テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
微妙にキャラ崩壊かも。浮奇さんめちゃくちゃ甘えっ子に書かれてます。
あ、卒業ライバーさん出てきます!閲覧注意ですよ〜
久しぶりに嗅いだ匂いは知らない匂いだった。
見える景色は何も変わっていない。家具もカーテンも。ただ、ゾクリと背筋が冷えた。
住んでいる地域が違うと、会う機会も少なくなる。
「久しぶり、会いたかったよ」
浮奇はふわっとファルガーを抱きしめる。ファルガーは早る胸が浮奇に伝わらないよう、浮奇の背に手を添えた。
「上がって」
明らかに上機嫌な浮奇の背に嘘は見つからない。何もないふりをした。そして、離れていた時間を埋めるように、離れていた頃と変わらない時間を過ごした。白が基調のオシャレはデザイン。清潔感も懐かしさも浮奇らしさも全部詰まったような家だ。そんなリビングの一角。目に止まった物があった。
そのゲームはあの頃と変わらない。だからゲームをした。
浮奇のお腹の音がお昼を知らせた。だから一緒にご飯を食べた。
窓からの日差しがどこまでも優しいから昼寝をした。
まだ隣にいたいから、机を囲んで話した。
フローリングが2人の影を映した。
マグカップを握り、談笑してる2人の姿を。
壁掛け時計が午後5時を指した。浮奇が少し残念そうに、それに気づく。
「もう帰る…?それとも、泊まっていく?」
浮奇は、その表情の裏の密かなニヤつきを、隠しきれていなかった。
つられて頬が緩む。
「…お言葉に甘えて」
フローリングの2人は、少し背が高くなっていた。
夜もゆっくり深くなっていく。夕食を共にし、少しながらお酒も飲んだ。頬が紅潮して来る頃、お風呂を借り、着替えも借りた。浮奇は、どれも真新しい物を用意していて、心遣いに感謝しかない。
「先に寝室に行っててね」
少しだけ、お酒に酔った浮奇は猫のようだった。
寝室には、アロマが置かれていた。この部屋の知らない匂いに似ていた。浮奇の部屋。浮奇のもの。なのに、知らない人の知らない部屋みたいだ。
なんとも言えないゾワゾワが、息を荒らげる。真っ暗な部屋をただ見つめた。
そのうち、浮奇がやって来た。
「入りなよ」
ゆっくりと浮奇の後ろを辿って、ベットに座る。浮奇は、下に座って手に収めていたドライヤーを手渡した。
「乾かしてよ」
甘えるように命令するように、見上げた。
「あぁ」
ドライヤーのスイッチを入れて、浮奇の髪に触れた。
すると、ふわっと香った浮奇の匂い。
香りと共に、何かが弾けたよう。
少し視界が滲んだ。安堵の息でも漏れていたのだろうか、浮奇は落ち着いた声で言った。
「…なにかあったの?」
「ううん、なんでもないよ」
頬に伝った涙はほんのり甘かった。
150
#Mysta Rias
コメント
1件
「ただいま、久しぶり」第9話、読みました。浮奇さんの甘えたな一面がすごく新鮮で可愛くて、特に「乾かしてよ」って見上げるところ、胸がきゅっとなりました。ファルガーが涙をこぼしたシーン、知らない匂いに戸惑いながらも、浮奇の匂いでやっと帰ってこれた実感が湧いたように感じました。遠く離れても変わらない時間を過ごそうとする二人の空気感がとても優しくて、じんわり温かくなりました。続きも楽しみにしてますね🌷