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2話 吸血
男はイライラした様子で、こちらを鋭く睨みつけながら言った。
「急になんだよ。いいところだったのに、邪魔しやがって」
僕は負けじと声を上げた。
「その方、どう見ても学生ですよね。未成年に手を出すのは犯罪ですよ?」
すると男は鼻で笑い返す。
「ああ?やられたいのか?」
言い争いは激しくなり、僕は殴られるも一歩も引かなかった。負けたくなかったんだ。こんな社会のゴミに。
すると突然、男が声を上げた。
「いっ!?」
視界に入ったのは、彼が男の股間を蹴り上げている姿だった。
男の怒りはさらに増し、彼にも殴りかかろうとしたその時、僕は怖くて目を閉じている赤を守るように腕を掴み、自分の家へと走り出した。
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急いでドアを開け玄関にはいる。僕は大きく息を吐きながら深呼吸をした。
彼は玄関に倒れ込み、肩で荒く息をしている。さっきの全力疾走で体力はほぼ尽きているのだろう。
「大丈夫ですか?」と声をかけるも、呼吸は乱れていて、言葉が聞き取りにくい。
彼は震える声で、かすかに言った。
「…ち…だ…い」
「え?」
「血…ちょうだいっ…(涙目」
涙があふれそうな顔で必死に訴える彼を見て、言葉を失った。
我慢できずにまた飛びつこうとした彼を、思わず振り払う。
「っ……なんなんですか!せっかく助けてあげたのに、いきなり飛びつくなんて!」
怒りと困惑が入り混じった声で言いかけたその時、涙をこぼしながら小さな声で懇願した。
「お願い…(泣)」
その泣き顔に胸を締め付けられた。
「……///わかりましたから、泣かないでください/」
そう言うとほっとしたように涙を流しながら頷く。
彼は僕の膝に身体を預けると、首筋に唇を寄せ、牙を立てた。
「……ん、我慢できない……」
その囁きが落ちると同時に、ちくりとした痛みが肌を刺す。
「……っ、く……」
不意の感覚に、僕は喉を震わせた。
彼は吸いながら、小さく息を漏らしている。
「ん♡、っ……ふ、ぅ……///」
その声は、どこか甘くて震えていて、僕の耳にまとわりつくようだった。
「…そんな声……出さないでください……///」
恥ずかしさを隠せず、僕は目をそらす。
けれど、彼は首筋に顔を埋めたまま、
「んっ♡……ぁ、……ん、んんっ///……」
と、堪えきれないような声をこぼし続けた。
「ん……っ///、ぁ……♡」
小さく漏れる息遣いに、僕は肩を揺らす。吸い込まれるたびに、彼の声が震える。
「んっ♡……んぅ……///」
吸血している彼からは、小さく切なげな吐息とともに、思わず漏れてしまう吐息混じりの甘い声が、静かな部屋に響いた。
僕は胸の奥がじんと熱くなり、逃げたい気持ちと止められない気持ちが入り混じる。
「んっ♡……はぁ……はぁ……///」
しばらくして、彼の吸う力が徐々に弱まっていく。
僕は眉をしかめながらも、それをそっと受け入れていた。
小さな舌が首筋を舐めるように動き、血を吸う度に微かな震えが伝わる。
僕は顔をわずかに赤らめ、視線をそらす。
「……もう、大丈夫ですか、?//」
問いかけた声には、微かに恥ずかしさが滲む。
返事はなかったが、彼は小さく肩を上下させて、安堵するように僕の肩に額を預けてきた。
「……満足、した//」
その囁きとともに、彼のまつげが静かに伏せられ、すう…すう…と穏やかな寝息が耳に届いた。
僕は目を瞬き、彼の体を支え直す。
「……もう。せめて、布団まで行ってから寝てくださいよ……」
呟きながらも、どこか優しい表情を浮かべた黄は、そっと彼を抱きかかえ、ベッドへと運んだ。
静かに毛布をかけると、彼の口元にはかすかな微笑が浮かんでいた。
「……甘え上手ですね、あなたは……」
そうぽつりと呟き、僕はベッドのそばにしゃがみこんで、眠る彼の横顔をしばらく眺めていた。