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1 - 僕が恋した相手はロボットでした。〖完全版〗

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2022年02月18日

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小学校入学式で、僕は君に出会った。

君は、少し離れた桜の木の近くで桜を見つめていた。僕は、そんな君に惹かれたんだ。黄色いサラサラな髪に、大きな瞳。

僕は小学校1年生にして思った。『なんて、綺麗な人なんだろう。』と。











それから9年後。

僕は相変わらず君に、想いを寄せている。君と離れたくなくて、君と同じ高校に入った。

この9年間君とは、仲良くなるような接点もないままだった僕は、9年間過ごしてきたのに君のことは全くと言っていいほどわからない。

でも、ただ1つわかっていること。

君は、誰の前でも本当の笑顔で笑わないし悲しんだりしない。まるで感情のない”ロボット”のように。

(今日からここが僕が通う学校かー。)

この高校、凄く頭がいい。

僕は頭があまり良くないため、合格ラインギリギリだった。

ここまで彼を、追いかけ続ける僕に少し嫌気がさしてくる。


僕は 彼、るぅとくんと同じクラスになっていないか確かめるためクラス発表と書かれた掲示板に目をやる。僕は3組。


彼は、、3組。

(え、まじ、?)

ついに、ずっと同じクラスになれなかったるぅとくんと同じクラスになれた。

恥ずかしながら僕、ころんは彼と1度も同じクラスになったことがない。

これで僕もるぅとくんとの接点を持てた。やっとスタートラインに立てたような気がする。





るぅとくんと同じクラスという幸せに浸りながら教室に向かうと、席まで彼と隣だった。

まさか今までなんの進展もなかった神様から僕へのチャンスのプレゼントなのではないかと思うほどには嬉しかった。




しばらく経ち彼が、教室へとやってきたので軽く挨拶をしてみようと思う。

「る、るぅと、くん。お、おはょぅ。」緊張のし過ぎで、最後の方の声が小さくなってしまった。

だが、そんな僕に彼はにっこりと微笑んで「おはようございます。」と返してくれる。少し微笑んだだけでもわかるこの、綺麗さ。

彼は年齢があがるにつれ、綺麗さも増していく。



だが、そうこうしているうちにも時間は進んでいるようでHRを告げるチャイムと共に先生が入ってくる。もちろん僕は、先生の話など興味がないので寝て過ごす。





「あ、あの、、。」という声かけと共に目を開けると、クラスの全員が僕のことを見ていることに気がつく。

「蒼山、お前黄瀬と学級委員な。」

「は?」

突然、先生から告げられた言葉についそんなことが漏れる。

蒼山とは僕ころんの苗字。

そして黄瀬とは、僕がずっと想いを寄せている相手るぅとくんの苗字。

「じゃあ、頼んだぞ。」と僕を置いて話を進める先生。

いや、まてまてまて。何で僕が学級委員なんだ。

いや、るぅとくんとするのはいいかもしれないがなんでよりにもよって学級委員…。

そんなあたふたしている僕を見兼ねたのか「蒼山くんが寝てるから学級委員に任命されたんですよ。」とこそっと教えてくれる彼。

いや、なんで寝てるような奴に学級委員を任せようと思うんだ。

だが、そんなことを考えてももう意味が無いので考えるのを辞める。












✘✘✘










「はあ、母さんただいま。」

「ころん、おかえりなさい。今日学校どうだった?楽しくやっていかそう?」

「うん」

家に帰り、親とろくに話す体力もないためそんな適当な返事をする。

(なんで、入学初日から雑用任せられるんだよ。)


そう、僕が疲れている原因それは先生に雑用を任せられたからである。

(何で僕が学級委員なんだよ。)という無意味な考えを今でも続けてしまう。

だが、これもるぅとくんと同じ委員なのだから、彼と一緒にいる機会が増えたと言うことだ。

そう、プラスに考えることにする。


だが、1番の疑問。

何故、るぅとくんが学級委員をやることになったのかだ。彼は、自分から進んで学級委員をやるような人ではない。中学の時も学級委員をしているという話は聞いたことがない。

誰かに言われて断れなかったのだろうか。彼のことだから有り得る。

明日、学校で聞いてみようかそんなことを考えながら眠りにおちる。









「はよーっす。」

朝、登校してからそんな気だるそうな挨拶を口にする。我ながら僕はフレンドリーな方だと思う。1日で友達はしっかり出来た。

「なあ、ころん。本当に学級委員やんのか?」

「仕方ないじゃん。押し付けられたんだから。」

「お前が寝てたからだろ。」

こいつはさとみ。出会ったばかりだがこいつとはなかなか気が合うと思う。ゲームの趣味も合うし。

「でもよ、るぅとって話しかけにくくね?」

「あー、まあ分からないこともないね。」

さとみくんの言う通り、るぅとくんは話しかけにくいと思う。


僕も小・中学生の頃何度か話しかけようとしたが話しかけずらく辞めた記憶が何度がある。

「まあ、頑張れよ、ころん。」

なんて笑いながら言うさとみくん。ムカついたので1発殴ってやった。

「あ、さとみくーん。おはよう。」

そう元気に挨拶をしに来た赤髪の犬。

「よお。莉犬。」

どうやらこのわんわんは莉犬というらしい。

わんわんは僕に気づくと「あ、初めまして。俺、紅坂莉犬って言います。気軽に莉犬って呼んでよ。」と自己紹介されたので僕も軽く自己紹介をする。

「蒼山ころん。よろしくね!わんわん。」と見たままで呼ぶことにした。

「は?俺がわんわんならお前はめえめえだな。」

「僕がめえめえ?なんで?」

「だって、めえめえ声ガサガサでヤギみたい。」

「確かにころんはヤギみたいな声だよな。」と独特な笑い方で言うさとみくん。

確かによく声だガサガサだねなど言われることはあったがヤギなんて言われたことがない。

「ね、黄瀬くんもそう思うでしょ?」といつの間にか席に座っていたるぅとくんに聞くわんわん。

るぅとくんは困った顔をしていたが、すぐに理解したようでこくっと頷いた。


「ほらねー!」

僕の首に手をまわしながら言うわんわん。

「蒼山くん、黄瀬くん3年生の先輩が呼んでるよ。」

何か先輩に呼び出されるような事をしたのだろうか。

「ちょっと行ってくる。」

「はーい。」と笑いながら返事をする、さとみくんとわんわん。

「何か、用ですか?」

「用って程じゃないんだけど、この教科書運んでくれたの君たちだよね?」

見せられた教科書に目をやると確かに、昨日僕とるぅとくんで運んだものだった。

「それがどうかしたんですか?」

「いや〜、これ君たちの教室に運ぶものじゃないかと思って。」と困りながら言う先輩。

確かに、教科書には1という文字が書いてあった。

「もしかしたら、先生に間違えて伝えられたのかもね。」と笑いながら言ってくれる優しい先輩。

固まっている僕に変わってるぅとくんが、先輩から教科書を受け取ってくれた。

「すみません。ありがとうございます。」

「ううん。全然いいよ。俺は3年の生徒会長、紫咲ななもり。気軽になーくんって呼んでよ。で、こっちは…。」と自己紹介をしてくれた紫咲先輩。

そして、紫咲先輩が指す方を見ると確かにもう1人、立っていた。「で、俺が副会長の甘橙ジェルや。気軽にジェルって呼んでや。」と、何故か関西弁混じりで自己紹介をしてくれる甘橙先輩。



「えっと、確か君たちは蒼山ころんくんと黄瀬るぅとくんであってるよね?」と何故か僕たちの名前を口にする先輩。

「これからよろしくね。」と笑顔で手を振り先輩たちは自分達の学年のフロアへと戻って行った。

「あ、ありがとう。るぅとくん。」

「何がですか?」とぽかんとして言う彼。自覚がないようなので「いや、別に。」と適当に返しておく。「変な人ですね。」なんて笑いながら返してくれる彼に対して少し喜びを覚える。





例えそれが本当の笑顔じゃないとしても。










✘✘✘






「るぅとは、私が何か頼んだらちゃんとすること。あなたに拒否権なんてないから。」小さい頃、母親にそう言われた。

その時から僕は、何かを断ることが出来なくなった。

「お前、もっといい点とれないのかよ。」

これは、父親の口癖。テストで90点とっても褒めて貰えない。100点をとっても褒めて貰えないし、愛して貰えない。

泣いても怒られる、何をしてても怒られる。家では、お母さんの言うことを聞くか、勉強しか許されない。


学校では、『こいつ何言っても、はいって答えるぞ。』『ロボットみたい。』と言われたり、机には、『気持ち悪い』『人外』と書かれ、ノートを破かれたりといじめを受けた。そのせいで僕が笑うことなんてなかったし、いじめが始まった初めは悲しいと思っていたがもう、何も感じなくなっていた。



あれ、笑顔って感情ってなんだっけ。














✘✘✘





それから僕は、そこそこ頭のいい高校生に入学した。クラス表を確信した後自分の教室に入ると、僕に挨拶をしてくる男子生徒がいた。

彼は、蒼山ころんというらしい。彼と挨拶を交わした後、すぐにHRを告げるチャイムがなった。




「HR始めるぞ。早速だが、学級委員を決めたいと思う。やりたいという生徒はいるか?」

学級委員、それはほとんどの人があまりやりたくないだろうな、と考えながら僕はぼーっとしていた。

すると、とある生徒が「クラス成績トップのやつに任せればいいんじゃね?」と言い始めた。

「黄瀬くん、学年で1位だったらしいよ。」誰かが、小さな声でそう呟いた。

そんな噂、何処から流れるのだろうか。

「じゃあ、黄瀬くんが学級委員でいいと思いまーす!」

そんな声に、「賛成」と言う声が聞こえてくる。

「じゃあ、黄瀬任せていいか?」と聞かれ、もちろん僕は昔から断ることが出来ない性格のため頷いてしまう。

昔からずっとそうだ。

断ろうと思っても、お母さんや小学校の時ように暴力を振られるんじゃないかなんて考えてしまう。


何度、こんな自分を嫌いだと思ったか。もう数えられないぐらい考えただろう。







先生が「もう1人学級委員やりたいやついるか?」という声が聞えたと思えば「蒼山くんがやりたいって言ってましたよ。」という声が聞こえたので、彼の方を見る。


どうやら彼はまだ寝ているようだ。彼が、HRが始まると同時に寝ているのは知っていた。

なのに、学級委員になりたいなんていつ言ったのだらうかと考えてみても思い当たらない。

「それじゃあ、蒼山に任せるぞ…って、蒼山起きろ。」

「黄瀬、蒼山起こしてくれ。」

先生に起こせと頼まれたので、蒼山くんに小声で声をかけると彼はすぐに起きた。

「蒼山、お前黄瀬と学級委員な。」

「は?」

そんな声が小さな声で聞こえた。恐らく先生や、他の生徒には聞こえていないだろう。

どうやら、この反応からして彼は学級委員はやりたくないらしい。

だが、そんな彼をおいて「じゃあ、頼んだぞ。」と話を進める先生。

彼は未だに混乱しているようだったので「蒼山くんが寝てるから学級委員に任命されたんですよ。」と言っておいた。

押し付けられたと真実を突きつければ、きっと彼は怒るだろうと思ったのでそう言っておいた。特に間違えたことは言っていないので大丈夫だろう。




僕にとってここから先は、どうでもいいと判断したのでこの後先生が何を話していたなんて覚えておらずその後もぼーっとしたまま過ごした。














✘✘✘








るぅとくんと特に何かあったということも無く、数ヶ月過ぎた。

季節は夏。

もうすぐ期末テストのテスト期間に入る時期だ。外はもちろん暑い。


だが、僕は今屋上にいる。

「ねぇ!なんで外なの?」

そんな不満をぶちまける。

「まあまあ、そんなこと言わずに外で食べるご飯、美味しいよ?」

なんて言って僕を宥めようとする、なーくん。

それに賛同するように「そうやで!ころん!」と言ってくるジェルくん。

彼ら、なーくんとジェルくんは生徒会長と副会長だ。

4月に先生に頼まれた教科書か何かを間違えた時名前を知り何故か仲良くなった2人だ。


最近では、僕、るぅとくん、なーくん、ジェルくん、莉犬くん、さとみくんの6人で集まってお昼を食べるのが日課になっていた。

「るぅとも外で食べる方がええやろ?」

急にるぅとくんに話題を振ったジェルくん。るぅとくんは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔で「確かに、そうですね。」なんて返していた。

「お前ら、早く食わねーと時間なくなるぞ。」

「そうだよ!早く食べよー!」

さとみくんと莉犬くんの声でスマホの時計を確認すると昼休みが残り10分になっていた。

「うわっ、まじじゃん…」

「早く食べましょ。」


それから僕らは、急いでご飯を食べてすぐに解散した。











教室に戻ってからずっと気になっていた事を彼に聞いてみることにした。


「ねえ、るぅとくん僕たちと居て楽しい?」

そんなことを聞いたのは、彼は僕らといる時でも、他の人といる時でもあまり笑顔を見ないからだ。

愛想笑いとかは見たことあるが彼が心の底から笑っているのは見たことがない気がする。

ジェルくんがたまに、「るぅとって何でも肯定するし、常に笑顔しか見せんよな。まるでロボットみたいやわ。」と言っていた。

僕もそれには、確かになと思うことがあった。

「………楽しいですよ。」

るぅとくんは少し間をおいてからそう返事をした。

今の僕に本当に楽しいのか何度も聞いていいとは思わなかったので「そっか!ならよかった!」と笑顔で返した。

その後はお互いに話すこともなく、1日を終えた。













✘✘✘









(うわ〜、、僕るぅとくんに何聞いてんだよ。)

るぅとくんに「僕たちと居て楽しい?」なんて聞いてしまった。

ただ、お昼を一緒に食べて少し会話を交わす程度の僕にそんなことを聞く権利なんてない。

彼に、どう思われただろうか。

不快にさせてはないだろうか、など今になって後悔してしまう。

なんで、聞きたいと思ったのかそんなこと僕には分からない。でも、どうしても彼は心の底から楽しんでいるようには見えなかった。

僕が、彼と一緒にいる以上は彼には心の底から楽しんで欲しい、そう思った。



だが、僕では彼を笑顔にさせることは出来ないのではないか、そんなことをよく考えるようになってしまった。



「1回でもいいから、るぅとくんが心の底から笑ってるところ見てみたいなぁ。」

心の底からの僕の願い。彼と恋人という関係になれなくてもいいから、彼の笑顔が見たかった。





だから、僕は彼を笑顔にしようと誓った。










それからの僕の行動は早かった。

彼を笑顔にしようと誓ったのは昨日の夜。

朝、登校してからるぅとくんと話し、休み時間になったらまた、るぅとくんと話す。これを数日続けていたが、るぅとくんが心の底から笑った笑顔は見ることは出来なかった。

いくら、委員が同じだからと言って委員の集まりは滅多にないため、一緒にいられるのは学校の休み時間。

僕はどうしたら彼と過ごす時間が増えるのか考えていた。

「せめて、放課後とかも入れたらいいんだけどなー。」

そんなことを呟く。ん?放課後?放課後………。

最も、今の時期にピッタリなことを思いつき思わず「あ」と言う声をもらす。

今は期末テストが近く幸運にも明日からテスト1週間前だ。正直勉強はしたくないが、彼と一緒にいるためなら勉強を教えてもらうという口実に一緒に過ごせそうだ。


早速明日から始めようそう思いながら僕は眠りに落ちた。








「るぅとくん。今日の放課後勉強教えてくれない?」

朝、学校に来てすぐにるぅとくんに言った。

「え、ころんお前勉強すんの?!」

なんて、驚いた声を出すさとみくん。

何故か僕が、勉強しないキャラになっていることはイラつくがさとみくんが驚く理由も分からなくもないのでスルーしておいた。

「全然いいですよ。」

「まじ?!ありがとう!」

その後は、ずっと浮かれっぱなしで授業で先生が何を話していたかもお昼になーくん達とどんなことを話していたかもあまり覚えていない。








「るぅとくん、図書室行こ!」

やはり勉強するなら、静かで集中できそうな図書室がいいと思いるぅとくんを図書室へと誘う。

るぅとくんは「分かりました。」といいながら急いで荷物を鞄に詰めていた。

















✘✘✘










ころんくんが学校に来てすぐ「放課後勉強を教えてほしい。」と言われた。本当はすぐにでも帰って、家の事をしたいと思うが承諾してしまう。






放課後になって彼に、図書室に行こうと誘われた。


きっと勉強するとなれば図書室が集中できるからだろう。

僕は急いで、鞄に物を詰めて彼の隣を歩く。

あまり図書室まで距離はないので、気づけば図書室の前にいた。僕らは、静かに図書室でテスト勉強をしていた。


しばらく経って、彼から「ねえ、√ってどうやって計算するの?」と聞かれた。

「え…中学校で習いましたよね?」

√の計算は比較的簡単なものだと思った僕は軽口を叩く。



数ヶ月、彼と話していてそんな事を言えるぐらい仲良くなったと思う。

たまに冗談を言ってみても、彼は怒ることもないのできっと彼もさほど嫌ではないのであろう。

「いや、だって忘れちゃったんだもん。」

「しょうがないですね。」と言い勉強を教えてあげる。







教えてあげると「おお!なるほど。ありがとう!」と言われる。

誰かに何かしてあげて、ありがとうとお礼を言われたことはなかったので少し気分がはずんだ気がした。













その日から放課後はテストの日まで、彼と勉強をするのは日課になっていた。







テスト後、どうやら彼はテストの結果が良かったようでニコニコしながら僕の所まで「るぅとくん!テストの結果いつもより良かったよ!」と言いに来た。

「そうですか。ころんくんのお役にたてたようで良かったです。」

貼り付けた笑顔で彼に言う。

彼は何かを言いたげな顔をしていたが、無理に言う必要はないと思ったので無理に聞くことはしなかった。







彼といれば、いつかは笑えるんじゃないかと思うがいつまで経っても笑うことは出来なかった。














✘✘✘







あれから数日。

僕は相変わらずるぅとくんと行動を共にしている。

だが、なかなか笑ってくれることはない。一緒にお出かけに行っても、ゲームをしてもなかなか笑ってはくれない。

それでも、るぅとくんと仲良くなれているという感覚はあった。







「るぅとくん!今日も僕の家おいでよ!」いつものように僕の家へ彼を誘うと「いいですよ」と言って隣を歩いてくれる彼。




僕の家につくなりるぅとくんは「今日は散らかってないんですね」と漏らす。

「僕のことバカにしてない?」

少しムッとした表情を作り彼の方をみると、少し笑いながら「そんなことないですよ」と言われた。

この時の笑顔は、いつもと違う笑顔で彼が心から笑ってくれたんだなって嬉しくなって「やっと笑ってくれたね。」そう小さな声で呟いてしまった。



「……?何か言いました?」

不思議そうな顔で僕を見てくれる彼「なんでもないよ」と返して、2人でゲームをする。

ゲームをしている時の彼の笑顔は、いつもの貼り付けたような笑顔に戻っていた。












✘✘✘










いつものようにるぅとくんと遊んでいる時、その日も変わらず彼は笑顔を貼っつけたような笑顔で笑っていた。

「またるぅとくんの笑った顔がみたいな」

ふとそんな言葉が僕の口から漏れてしまった。急いで口を塞ぎ「ご、ごめん」と焦りながら「えっと」とか「あ」なんて意味の無い言葉を発する。


すると、彼は「僕は笑ってるように見えないですか?」なんて真剣な表情で聞いてくる。

この話になった原因は僕から始まった為、僕も姿勢を正してるぅとくんと向き合う。











✘✘✘







「またるぅとくんが笑った顔がみたいな」

ころんくんの口からその言葉を聞いた時、心臓がドキッとした。

僕は、笑えていなかったのだろうか。

笑っているように見えなかったのだろうか。

だから僕はその答えを確かめようと「僕は笑ってるように見えないですか?」と聞くと、ころんくんは少し姿勢を正し少し困った表情をした後静かに頷いた。


「るぅとくんは、本当にロボットみたいだなって」

そんなことをころんくんから言われるなんて思っていなかった。

今まで言われ続けたその言葉を、彼の口からは聞きたくなかった。



「ねえ、るぅとくん。僕の前だけでは素のるぅとくんでいてよ」

「僕がるぅとくんを笑わせてあげるから」

ころんくんが優しい表情でそう言ってくれた時、僕の視界は歪んで見えた。きっと涙だろう。僕は感情なんてほとんど忘れていて、涙がでることなんてなく、冷たかった僕の心をころんくんはこんなにも暖かくしてくれた。

彼のことなら信用していいのかなそんな気がした。

それでも、彼は僕の返事を待たずに「ねえ、るぅとくん僕と付き合って?」と言われた。



「ころんくん、何言ってるんですか。からかわないでくださいよ。」

鼻をすすりながら言うと抱きしめられた感覚がした。

「からかってないよ」

「僕は本気だよ」

ころんくんは僕の耳元でそう囁いた。

いつものガサガサな声がなんだか少しだけいいなと感じてしまったのは気のせいだろうか。


「るぅとくんの今の気持ち、聞かせてよ」

彼は僕の返事を待っている。

「僕、好きとかわかんないですよ。笑顔も楽しいもわかんないですよ。」

「うん、知ってる。だから僕が教えてあげる。」

「今は僕のことを好きじゃなくていいよ。絶対好きって感情教えてやるから」

「感情を忘れたくなるほど辛い過去も僕が忘れさせてやる。だから、僕とずっと一緒にいよう?」

彼にそう言われた時、家族と離れてでも彼と一緒に居たいそう思った。

彼といれば幸せを教えてくれるんじゃないかそう思った。

「ころんくん、約束してください。」

「何?」

「僕に幸せを教えてください。」

「もちろん」

彼は「絶対落とすからな」そう付け足して明るい笑顔で僕に言ってくれた。












✘✘✘








彼と、幸せを教えると約束して早数年。

今、彼はきっと世界で1番幸せで世界で1番明るい人になっているとおもう。

「ころちゃーん?早くお出かけ行きましょ!」

「なんで”お出かけ”なの?”デート”って言ってよ」

彼は「だって恥ずかしいですもん」なんて頬を赤らめながら言う。

僕は彼に思いっきり抱きつき「約束、果たしたでしょ?」と聞くと、彼は少し驚いた顔をみせて今までよりも1番可愛い笑顔で「はい!」と返してくれた。







感情のなかったロボットは普通の人間になりました。
















✘✘✘番外編✘✘✘




『感情が生まれていった過程の秘話』





僕が、るぅとくんを幸せにすると言った日から数日。

形的には僕らは恋人同士。


まだ僕の片想いだが。僕は、両想いになるためにもまずは”好き”という感情を教えてやろうと嫉妬してくれそうな事をしてみたり、壁ドンをしてみたりもしたがなかなかに手強い。


ヘラヘラとして、「何してるんですか?」なんて”好き”という感情を覚える前に楽しいという感情と笑顔を覚えていた。

もちろん、感情が増えるのが嫌なわけではない。むしろ嬉しい。

だが、僕が教えようとしている”好き”は一向に覚えない。

挙句の果てには意地悪しすぎてるぅとくんを泣かしてしまった時もあった。


だが、最近では「今までのるぅとと比べたら全然別人やな」とジェルくんが言うようになったのできっと着実に沢山の感情を覚えてくれているのだろう。


そして、もう1つ言えることは確実にるぅとくんは腹黒ということだ。

最近、暴力が酷い。

だが、僕にとってはそれがるぅとくんなんだと思うも少し嬉しいと思わなくもない。もう少し叩く加減はして欲しいが。


僕が今、言えることはきっと感情を教えるのに最も手っ取り早い方法それは、一緒に話して一緒に笑ってくれる友達と一緒にいることだろう。

これは僕がるぅとくんに感情を教えたんじゃなくて僕とるぅとくん、そしてなーくん、さとみくん、ジェルくん莉犬くんがいるから教えられたんだよ。

るぅとくんは着実にロボットから人に変わろうとしている

そんなるぅとくんに愛情を注いであげるのが僕のやるべき事。

もちろん、バカやってるぅとくんを笑わせるのも僕のやるべき事。


これを繰り返せばきっとるぅとくんに全部の感情を教えることが出来て、るぅとくんと約束した”幸せ”も教えられる。





















『僕が恋した相手はロボットでした。』最後まで読んでいただきありがとうございました!!

もっと前から完結していたこの小説、少しだけ文章を変更して”完全版”として投稿させていただきました!


番外編はあったら面白いかな〜って付け足してみたんてますけどそんなにだなってかんじです。


1万文字超えなかったら短編で出す予定だったのに万行ってしまったから長編の連載を作らなくてはいけなくなってしまった、、


今後連載増やそうとおもってるのでそれが完結したあと今回みたいな完全版で全部まとめて出すのに使おうかな、、



最後まで読んでいただありがとうございました!

よければ♡沢山ください


コメントもほしい!

この作品はいかがでしたか?

640

コメント

6

ユーザー

最高でした… ブクマ失礼します!!

ユーザー

ぶくしつです!!

ユーザー

130にしちゃいました!

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