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キルアと×××の甘々夏シチュ
プールサイドは、思ったより騒がしかった。
水しぶきと笑い声。
夏の匂い。
「……人、多くね」
キルアはそう言いながら、
あなた——×××のすぐ隣を離れない。
「楽しいじゃん」
そう言って水に足を入れると、
キルアはちらっと周りを見たあと、ため息。
「楽しいのはいいけどさ」
あなたの手首を、さりげなく掴む。
「離れんなよ」
泳いでいると、
近くを通る人たちが声をかけてくる。
「すごい泳ぎだね」
「一緒に来たの?」
そのたびに、キルアの機嫌が目に見えて下がる。
「……なに見てんだよ」
小さくぼそっと。
あなたが気づかないふりで笑うと、
キルアはついに我慢できなくなった。
「×××」
呼ばれて振り向いた瞬間、
水の中で距離が一気に縮まる。
「……オレのだろ」
低い声。
冗談っぽいけど、本気。
「そんな簡単に話しかけんな」
そう言いながら、
あなたの腕を自分のほうに引き寄せる。
「プールだからって、油断しすぎ」
頬が少しだけ赤い。
「……オレ、結構やきもち焼くんだけど」
正直すぎる一言。
あなたが笑って「可愛い」と言うと、
キルアはむっとしながらも視線を逸らす。
「笑うな」
でも手は離さない。
「今日はオレと来てんだろ」
水の中で、キルアはあなたの腕を掴んだまま離さなかった。
「……動くなって」
さっきよりも、少しだけ強い声。
「人多いんだからさ」
そう言いながら、
自分がいちばん近くにいるくせに、と思う。
「キルア、泳がないの?」
そう聞くと、
キルアは一瞬考えてから肩をすくめた。
「今はいい」
そして、はっきり。
「×××見てるほうが大事」
あっさり言われて、胸がきゅっとする。
少し先で、また誰かがあなたを見るのに気づくと、
キルアはため息混じりに近づいてくる。
「……ほんとさ」
水面に映るあなたを、ちらっと見てから。
「目立つ自覚、持てよ」
そのまま、あなたの隣にぴったり並ぶ。
「ほら」
腕を絡めるほど近くはないけど、
完全に“自分の場所”を主張する距離。
「こうしてりゃ、分かるだろ」
「なにが?」
「×××が誰と来てるか」
少し照れたように、でも真剣。
あなたがわざと一歩離れると、
キルアは即反応。
「……ちょっと」
すぐ追いかけて、
今度は背中側に回る。
「逃げんな」
低い声で、でも焦りが混じってる。
「プールだとさ」
ぽつり。
「取られそうで、嫌なんだよ」
素直すぎる本音。
あなたが振り向くと、
キルアは少し気まずそうに視線を逸らす。
「……笑うなよ」
でも、腕はそのまま。
「今日は」
もう一度、しっかり言う。
「オレの隣な」
水の音に紛れて、
独占欲と甘さが静かに溶けていった。
プールから上がって、
少し人の少ない日陰に腰を下ろす。
「ほら、休憩」
そう言って、×××が差し出したのはかき氷。
「……最初からそうすりゃよかった」
キルアは受け取りながら、まだ少し拗ね顔。
そこで、×××がにやっと笑う。
「そんなに心配だった?」
「……は?」
スプーンを止めて、ちらっと睨む。
「やきもち焼いてる顔、分かりやすすぎ」
一瞬、キルアは固まって——
次の瞬間、耳まで赤くなる。
「っ、焼いてねーし」
「ほんと?」
わざと距離を詰めて言うと、
キルアは目を逸らしながら小さくぼそっと。
「……少しだけ」
その素直さに、×××はくすっと笑って、
今度はちゃんと優しく言う。
「大丈夫だよ」
「キルアしか見てない」
その言葉に、
キルアの肩から力が抜ける。
「……ずるい」
そう言いながら、
かき氷を一口食べて、眉を寄せる。
「冷たっ」
「はいはい」
×××が笑いながら、
キルアの額にそっと手を当てる。
「頑張って我慢してたもんね」
撫でると、キルアは一瞬抵抗しかけて——
やめた。
「……今は」
小さく。
「甘やかされていい?」
「いいよ」
即答。
そのまま、
肩と肩が触れる距離で並んで座る。
キルアはかき氷を食べながら、
ちらちら×××を見ては、安心した顔になる。
「……さ」
「なに?」
「からかうのは反則」
でも声は柔らかい。
「そのあと、ちゃんと甘やかすのも」
×××が笑うと、
キルアは少し照れながら、肩に頭を預けてくる。
「……次は」
「オレが甘やかすから」
夏の日陰で、
かき氷が溶けるよりゆっくり、
二人の時間は甘く続いていった。
プール帰り、
少し涼しくなった夕方のコンビニ。
「アイス買ってく?」
×××がそう言うと、
キルアは即うなずく。
「買う」
迷いなく手に取ったのは、
いつものアイス。
「それ好きだよね」
「安定だから」
レジを出て、
店の前で並んでアイスを開ける。
一口食べた×××が、
何気なく言う。
「それ、どんな味?」
「普通だけど」
「一口ちょうだい」
返事を待たずに、
キルアのアイスにぱくっと。
その瞬間。
「——っ」
キルア、固まる。
×××が気づかずに笑う。
「美味しい」
次の瞬間、
キルアの耳が一気に赤くなる。
「……ちょっと待て」
「?」
アイスを持つ手を見つめたまま、
小さくぼそっと。
「……今」
「間接」
一拍置いて。
「……キスじゃん」
理解が追いついた瞬間、
顔まで真っ赤。
「な、なに普通にやってんだよ」
視線を逸らして、
でもアイスは離さない。
×××がからかうように言う。
「嫌だった?」
「嫌とかじゃなくて!」
即否定。
「……心の準備がいるだろ」
その言い方が可愛すぎて、
×××はくすっと笑う。
「じゃあ、もう一口もらおっかな」
「やめろ!」
そう言いながらも、
アイスを引っ込めきれないキルア。
「……ほんと」
小さくため息。
「×××、無自覚すぎ」
でも、しばらくしてから
小さな声で付け足す。
「……でも」
「嫌じゃない」
夕焼けの中、
並んでアイスを食べながら帰る道。
キルアはまだ赤いまま、
×××の歩幅に合わせて隣を歩いていた。
家の前に着くと、
キルアは立ち止まったまま動かない。
「……着いたな」
そう言うわりに、
ドアのほうを見ない。
「今日は楽しかったね」
×××が言うと、
キルアは小さくうなずく。
「……ああ」
それきり、沈黙。
アイスの棒を指でくるくる回しながら、
しばらくしてぽつり。
「……今日さ」
「帰るの、早くね?」
遠回しすぎる言い方。
×××が笑って聞き返す。
「どうしたの?」
「いや、その」
視線を逸らして、耳が赤い。
「……もう少し、一緒にいてもいいかなって」
勇気を出したみたいな声。
「泊まってく?」
その一言に、
キルアは一瞬固まってから——
「……いいの?」
確認するみたいに、
ちょっと不安そう。
「もちろん」
そう答えると、
キルアはほっとしたように息を吐く。
「……よかった」
小さく、でも素直に。
家に入ると、
キルアは落ち着かない様子でソファに座る。
「なんか」
周りを見渡して。
「×××の家、安心する」
「もう慣れたでしょ」
「……それがいいんだよ」
並んで座ると、
キルアは少しだけ距離を詰めてくる。
肩が触れるくらい。
「今日はさ」
低い声で。
「やきもちも焼いたし」
「照れたし」
一拍置いて。
「……楽しかった」
正直すぎて、
×××が微笑むと、キルアは照れ笑い。
「なにその顔」
「かわいい」
「言うなって」
そう言いながら、
逃げずにそのまま。
夜が深くなって、
眠くなってくると——
キルアはぼそっと。
「……隣、いい?」
拒否される前提みたいな聞き方。
「いいよ」
答えた瞬間、
すぐに距離がなくなる。
「……ありがと」
その声は、
もう半分眠ってた。
名残惜しさから始まったお泊まりは、
静かで、安心で、
甘い余韻だけを残していった。
夜中。
部屋は静かで、
カーテンの隙間から月の光だけが差し込んでいる。
キルアは、ふと目を覚ました。
「……」
隣を見ると、
×××はすっかり眠っていて。
無防備な寝顔。
呼吸も穏やかで、安心しきった表情。
キルアは一瞬、視線を逸らそうとして——
やめた。
「……寝てると」
小さく、誰にも聞こえない声で。
「ずるいな」
起きてるときより、
距離が近く感じる。
髪が少し乱れていて、
まつ毛が影を落としてるのが見える。
「……こんな顔」
思わず見入ってしまって、
自分でも驚く。
頬が、じわっと熱くなる。
「……やば」
そっと手を伸ばしかけて、
途中で止める。
「起こしたら、嫌だし」
そう言い聞かせるけど、
視線は離れない。
「……ほんと」
小さく息を吐いて。
「オレ、完全にやられてる」
寝返りを打った×××が、
無意識に少し近づく。
その距離に、
キルアは完全に固まる。
「っ……」
心臓がうるさい。
「……近いって」
言いながらも、
逃げない。
むしろ、少しだけ距離を詰めて。
「……おやすみ」
そう囁いて、
照れたまま目を閉じる。
その夜、
キルアはなかなか眠れなかった。
理由はひとつ。
隣にいる×××が、
あまりにも安心しすぎていたから。
まだ空が白み始める前。
キルアは、うとうとしながら目を閉じていた。
そのとき。
「……ん」
隣で、小さく声がして——
次の瞬間、ぎゅっと。
「っ!?」
突然、腕に重み。
×××が、寝ぼけたままキルアに抱きついていた。
無意識に、
胸元に顔を埋めるみたいに。
「……」
キルア、完全フリーズ。
「……おい」
小声で呼んでも、反応はない。
寝息だけ。
「……寝ぼけてるだけかよ」
分かってるのに、
心臓は落ち着かない。
腕をほどこうとして、
でも——できない。
「……近……」
そう言いながらも、
×××の手が服を掴むのを見て、動きを止める。
「……ほんと、無防備」
照れと困惑が混ざった声。
少し迷ってから、
キルアはそっと腕を回した。
ぎゅっとはしない。
でも、逃げないように。
「……起きたら、絶対覚えてねーんだろ」
そう思うと、
ちょっと悔しくて、でも嬉しい。
「……今だけだからな」
小さくそう言って、
額に×××の髪が触れる距離で目を閉じる。
安心しきった呼吸が伝わってきて、
キルアの表情も、自然と柔らぐ。
「……朝になったら」
「ちゃんと起きろよ」
そう呟いて、
照れたまま、また眠りに落ちていった。
朝。
カーテンの隙間から光が差し込んで、
キルアは先に目を覚ました。
……重い。
腕を見ると、
×××がしっかり抱きついたまま寝ている。
「……」
一瞬だけ、昨夜のことを思い出して——
キルアは小さく息を吐いた。
「……まったく」
そう言いながらも、
起こさないようにそっと体を起こす。
少しして、
×××がむにゃっと動いた。
「……ん……」
その瞬間を待ってたみたいに、
キルアは顔を近づける。
「おはよ」
耳元で、低めの声。
×××が目を開ける。
「……え?」
状況を理解する前に、
キルアはにやっと笑う。
「寝相、すごかったぞ」
「……?」
まだ半分寝てる顔に、
追い打ち。
「オレにしがみついて離れなかった」
一拍置いて。
「めちゃくちゃ必死」
×××が一気に目を覚ます。
「えっ!?」
慌てて体を離そうとすると、
キルアは肩をすくめる。
「今さら遅い」
「……顔、真っ赤」
完全にからかいモード。
「覚えてないんだ?」
そう言って、
わざとらしく考えるふり。
「オレの服掴んでさ」
「近い、とか言っても聞かなくて」
×××が布団を引き上げると、
キルアはくすっと笑う。
「安心しろって」
声は柔らかい。
「嫌じゃなかったから」
一瞬、真面目な目になる。
「……むしろ」
でもすぐ視線を逸らして。
「調子狂うから、次は起きてるときにしろ」
そう言って、
照れ隠しみたいに立ち上がる。
「ほら」
振り返って。
「朝飯、何食う?」
からかいながらも、
どこか嬉しそうなキルアだった。
キルアがキッチンに向かおうとした、その背中に。
「……キルア」
呼ばれて振り返った瞬間。
ぎゅっ。
背中から、×××が抱きついてきた。
「っ!?」
さっきまでの余裕は一瞬で消える。
「な、なにして——」
「仕返し」
小さく、でもはっきり。
「さっきいっぱいからかったでしょ」
×××はそのまま、
額をキルアの背中に軽く押し当てる。
「今度は起きてるよ」
キルア、完全に固まる。
「……反則だろ」
声がちょっと低くなる。
腕を掴もうとして、
でも強く引き離せない。
「……甘えるなら」
「ちゃんと許可取れよ」
そう言いながらも、
逃げない。
むしろ、少しだけ体を預け返す。
「……ほら」
キルアが小さく息を吐いて、
振り向いて正面から抱き返す。
ぎゅっとはしない。
でも、しっかり。
「仕返しとか言ってさ」
「結局、オレがやられるやつ」
×××が顔を上げると、
キルアは目を逸らしながら続ける。
「……起きてるときのほうが」
一瞬、言葉に詰まって。
「……心臓に悪い」
そのまま、額と額が近い距離。
照れた目で、でも優しく。
「だから」
「次は、ほどほどにな」
そう言いつつ、
しばらく離さない。
朝の静かな空気の中で、
仕返しはいつの間にか
ただの甘え合いに変わっていた。
キッチンに立つと、
朝の光が窓から差し込んでくる。
「何作る?」
キルアが冷蔵庫を開けながら聞く。
「簡単なやつでいい?」
「朝だしな」
そう言いながら、
なぜかキルアは×××のすぐ後ろから離れない。
フライパンを出そうと一歩動くと、
「近い?」
「……別に」
言葉とは裏腹に、
距離はそのまま。
卵を割っていると、
肩にちょん、と重み。
キルアが顎を軽く乗せてきた。
「……昨日さ」
小さな声。
「楽しかった」
急に素直。
×××が振り向くと、
キルアは目を逸らす。
「だから」
「朝も一緒なの、いいなって思っただけ」
火をつけると、
キルアは後ろからそっと腕を回す。
ぎゅー、じゃなくて、
包むみたいな感じ。
「危ないから動くなよ」
言ってる本人がいちばん動いてない。
「キルア、甘えすぎ」
「今だけ」
即答。
「朝は特別」
卵焼きの匂いがして、
キッチンがあったかくなる。
「味見」
キルアがスプーンを差し出してくる。
一口食べて「おいしい」と言うと、
満足そうに笑う。
「……それ聞けたら十分」
皿を並べて、
二人で並んで座る。
「普通の朝なのにさ」
キルアがぼそっと。
「×××とだと、特別みたいだ」
照れくさそうに笑って、
肩に軽くもたれかかる。
静かで、
甘くて、
落ち着く朝。
それが当たり前みたいに始まるのが、
キルアは少し嬉しかった。
to be continued….