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放課後、図書室にはもう数人しか残っていなかった。
静けさの中、机に向かっていたリノの隣に、気配もなくアイエンが座る。
🐰「……何?」
🦊「なにって、隣、空いてたから」
🐰「他にも空いてるけど」
🦊「でも俺、リノヒョンの隣がいい」
((ぺら、とノートを開いてアイエンが勝手に勉強を始める))
🐰「……なんで俺なんかの隣に来んの」
🦊「“なんか”じゃないし。リノヒョン、静かだから集中できるし」
🐰「……」
🦊「それに、ちょっとくらい話しかけても怒らないでくれるじゃん」
🐰「……甘やかしてるわけじゃない」
🦊「え、甘やかしてくれてるの?じゃあもっと甘えていい?」
🐰「は?」
((リノがようやく顔をあげる。アイエンは笑っていた))
🦊「だって、ヒョンってさ、本当は優しいよね?」
🐰「勝手に人を分析すんな」
🦊「分析じゃなくて、観察。俺、ヒョンのことよく見てるから」
🐰「……怖い」
🦊「でも、嬉しそうにしてるときの顔、ちゃんと見たことあるもん」
🐰「見んな」
🦊「また今日も、そういう顔させたいと思って来た。俺、ずっとそう思ってる」
((ふいに、リノの手元のペンが止まった))
🐰「……ほんとにバカ」
🦊「……それ、けっこう嬉しい」
((小さな声で笑って、アイエンはノートに視線を戻した))
図書室の静けさの中、二人の間だけが、少しだけあたたかかった。