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|悪竜《ヴァルゴン》が高速でユウリに迫る。ユウリは右手に風扇を構えて、挙動を観察し始めた。

右爪を振るってきた。ユウリは合わせて風扇を叩き込む。

爪と扇がぶつかり止まった。ユウリはたんっと右足を踏み込み、がらあきの腹部へと左足をぶち込む。

蹴りは見事に命中した。|悪竜《ヴァルゴン》の体勢が崩れる。

ほぼ同時、「|黄《キラーヴォ》」とユウリは呟き、風扇に代わって|雷槌《らいつい》を生み出す。

間髪入れずに|雷槌《らいつい》を打ち付けた。頭部にもらった|悪竜《ヴァルゴン》は、帯電しながら吹っ飛んでいった。

「一丁上がりだ! 次はどいつだよ! どんどん来やがれ!」

声を張り上げると、二体が横一列になって迫ってきた。

「|雷槌旋《グラザステッラ》!」すばやく唱えると、|雷槌《らいつい》が瞬時に雷そのものと化した。ユウリは即座に全力で横投げする。

円弧軌道で雷は飛んだ。二体を真横から貫き、電気ショックでもって地に沈める。

(動きは速いし、初見の相手だし油断はできない。けどどうにもならないってほどじゃあない。頼りたくはないけどフィアナもいるし、なんとかなる!)

希望が見えたユウリは、戻ってきた|雷槌《らいつい》をキャッチししゃがんだ。一瞬後に真上を|悪竜《ヴァルゴン》が通過した。

ユウリは振り返り、今度は上手投げで放った。先ほどの一体に当たると、バチチ! という音とともに墜落した。|雷槌《らいつい》は少し行って逆進し始め、ユウリは難なくそれを掴んだ。

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