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「…ここは何処だ」
辺りを見渡してみると、自殺者の行き着く先・地獄。
…かと思いきや、現実とはさほど変わらない景色に 少しびっくりして周りをよく見ると、
雲一つない晴天で しかも、とても暑い。目眩がする程に。
太陽をガッツリ見てしまって余計目が痛い。
そして東京の様な街並みを見渡すと、
目まぐるしくなる程の人で溢れていて気分が悪い。吐きそう。
外回り中のサラリーマン、ベビーカーを押して歩くお母さんに、
平日を満喫し、談笑しながら歩いているおばさん達、
薄汚れた学ランを纏い、鞄を両手で抱いて 俯きながら歩いていた男の子や、
奇抜な髪の毛に耳にピアスを開けた、背の低い女の子。
皆それぞれ違う人生を生きていて、自分の事ばかり
考えていた僕は今まで気が付くことが出来なかった。
忙しそうな人や、頑張っている人に、楽しんでいる人。
「僕は諦めた人かあ…はは」
直前の出来事を思い出し、少し落ち込んだが 新鮮な空気を吸ったのはとても久々で、
心地よい息の仕方をやっと理解した気がする。 …地獄に落ちてからだと意味ないけど
突然、背中に強い衝撃を感じた。
「痛っ…ごめんなさい」
「ちっ、道のど真ん中で何突っ立ってんだよ…はあ」
見知らぬ建物や人々に気を取られすぎていた。
やばい、苦しい、つらい。
「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
恐怖で頭がパニックになり、身体に力が入らず その場に座り込んで謝り続けた。
何度も、何度も。周りの目なんて忘れて、何度も。
どれくらい経っただろう。突然、誰かに話しかけられた。
「…大丈夫ですか?」
さっきの恐怖がまだ胸に残っていて 話しかけられた瞬間、僕はビクッと身体を揺らし、
恐る恐る声が聞こえた方へ目を向けた。
「ごめんなさい僕、邪魔ですよね。」
そう思いここから離れようと立ち上がろうとしたが、
まだ脚が思った様に力が入らず、上手く立ち上がれなくて
僕の空っぽになった心は罪悪感で満たされていく。
(はやく、早くここから逃げなきゃ…)
「少し待っててください。水、買ってきますね」
僕はその場で待ち、早足で自販機に向かっている姿を見ていた。
ああ、熱中症だと思われてるかも。暑いし。
少し意識がぼんやりとしていたし、喉がカラカラだったので 正直とても助かる。
地獄にも神って居るんだなあ。
「まずいな…本気で目眩が酷くなってきた…」
この目眩のせいで、待っている間の時間がとても長く感じて
辺りを見回していたら何処かで見覚えのある顔を遠くで見た。
「この前あいつが見せてきた記事の…橋から飛び降りた有名人?」
結局死んでも地獄で楽しく暮らしてるじゃないか。
ここでやり直したってどうなるんだよ。
全てを捨てて、ここまで来たのに。
あいつを置いて、ここまで来たのに!
「はあ…はあっ、うっ…ぐっ、はあっ…ゔっ」
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
「ゔぁっ…ぶふっ、おぇ…ああ…はあっ、はあっっ
はぁっ…ううっ。うぅぅぅ…ぐすっ、ぐずっ…」
つらい。 つらい。 つらい。 つらい。 たすけて、だれか
「はあっ、はっ…たすけっ、ゔっ」
だんだん、意識が、遠のく…身体に、力が、はいらない。
あたまが、いたい。すごく、いたい。…ぼーっと、する。
また、しぬのかな。ここでしんだら、どうなるんだろう。
また、あんな、つらいおもい、しなきゃ、いけないの、かな。
「…やだなあ、ははっ」
「…大丈夫ですか!?救急車…誰か、救急車を!」