テラーノベル
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md side――――――――――
扉の先は
今までとは違っていた。
白じゃない。暗い。
照明も少なくて、どこか古びている。
「……雰囲気変わったな」
きょーさんが周囲を見ながら言う。
「実験の種類が違うのかも」
レウが小さく答える。
その時
奥の部屋の扉が自動で開いた。
『被験体001〜005』
スピーカーの声。
でも
“ いつもより少しだけ低い気がした ”
『記憶適合テストを開始します』
空気が止まる。
「……記憶?」
コンタミが呟く。
『各被験体は指定位置へ』
床に五つの円が光る。
「……嫌な予感しかしねぇ」
きょーさんが言う。
でも
行かないわけにはいかない。
五人でそれぞれの位置に立つ。
その瞬間
足元の光が強くなる。
『テスト開始』
ブゥン──
低い音。
次の瞬間
視界が真っ白になった。
??? side――――――――――
──音が戻る。
キーボードの音。
カタカタと、
規則的な音。
ゆっくり目を開ける。
そこは、白い部屋じゃなかった。
机。
パソコン。
モニター。
見覚えのあるような、
ないような場所。
「……ここ」
思わず呟く。
その時、
後ろから声がした。
「遅いぞ」
振り向く。
そこにいたのは──
きょーさんだった。
でも、今とは少し違う。
表情が柔らかい。
「何してたんだよ」
普通に話しかけてくる。
まるで、“ いつも通りみたいに”
「……いや」
言葉に詰まる。
エム「猫語尾中」
22
41
でも
自然と答えていた。
「ちょっとネ」
コンタミが笑いながら入ってくる。
「また寝てたんじゃね?」
「違うよ!!」
そんなやり取り。
自然すぎて逆に怖い。
レウは端で資料を見ている。
「……進んでる」
小さく呟く。
らっだぁは、モニターを見ていた。
真剣な顔。
その画面には、何かのデータが映っている。
グラフ。
数値。
そして──
“適合率”
その単語が、
やけに目に入った。
「……ねぇ、」
俺が言う。
「これって──」
その瞬間、ノイズが走る。
ビリッ、と視界が歪む。
「っ……!」
頭が痛い。
でもまだ続く。
別の場面に切り替わる。
──会議室。
大人たち。
白衣。
厳しい空気。
「成功率が低すぎる」
誰かが言う。
「このままでは計画は進まない」
別の声。
「被験体の質を上げる必要がある」
その言葉に、背筋が冷える。
その時、視線が向いた。
──こっちに。
「彼らはどうだ」
誰かが言う。
「データ上、適合率が異常に高い」
心臓が強く打つ。
「……まさか」
誰かが小さく呟く。
その声は、らっだぁだった。
「研究補助のままでは、もったいない」
白衣の男が言う。
「次の段階に進めるべきだ」
その一言で、
全てが繋がった気がした。
「……やめろ」
誰かが言う。
震える声。
らっだぁだ。
「それは違うだろ」
でも、止まらない。
「合理的判断だ」
冷たい声。
「彼らなら耐えられる」
「むしろ最適だ」
ノイズが強くなる。
視界が崩れる。
「やめろって言ってんだろ!!」
らっだぁの声が響く。
怒り。
焦り。
でも──
届かない。
そのまま、全部が白くなる。
「っ……は!」
気づいたら
元の部屋に戻っていた。
息が荒い。
全員が同じだった。
「……今の」
きょーさんが言う。
「見たよな」
誰も否定しない。
コンタミが顔をしかめる。
「……俺たち」
言葉を選ぶように続ける。
「関わってたな、この計画に」
レウが頷く。
「……しかも、深く」
俺も理解していた。
ただの被験体じゃない。
「……選ばれたんじゃない」
小さく呟く。
「選ばされた」
その言葉が、
やけにしっくりきた。
その時
らっだぁが何も言わないことに気づく。
「……おい」
きょーさんが声をかける。
らっだぁは少し遅れて
顔を上げた。
その目は──
少しだけ、なにかを覚えているようだった。
「……なあ」
低い声。
「これ」
「止めないとダメなやつだ」
その言葉で
全員の気持ちが一つになった。
これはただの実験じゃない。
間違ってる。
だから──
“ 壊すしかない ”と。
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