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夜の公園。ベンチに並んで座る二人。空は雲ひとつなく、星がじわじわと浮いていた。
そんな夜に溶けるように、らっだぁは静かな口調で、なるせに問いかけた。
「…お前なんか最近さ、俺のこと避けてる?」
「……別に……避けるわけないじゃん」
「ほんと?」
なるせは視線の行き場を探るように、らっだぁの紺色の髪に目をやった。
薄暗い公園の灯りに照らされて、なんかやわらかそうで、
普段よりちょっとだけ近く感じる。
「……でも、たまに。ちょっとだけ、
……なんか、距離感わかんなくなってきて…」
それを聞いたらっだぁの手が、なるせの方へ、そっと伸びた。
でも触れない。ギリギリのとこで止まる。
「じゃあ、俺が決めていい?」
「…なにを…?…」
その言葉の途中で、らっだぁの手がなるせの手を軽く包んだ。
冷たかった指先が、少しずつ熱を帯びていく。
「この距離。… 俺が決める。」
「だって俺、なるせのこと好きだから」
しばらくの沈黙。
なるせは顔を逸らしてる。でも、手は離さない。
「……そういうの、簡単に言うなよ。
………はぁ、ガチやばい。心臓うるさ過ぎ…」
「それって俺のせい?笑」
「……だまれ」
ふたりの手が、ぎゅっと強くなる。
言葉よりも、確かで、静かな“好き”が、そこにあった。