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摩浪side
次の日、撮影最終日。今日はリオデジャネイロのフラメンゴビーチに来ている。ここにいれば…多分あいついると思うんだけど。朝早いからな、まだ来ないかも。
摩『お願いしまーす』
まずは撮影に集中。服や場所を変えながら時間をかけていいものを撮っていく。昨日あれだけ事務所の文句とか愚痴吐いたけどなんだかんだいって楽しいからちゃんとやってる。
スタッフ「休憩入りマース!」
摩『はーい』
2時間が経過し休憩になった。今ならいるかな?
ちょっと探しに行こうと思ったその時、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
日「摩浪ぃー!!」
摩『翔陽!久しぶり〜、肌焼けたね〜』
日「お前は相変わらず白い!」
摩『ビーチの方は調子どうよ?』
日「調子良いぞ!」
翔陽は高校を卒業してブラジルでビーチ修行。最初聞いた時少し驚いたけど、こいつなら大丈夫だろうって思って応援してた。
日「摩浪は何でここに?」
摩『雑誌の撮影。ファッション誌のね』
日「すげぇ!あれ?Vリーグは?」
摩『少し休みを取った』
日「忙しいんだな!」
相変わらず翔陽は元気だね。でもなんだか久々に会えて本当に嬉しい。それに翔陽の方が身長高くなってた。
摩『あ、そうだ。翔陽も撮影入らない?』
日「え!?俺が!?」
摩『雑誌のテーマがスポーティだから、ビーチやってる翔陽にピッタリだと思って。でもポージングする必要はない』
日「?」
摩『ビーチバレーやってる所を撮りたいなぁって思う。今から交渉してくるから待ってて』
ということで撮影関係者に交渉。ダメかなって思ったけど、「全然オッケー!むしろ大歓迎!」と言われたので翔陽加えて撮影開始。
日「ビーチのルール分かる?」
摩『確か手の腹を使ったフェイント禁止だったよね?あとはトスは持ちすぎないとか何とか』
日「そんな感じ!あとはやりながら説明する!」
摩『おk〜』
実際ビーチをやってみると難しい。今までのバレーは硬い床の上を跳んでいたから余計に。それに風向きとかでボールがどっかいく。でも、試行錯誤しながらやると慣れてくるし、なにより楽しい。
摩『翔陽!跳んで!』フワッ
日「(すげぇ!ドンピシャ!)」バンッ
こちらに得点が入った時、歓声が上がった。観光客も地元の人も拍手喝采。この感覚はいつぶりだろうか。
摩『ナイスキー!』
日「摩浪凄い!めちゃ打ちやすかった!」
摩『良かった。てか初めてじゃない?俺のトスをし翔陽が打つの』
日「ほんとだ!」
カメラマン「2人とも〜!確認おねがーい!」
カメラマンさんのところに行って画像を確認。俺も翔陽も「むっちゃ良いじゃん!」ってなった。
摩『結構撮りましたね。これなら表紙にも使えそう。さっき撮ったこれ使えますか?』
偉い人「いいよ!使お!」
俺が推薦した写真、俺が上げたトスを翔陽が打つところ。こんな簡単にオーケー出るとは思わなかったけど(笑。
そして撮影終了。解散後、俺は翔陽と一緒にもう少しだけビーチをした。やっぱり新しい事は色々な発見があって楽しい。翔陽もいるしな。
摩『翔陽はこの後予定ある?』
日「ない!」
摩『ならさ、晩飯一緒に行かない?』
日「行きたい!」
元気なお返事を貰えた。少し時間が経った頃飲食店に向かう。フラメンゴビーチから遠くない場所にある建物。
日「ここめっちゃ高いやつ…」
摩『俺の奢りだから(笑。それにここウチが贔屓にしてるとこらしいし、服装もラフな感じで大丈夫』
店に入り席まで案内される。そこは外の風景が一望出来るテラス席。ここなら人目とか気にしないで2人で楽しめる。飲食しながら談笑していると、俺はあることを思い出した。
摩『そういえば、前に送ってきた写真面白かったよ(笑。及川さんも元気そうで安心』
日「俺も!」
摩『翔陽さ、あの写真送ってきた前辺りまで元気なかったよね?へこんだ?』
日「部屋の隅で、シュンってなった!」
今まで積み上げて来たものを横において、また新しく積み上げる。元気が取り柄の翔陽でもさすがに落ち込む時あるよね。
日「でも今は大丈夫!摩浪にも会えたし!」
摩『なら良かった』
日「摩浪は明日帰るのか?」
摩『うん』
日「また会えるといいな!次は日本で勝負だぞ!」
楽しそうな顔しちゃって。
でも、ごめんね、翔陽。
多分、翔陽が戻ってきた頃には、俺はもうバレーの世界にはいないかも。
本当にごめんね