る理由が先輩に会うため、というあまりいい理由ではないものに成り代わっていた。私の生活に先輩というものが入ってくるようになった。
でも、部活を頑張る理由であった先輩が引退した。部活に行く理由がなくなった。部活ではいつも先輩を探して、先輩にミスをした姿を見られたくなかったから頑張って。…たのに、何度探しても先輩は見つからない。
もう来なくなった。部活に色が消えた気がした。部活が時に、楽しく感じなくなった。いいプレーをしたって先輩には見られない。これならまだ、1年のほうがちゃんとしてたな。今の自分を皮肉りつつ、私は部活を続けた。
引退して会わなくなった影響か、先輩からLINEがまた来るようになった。他愛もない雑談。…の中に1つ異色の話が混じった。それは「好きな人いる?」という雑談にしては唐突すぎる内容だった。睡魔のせいかなんなのか、何故か私はいると答えてしまった。少しやらかした気がした。でも、ほんの僅かな期待を叶えたかったから言ってしまったのだろう。
それを知った先輩は誰なのか探りを入れてくる。まあ…誰かは何となく知りたくなるよなあ…。流石に話している当の本人とは言い難かったため、それなりにかわしつつ少しヒントを与えて終わらせた。それは何部に入っているか、そして先輩は知っているのかの2つ。今思えば結構なヒントでは?と思ったが当時の自分はこれぐらいなら大丈夫だと思ったのだろう。
そして先輩はそれを頼りに、次々と名前を出していく。様々な名前を否定していく。先輩がLINEの文面上ではあるが、明らか悩んでいて面白かった。あなたですよ、なんてことは言えないけど。学年も聞かれたが、流石に学年を指定されるとすぐバレる可能性がある。男の先輩で同じ部活で仲の良い人など❄先輩ぐらいしかいなかった。だから、学年はどうにか濁しておいた。
先輩も先輩で自分?なんてことはあまり聞けないだろうから、余計当てられないだろうなと思った。言って違ったりしたら、自惚れているのかと思われてしまうと考えるのじゃないか。そう思ったからだ。苦戦すること数十分。結局、先輩は私の好きな人を当てられずに終わった。なんだかホッとしたような、何処か悲しいような、そんな感じがした。
時計は三時に差し掛かっていた。