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エム「猫語尾中」
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md side――――――――――
静かだった。
さっきまでの戦闘が嘘みたいに、
通路には何も音がない。
壊れた機械の残骸だけが、
現実を証明していた。
「……はぁ……」
きょーさんが壁にもたれる。
呼吸が荒い。
「マジでっ…死ぬかと思った」
コンタミがその場に座り込む。
「それな」
苦笑するけど、
顔色は良くない。
俺も息を整える。
体が重い。
頭がぼんやりする。
「……これ」
レウが小さく言う。
「能力の反動、強くなってる」
その言葉に全員が黙る。
確かにそうだった。
さっきよりも明らかに負荷が増えている。
「使えば使うほど、きつくなるってことか」
きょーさんが呟く。
「最悪だな」
その時、コンタミが腕を見る。
さっきの傷はもうない。
でも──
「……まだ痛ぇ」
小さく言う。
「治ってんのに、痛みだけ残る」
その言葉に少しだけ寒気がした。
俺が言う。
「それ、副作用かも」
「代償、ってやつ」
レウが頷く。
「……能力は安定してない」
「無理やり使ってる感じ」
その表現がしっくりきた。
“持ってる力”じゃない。
“使わされてる力”。
その違和感があった。
その時だった。
ズキッ───
頭に鋭い痛みが走る。
「っ……!」
思わず膝をつく。
視界が揺れる。
ノイズが走る。
「おい!」
きょーさんの声が遠くなる。
そのまま
景色が変わった。
──夕方。
オレンジ色の空。
公園。
ベンチ。
五人で座っている。
笑い声。
「だからさ───」
誰かが話してる。
でも、顔が見えない。
ぼやけてる。
「お前、それマジで言ってんの?」
笑いながらツッコむ声。
それはとても楽しそうで
当たり前みたいな空気。
──知ってる。
この感じ。
でも──
「……誰だよ」
言った瞬間、景色が崩れた。
「っ……は!」
気づいたら元の通路に戻っていた。
息が荒い。
心臓がうるさい。
「……今の」
コンタミが覗き込む。
「大丈夫?」
「……うん」
ゆっくり立ち上がる。
「みんな、、見たの?」
全員が反応する。
「記憶……だと思う」
レウが静かに言う。
「俺も、さっき少し見えた」
きょーが眉をひそめる。
「……俺もだ」
少しの沈黙。
全員が同じものを見ている。
バラバラじゃない。
繋がってる記憶。
「……俺たち」
コンタミが言う。
「元々、知り合いだったんじゃね?」
その一言で
空気が変わる。
否定できなかった。
むしろそれしかない気がした。
「……だからか」
俺が呟く。
「さっきから、変な感じするの」
他人じゃない感覚。
初めて会ったはずなのに、
そうじゃない違和感。
その時
らっだぁが小さく言った。
「……知ってた気がする」
全員がそっちを見る。
「お前らのこと」
静かな声。
「最初から」
その言葉に少しだけ息が詰まる。
「……なんでだよ」
きょーさんが聞く。
らっだぁは少しだけ考えて、
首を振った。
「分かんねぇ」
「でも」
「多分、繋がってた」
その言葉が、
やけにしっくりきた。
その時──
ブゥン、と音が鳴る。
全員が顔を上げる。
スピーカー。
『被験体001〜005』
まただ。
『次の実験を開始します』
誰も驚かなかった。
もう分かっている。
ここは、そういう場所だ。
『移動してください』
その言葉と同時に、通路の奥の扉が開く。
暗い。
さっきよりも。
明らかに雰囲気が違う。
「……行くしかねぇか」
きょーさんが言う。
誰も反対しない。
ここで止まっても、何も変わらない。
むしろ終わるだけだ。
「……行こう」
レウが言う。
五人で歩き出す。
その先に何があるかは分からない。
でも、一つだけ確かなことがある。
この力には
代償がある。
そして──
それは
これからもっと重くなる。
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