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そして、エドバ城にて、ベルベット国とエドババーバ国の平和条約を締結する式典が行われた。
みな、美しく着飾り、今回のテーマは百合の花のようだ。
百合の巨大な生花が会場には咲き誇り、白い鳩が庭には放たれていた。
白い鳩は平和の象徴、そして、百合の花はベルベット国の国花であった。
そんな意味が込められたエドバ城のホールと中庭に目をやり、平和に一歩ずつ近づいていることを実感した。
エドババーバの皇帝陛下とベルベット国の国王が共に条約を読み上げ、後は盛大なるパーティーに変わった。
私の周りには、何故か、人、人、人。
人で溢れかえっていた。
「私王都ベルベで商いをしております…ミンスクと…」
「えぇい!
私が先だ!
私めは、港町ベッセを統治している侯爵家でして…」
「いやいや、軍師姫、私の方と仲良くしてくだされ!」
「お前は黙れ!
息が臭いぞ!」
「軍師姫様におかれましては…」
なんだ?
一体私の評判はどうなっているのだ???
狼狽えて、五歩ほど後退したところ、人だかりは追いかけるように押し寄せてくる。
圧迫され、潰れかけそうになったその時、ある1人の男性が私の腕を引き寄せ、人の輪から助けてくれた。
「皆の者、控えよ。
軍師姫が困っているだろう。」
そう言った男性は銀髪に薄紫の瞳をした、美青年であった。
はて、誰だろう?
しかし、その青年がそう言うと、私を取り囲んでいた人々は蜘蛛の巣が散るように去っていった。
「あ、ありがとうございます!」
「いいえ、ウチの貴族や商人達が失礼した。」
ウチの?
と言う事は…?
「私はベルベット国の第一王子、サイアです。
よろしくお見知り置きを、エティーナ姫。」
「これは、これは、王子様でいらっしゃったのですね。
失礼しました。」
「いいえ、失礼はこちらの方だったでしょう。
急に腕を掴んで申し訳ない。
しかし、あなたを救う為には…」
「いえ、わかっておりますゆえ。
ご心配なさらず。」
「やはり賢明な姫のようだ。」
「私に何かご用件がおありですか?」
私はなんとなくそう尋ねた。
「そこまで見抜かれていましたか…」
「と言うと?」
「実は、我が国には眠っているミスリル鉱山があるのです…
そこを掘ればかなりの確率でミスリルが出るはずなのですが…
何せミスリルの眠っている場所は深くて、とても少数の人の力では…」
「なるほど。
そこで、私の協力を仰ぎたい、と?」
「ご明察。」
「皇帝陛下に許可を取らなければなりませんが、それならば、ルードラの炭鉱員と土魔導師を派遣しましょう。」
「誠ですか!?」
「ただし、こちらにも条件がございます。
それを飲めれば、の話ですわ。
ミスリルが出た暁には、ミスリルの8%を我が国に献上する事。
いかがですか?」
「…仕方ありません。
飲みましょう、その条件!」
「では、皇帝陛下に話してみますゆえ、あちらに参りましょう。」
そうして、ベルベット国からは数日後にミスリルが採掘され、エドババーバにも8%のミスリルが流れることになった。
こうして、なんだかよく分からない式典は、相変わらず政の話で幕を閉じた。
その後、サイア王子とは文通友達となったのは、陛下にはなんとなく秘密だ。