※大学生パロ
※brさんをとてもクズな設定にしてます。
※決して万人受けはしない作品ですので、閲覧は自己責任でお願いします。
春にしてはちょっぴり肌寒い風が吹く5月上旬。
最近買ったばかりだと言っていた赤いスタジャンをクローゼットのハンガーから外し、玄関で靴紐を結んでいる男に手渡す。
「じゃあね、また大学で。」
「うん、ばいばい。」
お決まりの会話を交わしたら、俺より少し背が高い男の背中に向かって控えめに手を振った。
ガチャン、と音がしてドアが閉じられると、部屋に静けさが訪れる。
1人分の物音が部屋からなくなると、さっきまで気にも留めなかった時計の音や換気扇の音が大きくなったように感じた。
…この静けさが嫌いだった。
「明日は1限か〜…」
朝日が差し込むワンルームで重い息を独り言と共に吐きながら、さっきまでの行為をなかったことにするかのように、ゴミをまとめて袋を縛る。
もはやルーティンみたいになってしまったこの行いだが、体は慣れてしまっても心はなかなか慣れない。
重たい気分とは対照に、目を背けたくなるくらいに眩しい朝日はカーテンの間を縫って部屋に差し込んできた。
…先程俺の家を出て行った男、Broooockとは同じ大学で友人という枠を超えた、体の関係…いわゆるセフレ関係にある。
決して綺麗とは言い難いこの関係が始まったのは、大学1年の頃だった。
こんなこと言うのは恥ずかしいが、同じサークルである彼に一目惚れをした。
具体的に彼の何に惚れたのかは覚えていない。気づいたら好きになってた。
Broooockが毎日違う女の子と歩いていることも知ってる。
女癖が悪いのも知ってる。
…俺より女の子が好きなのも知ってる。
それでも、Broooockのことが好きだった。
どうにかしてBroooockと関係を持ちたくて、友達の関係じゃ満足できなくて、サークルの飲み会が終わって2次会として2人で宅飲みをしていたときに酔っ払った勢いで友達の一線を超えた。
Broooockのことは好きだったけど、毎日楽しそうに女の子と歩く彼に「好き」だなんて言えるわけなかった。
Broooockはきっと俺のことを好きじゃないし、俺にセフレ以上の感情を抱いていない。
俺と体の関係を持ったのも、男相手だと色々楽だからだろう。
男ならナカに出しても妊娠しないし、多少乱暴に扱っても壊れない。
セフレにするにはちょうどいい。
セフレの俺がBroooockに好意を伝えたとしても、面倒臭いと言われて捨てられるに決まってる。
捨てられるくらいなら、関係が終わるくらいなら、曖昧で薄汚れたこの関係を体で繋ぎ止めていたかった。
行為後の汚れたシーツを洗濯機に突っ込んで、真新しいマットレスに寝転がる。
『かわいいよ、きんとき。』
「ッ…」
寝転がったまま天井を見上げると、昨夜のBroooockの声が脳内にこだました。
行為中は頭が馬鹿になるくらい嬉しくて堪らないのに、行為後のこの時間は胸が締め付けられるように痛くなる。
…ねぇ、Broooock。
どうしたら俺のことを見てくれるの。
どうしたら女の子より俺が好きって言ってくれるの。
どうしたら、友達でも恋人でもないこの関係を、終わりにしてくれるの。
好きだよ、ぶるーく。
こんな面倒臭い感情は、墓場まで持っていくから。
だから…今だけ、今だけは。
この関係を、続けさせて。
コメント
4件
新作だ!?今作も今作で設定とか諸々最高ですね!!めっちゃ好きです!!続き楽しみに待ってます!
まぁじで…、、最高です。女癖が悪くても、セフレの関係であっても視点主からしてみれば終わらせたいけど終わらせたくない気持ちがあるんだろうか…、、 一方的に求めてる感じでも本当に尊い…