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なすザムライの冒険

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なすザムライの冒険

1 - なすがんばれ

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2025年12月03日

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家庭菜園は楽しいよ。色んなものが自給自足できて、自然とつながれて、食べ物のありがたさにも気づける。特に、うちのなすなんかは絶品だよ。ほら、ヘタが尖ってて切れ味鋭いだろ。だからな、このなすは 「なすザムライ」って言うんだ。

俺の名前はなすザムライ。なすから生まれて早15年。なぜだか育つうちに人間の姿になっていった。なぜそうなったのか理由は分からないが、今は人間として暮らしている。

今俺がなすから生まれたことを証明するものはほとんどなくなってしまった。なぜなら成長につれなすの部分がすべて人間の部位に変わったからだ。はたから見たらただの人間だ。だから俺は学校に通わなくちゃいけないのだ。


俺は学校に行って授業を受ける。なすにだって脳はあるのだ。脳がないわけがない。全てのものに脳は存在するのだ。どうやら人間は、それを知らないようだったが、ともかく、俺は授業を理解できるし、なんなら学年でも上位半分以上だろう。なすのポテンシャルを見くびるでない。


体育ももちろんある。母なる大地である土に生まれた俺は、土と仲が良い。なんせ母だ。よって俺は運動ができた。地面は俺のテリトリーだ。今日もサッカーの授業でたくさんゴールを決めた。なすをなめるな。なんでもできるぞ。






「ナスってこんなに浮かれやすいんですね」

高橋は言う。ナスにつながれたコードの先には、コンピュータがあった。そのコンピュータには常にナスの考えていることが表示され、高橋はそのコンピュータの前に立っている。

「万物人間脳化実験、とはまた思い切ったことをしますよね」高橋は言ってくる。

「まあな。人工脳が実用化されてから十五年。海外の科学者が知的好奇心から始めた人間以外のものに人工脳を移植する実験。それにより分かったことは、全てのものは脳を入れることにより思考ができるようになっていること。神経はつながっていないが、脳は常に動かされるため、その物体の物事のとらえ方などが反映される。疑似生活体験を経て、我らにその思考を教えるデータとなる。なかなか壮大で危険な取り組みだ」

「僕にはいまだに理解できません。なぜ物体によって考え方が違うんですか。僕はいつも物体の思考をみるとき、夢幻の作り話でも観ているような気分になります」

「それなんだよ、高橋。俺らは夢を見ているんだ。夢は覚えられない。見返せない。それを見れる装置ができたのだ。だから皆で進んで、この装置に入ったんじゃないのか、高橋」

俺らは脳が2つある。今話している脳と、もう一つ、同じ感覚を共有する人工脳だ。これを互いに観測し合うことで、ついに夢が見られる。夢を夢見た俺らは、かわりに現実を失った。俺らは脳が2つある。その2つはコードでつながれている。その先にはコンピュータがある。それだけの話だ。

脳が2つあるだけで、それ以外は何もない。そういう装置だ。

全てはコンピュータに管理されている。俺は今現実をみているのではなく、あのなすのように幻覚を見ているだけなのだな、高橋。


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