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「深雪〜ご飯の時間よ〜」お母さんが私を呼ぶ。「……はい」私は小さく返事する。そして席に座り食事を始めた。今日はオムライスだ。しかしあまり食欲が無いので少し食べると皿を置いた。「あれ?もう食べないの?」お母さんは心配そうな目で私を見る。「はい……ごめんなさい……」私は顔を俯かせて言う。するとお母さんは私の頭を撫でた。「謝らなくていいよ、ゆっくり食べればいいからね」お母さんは優しく微笑むと自分の席に戻って行った。私はお母さんに心配をかけているのが嫌だったので少しでも食べようと頑張って食べた。「深雪ちゃん、どうしたの?」次の日のお昼休憩中、美月さんが私に話しかけてきた。「え?何がですか?」私は笑顔で聞き返す。しかしそれは作り笑顔だ。「だって……なんか無理してるように見えるから……」美月さんは心配そうに私を見る。「……そうですかね」私はまた笑顔を取り繕って答える。すると美月さんは私の手を握った。「……深雪ちゃん、何かあったなら話して欲しいな……私、深雪ちゃんの力になりたいの……」美月さんは真剣な眼差しで私を見つめてくる。「……っ」私は思わず目を逸らした。「……美月さん……ありがとうございます……でも大丈夫です……少し疲れが溜まってるだけですから……」私は笑顔で答えた。「本当に?大丈夫?」美月さんは心配そうな表情を崩さずに私に聞く。「はい、大丈夫ですよ」私は作り笑顔のまま答える。「そう……分かったわ」そう言うと美月さんは自分の席に戻って行った。私の目の前では男子が話していた。「おい、お前最近どうよぉ」「まぁまぁかな!」私は机に右頬を付けながらその話を聞く。「なぁなぁお前さ、付き合ってた子とはどうなったんだよぉ〜」「やめろって〜もうかまわないでくれよぉ〜」私は内心(はぁ…こいつらまだこんな事やってんだ…)となった。
「あ、そうだ深雪さん」男子の一人が私の机の前までやって来た。「……なんですか?」私は笑顔を繕いながら質問する。「俺達さ、今みんなでトランプやってんだけど深雪さんもやらないか?」男子は私に言った。「すみません……遠慮しておきます……」私は作り笑顔で断った。
放課後、私は一人帰り道を歩いていた。すると後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。振り返るとそこには同じクラスの女子が居た。名前は確か佐藤さんだったかな?彼女は私の前に立つと息を切らしながら話しかけてきた。「……はぁ……深雪さん……一緒に帰らない?」佐藤さんは私を誘う。「え?……別に構いませんけど……」私は作り笑顔で答えた。
帰り道、私と佐藤さんは並んで歩いていた。すると彼女は私に質問してきた。「……ねぇ、深雪さんって『鬱』なんだよね?毎日学校に来てるけど大丈夫なの?」彼女の目は心配そうに私を見ていた。「……はい、大丈夫ですよ」私はまた笑顔を作って答える。しかしそれはあくまで外面だけの笑顔だ。本当の私には感情がない。ただ唯一の感情は『死にたい』それだけだった。「そう……なら良いんだけど……」彼女はまだ心配しているようだった。「……あの、佐藤さんはなんで私に話しかけたんですか?」私は彼女に質問する。すると彼女は少し恥ずかしそうに答えた。「えっと……深雪さんと友達になりたいなぁって……」
「……え?」私は思わず聞き返してしまった。「あ!いや、その!深い意味はないの!」彼女の目は泳いでいた。どうやら本当に深い意味は無かったらしい。「そうですか」私は素っ気なく答えると前を向いた。そして「まぁ…私は友達になってもいいですよ…」そう言った。すると彼女はとても嬉しそうに「やった!ありがとう!」と言い彼女は私の手を強く握った。「……いえ」私は小さく返した。
「それじゃ、またね!」彼女は手を振りながら帰って行った。家に着きドアを開ける。「ただいま……」私は小声で言う。そして靴を脱いで家に上がった。リビングへ行くと母が夕食を作っていた。「おかえりなさい、ご飯出来てるよ」母は優しく微笑む。しかし私にはその笑顔が悲しそう見えた。「……はい、ありがとうございます……」私はそれだけ言うと自分の部屋に向かった。部屋の中に入りベットに寝転がるとスマホの画面を見る。SNSのアカウントを開くとフォロワー数が表示されていた。『5,210人』しかしこれは全てこのアカウントを知っている人の数だ。本当の私のフォロワーはもっと少ないだろう。「はぁ……」私は大きな溜め息をつく。するとまたSNSにコメントがついた。
『生きていて楽しいですか?』
「……うるさい」私はそう呟くとスマホを枕元に置いた。そして目を閉じる。しばらくは眠れそうになかった……