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残された俺たちはといえば、食べたものを少しずつ片付けていた。準備で疲れたのか、あろまは柵に手を掛けて湖を見ていた。かく言う俺も準備は手伝っていたから疲れている。
…何もしてないきっくんに片付けさせよう。
E「あろま」
コテージのキッチンでカフェオレを作り、黄昏れているあろまに渡す。それを黙って受け取ってはまた湖を見る。
遠くの方では管理小屋の明かりが煌々とついているのがわかる。
A「夜の湖って不気味だよな」
前を向いたままそう呟く。
E「わかる」
A「でも風気持ちいいな…」
普段のあろまの雰囲気とは少し違っていた。1人でキャンプに来る時はこんな感じなんだろうか、いつもの毒気が抜かれてちょっと物足りない気がする。
E「お前、1人の時もこんな風に景色見たりするの?」
A「あー…うん。周り家族とかカップルだらけだった時は気まずかったな」
そう言ってははっと笑う。
E「誰か誘えばいいのに」
A「人に合わせるの好きじゃないし、自分のタイミングでできるから楽なんだよ」
E「そういうもんか」
俺は焚火の前の椅子に移動し、カフェオレを飲みながらボーッとしていた。釣られてあろまも椅子に座る。パチパチと空気が弾ける音が耳に心地よい。焚き火の動画とかよくあるけど、やっぱりリラックス効果はあるみたい。
A「でもさ…」
E「ん?」
A「子連れみてると思うわけよ。俺もそういうのちゃんとしなきゃいけないって」
E「急にどうした、センチメンタルか?」
A「俺らそういうのに全然縁がないじゃん。だからって今更なにか始めようとかはないんだけど」
男4人で10年以上もやってきた。4人とも今更家族がほしいとかそんな希望があるわけではない。ただ、そういう家族旅行をしている人を見るとやはり影響は少なからずある。
E「まぁ…ちょっと羨ましいとかはあるけど」
A「うん」
E「俺は今のこういうのも好きだよ。友達とゆったり焚き火眺めるの」
そう言ってあろまの顔を見て笑う。
…あれ?なんか気まずそうな顔してる?
俺変なこと言ったか?
そう思ったのも束の間。
A「…俺も、悪くないと思うよ」
またいつもの表情に戻ってカフェオレを啜る。一体何だったんだろうと、マグカップに残ったカフェオレを飲み干した。それは冷めていて、少しぬるかった。
To Be Continued…