テラーノベル
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俺の目から水が零れる。
悲しみなんかで出てくる涙とは違う。歓喜の色に染まった透明な涙。
涙で視界が歪み、主炎の顔が霞んで見える。
「え、チョッ、津炎?」
戸惑った主炎の声だけが俺の耳に届いた。
涙は止め処無く出てくるが、心からの笑顔が向けられる気がする。
「泣かないでくれ。……嫌、だったか?」
主炎の不安そうな声を否定するように、涙を手で拭いながら言葉を紡ぐ。
「違うん、です。……その、嬉しく、て…泣いてるんです」
涙声で紡ぐ俺の言葉を主炎は真剣に聞いてくれた。
話し終えると、主炎は嬉しそうに、愛おしそうに目を細めた。
気が付けば、俺は主炎の腕の中に収まって、しっかりと抱きしめられていた。
「良かった」
絞り出した様な主炎の声が、頭上から聞こえてきた。
月明かりさえ入らなかった暗い世界に居た俺。自分自身さえも守れなかった俺。捕虜になって、虚無感を覚えた俺。
暗闇はもうそこには無くて。
ここにあるのは、月灯りの下で永遠に優しい光を帯びる月光の瞳を持つ、俺にはもったいないほどの優しい恋人と共に歩むであろう、未来(道)だけだ。
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