テラーノベル
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思わず口に出た。「好きです。」
本当はもっと準備をしてから、ちゃんと
伝えるつもりだったのに。
でも、伝えずにはいられなかった。
だって貴方の隣には私がいたい。
誰にもその場所を譲りたくなかったから。
真夏の、肌がジリジリと焼けるような猛暑日。太陽の光が眩しく、目を細めながら歩く。
それから少し経ってカラオケの看板を見つけた
友達が失恋し、その慰め会と称して 集まるコトになっていたのだ。
建物が近づくにつれて、私は心の奥がざわついて仕方がなかった。
恋愛に疎い自分が、失恋した友達を本当に慰められるのか、不安ばかりが募っている。
私は生まれてからこの方恋をしたことがなかった。
周囲からは「ウブだねぇ」と茶化されるくらい、恋愛というものに対して鈍感で、 まるで遠い世界の出来事のように思っていた。
だから、失恋して涙を流す気持ちが正直分からなかった。
「きっと、もっといい人が居るよ。」
それが私にできる精一杯の励ましだった。
テーブルに置かれたポテトを一口かじると、
気持ち悪いほどの油が 口いっぱいに広がる。
そして、心の奥にはぽっかりと空いた空洞みたいな感情が残っていた。
恋愛を知っていれば、もっと温かくて、相手に寄り添った言葉をかけられるのだろうか、、、?
そんなことを思いながら、知らない人の知らない曲を歌う友達を横目に携帯を触る。
こんな私で、結婚はしたいとずっと思っている
ただ、相手がいないだけ。
誰でもいいわけじゃない。
私の心が「この人しかいない」と思えるような人に、まだ巡り会えていないだけなのだ。
街を歩けば、どこかにそういう人がいるはず――そう信じていた。
恋愛なんて、正直分からない。
けれど、焦らなくても、いつか分かる日が来るのかもしれない。
いつか本当に、心の底からその気持ちを知る日が。、、、知らんけど。
だけど、誰にも話したことのない秘密がある。私には、たった一度だけ告白をしたことがあった。
それは二年前の春、先輩の卒業式の日。
部活の先輩で、同じ楽器を担当していた人。
同性の先輩で、名前を呼ばれるだけで胸が
ときめくような存在だったけれど、恋かどうか、当時の私は知らない。
本当は口にするつもりなんてなかった。
けれど、もう二度と会えないと分かっていたせいか、 気づけば言葉が零れていた。
「好きです。」
先輩は少し困ったように笑って、
「私、貴方のこと、そんな目で見てなかった。可愛い後輩でいて欲しかったな、、、」
そう言った。
その瞬間、私の胸の奥の小さな希望は、音もなく消えていった。
それから先輩と連絡を取ることはなかったけれど、同じ部活の子から聞いた話では、
卒業式の二日後に先輩は結婚し、
しかもそのときにはすでに妊娠していたらしい
、、、そんなことってあるのだろうか。
その日から私は心のどこかに恋愛への蓋をした
もう、恋なんてしない。
分からないままでいたい。
恋なんて、ろくでもない。
でも、今――こうしてまた、思わず口をついて出てしまった言葉がある。
「好きです。」
あのときとは違う。胸の奥が熱くて、苦しくて、でも心地いい。
きっと、これが本当の恋なのだろう。
真夏の空のように、痛いほど眩しい感情。
逃げないで、私はこの気持ちを抱きしめて歩いていくのだろう。
、、、今度こそ、後悔しないように。
コメント
1件
めっちゃ良かったです…!特に、過去の告白エピソードと今の気持ちが重なる部分、グッときました。恋愛が分からないって主人公の気持ち、すごく共感できるし、真夏の眩しさのような恋の表現が綺麗でした。今度こそ後悔しないようにってラスト、応援したくなります🔥 続き楽しみにしてます!
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