テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
16,372
翠玲
1,600
#緑
翠玲
13,837
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「こさめー!」
廊下から聞こえた声に、こさめが振り向く。
🦈「先生?」
担任だった。
「実行委員、お疲れ!」
🦈「ありがとうございました!」
「閉会式で渡せなかったから」
担任は封筒を差し出した。
「これ、実行委員のみんなへの記念品」
🦈「あ、ありがとうございます!」
なつも受け取る。
「じゃあ気をつけて帰れよ」
🦈「はーい!」
担任が去っていく。
教室には再び静かな時間が戻った。
なつは小さく息を吐く。
🍍(今度こそ)
🍍「こさめ」
🦈「ん?」
🍍「ちょっと話したいことがあるんだけど」
こさめは笑顔で頷いた。
🦈「いいよ!」
🍍「じゃあ……」
🦈「屋上行く?」
🍍「え?」
🦈「静かだし!」
そう言って笑う。
🍍「……うん」
二人は並んで教室を出た。
廊下にはもうほとんど人がいない。
夕日が校舎を赤く染めていた。
屋上へ続く階段をゆっくり上る。
一歩進むたびに。
なつの鼓動は速くなる。
🍍(落ち着け)
🍍(ちゃんと伝えろ)
屋上。
フェンスの向こうに夕焼けの街が広がっていた。
風が優しく吹く。
🦈「きれいだねぇ」
こさめが空を見上げる。
🍍「うん」
なつは返事をしながらも、こさめから目を離せなかった。
夕日に照らされた横顔。
柔らかく揺れる髪。
楽しそうに笑う表情。
全部が愛おしかった。
🦈「なつくん?」
🦈「話って?」
こさめが首を傾げる。
🍍「……ああ」
なつは拳をぎゅっと握る。
逃げるな。
昨日そう決めた。
🍍「俺さ」
声が少し震える。
🍍「入学式の日、こさめと会っただろ」
🦈「うん!」
🍍「最初は、ただ可愛いなって思ってた」
🦈「え?」
こさめが目を丸くする。
🍍「でも、一緒のクラスになって」
🍍「毎日話すようになって」
🍍「文化祭も一緒にやって」
🍍「過去のことも少し知って」
なつは一歩前へ進む。
🍍「笑ってるところも」
🍍「優しいところも」
🍍「誰かを放っておけないところも」
🍍「全部好きになった」
こさめは何も言えなかった。
驚いたまま。
ただ、なつを見つめている。
🍍「だから」
なつは大きく息を吸った。
そして。
真っ直ぐこさめの目を見て言った。
🍍「こさめ」
🍍「俺は、お前が好きだ」
🍍「付き合ってください」
夕焼けの屋上。
風だけが静かに吹いていた。
こさめは固まったまま動かない。
🦈「……」
沈黙が続く。
なつは心臓が飛び出しそうだった。
長く感じた数秒後。
こさめはゆっくり口を開く。
🦈「……こさめ」
🍍「うん」
🦈「恋愛したことなくて」
なつは黙って頷く。
🦈「だから」
少し困ったように笑う。
🦈「正直、まだ分かんない」
その言葉に。
なつの胸が少しだけ締め付けられた。
でも。
こさめは続ける。
🦈「でもね」
🦈「なつくんといる時間は大好き」
🦈「一緒にいると楽しい」
🦈「安心する」
🦈「もっと一緒にいたいって思う」
その言葉だけで。
なつは少し救われた。
🦈「だから」
こさめは少し照れたように笑う。
🦈「すぐには返事できない」
🦈「少しだけ考える時間、もらってもいい?」
なつはすぐに頷いた。
🍍「ああ」
🍍「もちろん」
🍍「いくらでも待つ」
こさめはほっとしたように笑った。
🦈「ありがとう」
その笑顔を見て。
なつは思う。
返事はまだもらえなかった。
でも。
後悔はない。
ちゃんと伝えられたから。
その頃。
校門出たところでは。
🌸「……やっぱり」
らんが屋上を見上げて呟いた。
🌸「告白したね」
すちも静かに頷く。
🍵「うん」
🍵「とりあえずらんらん双眼鏡はずそっか」
でも屋上へ行こうとはしなかった。
これは。
こさめとなつ、二人だけの大切な時間だから。
らんは静かに笑う。
🌸「返事がどんな結果でも」
🌸「俺たちはこさめの味方だけどね」
すちも力強く頷いた。
夕焼けに染まる校舎。
二人の物語は。
ここから少しずつ、新しい形へ進み始めようとしていた。